英語の「x」は、x の置かれる位置や x に続く音によって、発音が変わる音です。例えば anxiety と text、exit の「x」の発音はどれも違います。
英語の x の発音には、/z/ /gz/ /ks/ の3通りがあります。それぞれの発音のコツを理解して、言い分け・聞き分けをできるようにしましょう。
「x」が /z/ と発音される場合
x が英単語の語頭に置かれている場合、基本的にその x は /z/ と発音されます。代表的な英単語は xenon や xylem などで、日常の英会話に x(/z/)が出てくることは少ないでしょう。
/z/ の発音のコツ
/z/ を発音する際のコツは2つあります。ひとつは発音する際に口角をピッと引くことです。もうひとつのコツは舌を下前歯の裏に位置させることです。
その状態で、日本語のザ行に近い音を発声すれば、きれいな /z/ が発音できます。
/z/ は有声音のひとつです。有声音は発音する際に喉の声帯の振動を伴って発声される音です。一方で、喉の声帯の振動を用いずに発声する音は無声音と呼ばれます。
x(/z/)を含む英単語
x が語頭に置かれている英単語はごくわずかです。例外として anxiety のように、x が語頭に置かれていなくても x を /z/ と発音する場合があるので注意しましょう。
- xenon(/ˈzen.ɑːn/)
- xylem(/ˈzaɪ.ləm/)
- xylophone(/ˈzaɪ.lə.foʊn/)
- anxiety(/æŋˈzaɪ.ə.t̬i/)
「x」が /gz/ と発音される場合
x が英単語の語頭に置かれておらず、x に続く音が母音の場合、x は /gz/ と発音されます。
母音はアルファベットの綴りでは「a・i・u・e・o」と表される音で、発音記号では /ɔ/ /ə/ などが英語の母音です。
/gz/ の発音のコツ
/gz/ の発音は /g/ の発音から /z/ の発音へスムーズに移行することが重要です。まず、/g/ を発音する際は、喉の奥から「グッ」と声を出すように発声します。
舌全体はやや喉の奥側に置くと発音しやすいでしょう。/g/ は破裂音のひとつであり、舌との口内のヒダで空気の流れを一度閉鎖し、開放することで発声される音です。
/g/ を発音した後はそのまま /z/ を発音します。/g/ を発音する際に喉の奥側にあった舌先を口内の前方へ持ってきます。
x(/gz/)を含む英単語
x(/gz/)を含む英単語は多くの場合、英語の接頭辞である「ex」を含んでいます。
なお、exhaust の h は発音されず、x の直後は母音の /ɑ/ であるため、exhaust の x は /gz/ と発音されます。
例えば exam は x(/gz/)を含む英単語です。exam は発音すると、日本語の「イグザム」のような音に聞こえます。x を濁らせて発音することがポイントです。
- exam(/ɪɡˈzæm/)
- executive(/ɪɡˈzek.jə.t̬ɪv/)
- exact(/ɪɡˈzækt/)
- exit(/ˈek.sɪt/)
- exhaust(/ɪɡˈzɑːst/)
「x」が /ks/ と発音される場合
x が英単語の語頭に置かれておらず、x に続く音が子音の場合、x は /ks/ と発音されます。
/ks/ の発音のコツ
/ks/ においては、/k/ の発音から /s/ の発音へよどみなく移行することが大切です。
/k/ を発音する場合、/g/ と同様に喉の奥から「クッ」と声を出して発声します。/k/ を発音した後、続けて /s/ と発音します。/s/ と発音する場合は喉の奥側にある舌先を前に持ってきます。
/ks/ と /gz/ の発音上の違いは、有声音か無声音かだけです。簡単にいえば、音が濁っているかどうかの違いです。
/k/ と /g/ はどちらも破裂音のひとつで、調音する場所も同じです。/k/ は無声音で /g/ は有声音です。
/s/ と /z/ は摩擦音のひとつで、こちらも調音する場所は全く同じです。/s/ は無声音で、/z/ は有声音です。
喉の声帯の振動を用いる有声音ならば /gz/ で、喉の声帯の振動を用いない無声音ならば /ks/ だとまとめて覚えてしまいましょう。
x(/ks/)を含む英単語
x(/ks/)の音を含む英単語は数多くあります。/ks/ は /gz/ と異なり、無声音であるので、濁らずに発音することに注意しましょう。
例えば、six は x(/ks/)を含む英単語です。six は日本語の「シックス」に非常に近い音として発音されます。six は「シッグズ」のように濁った音として発音されません。
- box(/bɑːks/)
- six(/sɪks/)
- text(/tekst/)
- expect(/ɪkˈspekt/)
- sexy(/ˈsek.si/)