英語の「TH」の発音には、/ð/ と /θ/ の2通りがあります。「TH」の2つの音は、どの日本語の音にも対応しないので、発音が難しいといわれています。
/θ/ と /ð/ の発音の共通点や相違点を理解して、英語特有の発音を習得しましょう。「TH」を発音するコツは、ただ前歯で舌を噛んで発音すればいい、というわけではありません。
/ð/ と /θ/ の発音の仕方はほとんど同じです。発音する際の、共通する舌の動きや口の使い方などはまとめて覚えてしまうとよいでしょう。
/ð/ と /θ/ の発音の違い
/ð/ と /θ/ の発音の仕方にはいくつかの共通点がありますが、「声帯」を使って発音するかどうかに違いが出ます。
発音する際に声帯を使うかどうかが /ð/ と /θ/ を有声音と無声音という音にそれぞれ分類します。
/ð/ は有声音で、/θ/ は無声音です。有声音は発声する際に、声帯の振動を伴う音です。喉に手を当てた状態で発声した際に、手に振動を感じられれば、その音が有声音です。
代表的な有声音は /b/ や /d/ といった破裂音や /v/ や /z/ といった摩擦音です。特に、/ð/ は有声音の中で携帯電話やスマートフォンのバイブレーションに近い音だと考えるとわかりやすいです。
それに対して、/θ/ といった無声音は発声する際に、声帯の振動を伴わずそのまま通り抜ける音です。無声音は口から空気を出したときに発声される音ともいえます。
代表的な無声音は、破裂音である /p/ や /t/ 、摩擦音の /s/ や /f/ などが挙げられます。
/ð/ と /θ/ の発音のコツ
有声音か無声音であるか、といった点を除いて、/ð/ と /θ/ は非常に似ている音です。発音する際の舌の動きや口の使い方も共通しています。
/ð/ と /θ/ を発音する際の最重要ポイントは、前歯で舌先を挟み込むことです。口には力を入れず、リラックスさせておくことも大切です。
舌の他の部分は、口内の下部に位置させておきます。/ð/ と /θ/ を発音する際には、舌の余計な力みはいりません。
もし発音する際に、舌全体が口内上部にあると、/ð/ と /θ/ が /d/ や /t/ といった他の音に聞こえてしまいます。舌が上部にあることで、口内の空気の流れを止めてしまうためです。
よくある /ð/ と /θ/ の発音ミス
英語学習者がしばしば犯してしまう「TH」の発音のミスは、前歯で強く舌を噛んでしまうことです。舌を前歯で挟むことを意識しすぎて、力んでしまうためです。
舌を前歯で強く噛みすぎると口角が緊張し、顔が引きつったように見えてしまいます。リラックスした口の状態を維持できないために、不自然な /ð/ もしくは /θ/ の発音になります。
/ð/ と /θ/ を発音する際には、舌を優しく挟み込むことを意識しましょう。
/ð/ と /θ/ を発音する際に、舌を出しすぎることも発音の仕方のよくあるミスのひとつです。舌を出しすぎると、口から空気が抜けにくくなります。
/ð/ と /θ/ の発音では、舌の先端だけ出すと覚えておきましょう。実際に発音した際には、正面から見て、上下の前歯と舌の先端が見えるはずです。
/ð/ と /θ/ の発音練習
「th」を含む英単語は、数が少ないものの会話の中でよく用いられます。「that」や「something」といった英単語は超基本的語彙のため、英会話では否が応でも発音しなければなりません。
/ð/ の音を含む英単語は機能語が多いといわれています。機能語は語彙的意味を持たない語です。反対に、/θ/ の音を含む英単語は内容語が多いといわれています。内容語は語彙的意味を持つ語です。
「th」が英単語の初めにあろうと最後にあろうと発音の仕方は変わりません。/ð/ と /θ/ の発音の仕方を、しっかりと実践できるようにしましょう。
/ð/ の音を含む英単語
- that(/ðæt/)
- they(/ðeɪ/)
- this(/ðɪs/)
- other(/ˈʌðɚ/)
- whether(/ˈweðɚ/)
- brother(/ˈbrʌðɚ/)
- with(/wɪð/)
/θ/ の音を含む英単語
- thank(/θæŋk/)
- three(/θriː/)
- method(/ˈmeθəd/)
- birthday(/ˈbɝːθdeɪ/)
- anything(/ˈeniθɪŋ/)
- health(/helθ/)
- bath(/bæθ/)