第210回公開テスト(2016年5月29日実施)より新問題形式のTOEICが始まります。更新されて「時代の英語」により適した内容となったTOEICは、これまでの受験者の目には異色に映るかもしれません。 しかし実際に変化が見られるのは難易度ではなく、受験者の英語のトレンディーさであるようです。
設問方式のテーマ
「よりオーセンティック(実際的)なコミュニケーション」が、更新のテーマです。過去10 年間のコミュニケーションの中で頻繁に使われるようになった会話方法や表現が選択され、テスト問題として取り入れられました。つまり受験者はスピーカーが頻繁に用いるElisions(省略形)やFragments(主語などが省略された不完全な文)はもちろん、複数人で行われる会話やチャットについていく英語力などが問われます。 いずれも実際に身を投じる英語環境では欠かせないコミュニケーションツールです。
対策が難しいとされる変更点
従来の勉強法で語彙やリスニングを強化していても、新方式のリスニング問題では「知らないと聞き取れない表現」が出る可能性があります。 例えば、Elisionsを用いた発音では「going(ゴーイング)」が「gonna(ガナ)」と聞こえます。また、単語の末尾のtとdは省略されて発音することが多く、I can’t swim.(アイ キャント スウィム)はI can'(t) swim.(アイ キャン スウィム)と、別の意味に捉えてしまうことも考えられます。Fragmentsを用いた文章には、スピーカーが誰であるかを意識して聞き取る練習を普段からしないと、文法的に不完全な英語に混乱するかもしれません。 とはいえ、読解練習や単語の暗記など従来の基本的な対策が必要であることに変わりはないので、これまでの対策法と新しい問題要素の兼ね合いが難しいところです。
新形式のスコアと旧式でのスコアにレベルの差はあるのか
今回の変更に伴い新たな対策が求められるようになったTOEICですが、従来の問題形式で取得したスコアは変わらず有効です。新形式のTOEICと従来のTOEICの間にクオリティと難易度の差はなく、両スコアは比較可能なものとされています。 新形式のTOEICのスコアも変わらず、日常生活やビジネスの場で求められる英語力を証明する貴重なものです。自分の英語力が、現代のコミュニケーションに合わせてどれだけアップデートできているかを確認できる良い機会となるでしょう。