「英検2級」のレベルや難易度と英検2級に合格するための対策法

「英検」には英語能力・レベルに応じた「級」が複数あります。その中でも多くの人の目標となる級といえば「英検2級」でしょう。英検2級は「使える(実用的な)英語能力」の入り口に位置するレベルです。大学入試レベルでもあり、海外留学に行くに当たっては最低限身につけておきたいレベルでもあります。

英検2級の具体的なレベルや、英検2級に合格するために身につけておきたい英語力、英検の試験の流れや日程その他の情報などを、ざっと理解しましょう。そうすれば、英検2級に合格のために何が必要か、何をするべきかが見えてきます。万全の体制で次の試験に向けて英語力を伸ばしていきましょう。

英検とは何か?(英検の概要)

「英検」は日本英語検定協会が実施している英語の資格試験です。正式名称は「実用英語技能検定」といいますが、「英検」という通称が浸透しています。公式でも「英検」の呼び名を主に使用しています。

「実用英語技能検定」の姉妹プログラムとして「英検Jr.」と「英検IBA」もあり、「英検」は、これらを総称した呼び名でもあります。

※「英検」ならびに「実用英語技能検定」は、公益財団法人日本英語検定協会の登録商標です。

※「英検」の名称を英語でいうと EIKEN 。固有名詞というわけです。→ 「英検」「英検二次試験」は英語でどう言う?

英検の「受験規約」の冒頭では、英検が「実用英語能力の判定を目的とした文部科学省後援の資格試験」である、と規定されています。

実用英語技能検定(以下「英検」)は、公益財団法人 日本英語検定協会(以下「協会」)が実施する実用英語能力の判定を目的とした文部科学省後援の資格試験です。以下に規定する受験規約(以下「本規約」)では、英検の申込者および受験者の権利と義務が規定されています。
―― 実用英語技能検定 受験規約

「文部科学省後援の資格試験」という部分も見逃せません。英検は、1963年に第1回が開始された、半世紀以上の歴史を持つ試験なのですが、開始当初から文科省(当時は文部省)の後援を受けています。

2000年代以降は全ての級で年3回、試験が行われています。受験者数は年間数百万人に及びます。2017年度の受験者数は約366万人だったそうです。(→ 「受験の状況」)

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英検のレベル(級)設定

英検には1級から5級まで複数段階のレベルが用意されています。1級と2級は「準1級」「準2級」という副次的な試験レベルもあります。つまり、英検には合計7種類(7段階)の級があるというわけです。

  • 1級
  • 準1級
  • 2級
  • 準2級
  • 3級
  • 4級
  • 5級

どの級においても「聞く・読む・話す・書く」という英語4技能の実力が総合的に問われます。スピーキングに関する試験の実施形式は4級と5級では「録音形式のスピーキングテスト」で、3級以上では「面接形式のスピーキングテスト」で行われます。

―― 5級・4級・3級は、英語の基礎を身につけて確実に英語力を身につける足がかりとして。
―― 準2級・2級は、実践的な「使える英語」力を身につけるための道標として。
―― 準1級・1級は、れっきとした英語使用者として認められる実力の証として。

どの受験レベルにも年齢その他の受験資格(条件)は設けられておらず、誰でもどの級も受験できます。つまり、4級や3級を飛ばして最初から2級を受験できます。

自分の今の英語力に見合った級を受験するもよし、ひとつ上のレベルを目指して受験するもよし。目的に応じてレベルを選びましょう。

英検とTOEICテストの違い

英語能力をはかる試験としては「英検」と相並んで「TOEIC」もよく知られています。英検とTOEICテストは、試験の意義も試験内容も、評価の仕組みも違います。

試験内容の違い

TOEICテストは基本的にビジネスコミュニケーションに求められる英語能力の程度を数値化して測定するテストです。設問はビジネスシーンが主に念頭に置かれており、事務処理や商取引といった話題や場面設定、およびビジネスシーンでよく使う英単語が多く登場します。

英検は使用場面を特に限定しておらず、あくまでも一般的な日常コミュニケーションが想定されています。職場での会話や仕事の話題で出題される場合もありますが、家庭や学校といった場面設定や、趣味・食事・娯楽の話題など幅広い状況が出題範囲に含まれます。

TOEICにはビジネスシーンに特有の表現・言い回しや場面設定が登場する場合もあります。社会人経験のない学生にはピンと来にくい要素が試験の手応えに影響する可能性も、ないとは言い切れません。もちろん社会人経験がないからといって太刀打ちできないというわけではなく、学生がTOEICを受験することも決して珍しくはありません。

英検とTOEICテストの主な受験者層を、おおざっぱに分けるとすれば、中学生・高校生は英検を選ぶ場合が多く、大学生や社会人はTOEICテストを選ぶ場合が多い、といえるでしょう。英検は大学入試や語学留学の選考でよく参照され、TOEICは就職・採用の過程でよく参照される、という実情もあります。

試験形式の違い

英検とTOEICテストとでは、根本部分である評価方法がそもそも違います。英検はいわゆる段位認定方式であり、TOEICはスコアが示される方式です。

英検は受験者が試験レベル(「級」)を選択し、その級の合否を判定する仕組みです。TOEICはテスト内容は同じで、どれだけ正答できたかという程度を数値で示す仕組みです。

また、英検は各級それぞれに英語4技能(読む・書く・聞く・話す)を総合的に測る問題が用意されていますが、TOEICは「Listening & Reading」と「Speaking & Writing」が別個のテストとして分割されています。

つまり、「英語4技能をまんべんなく用いて」「一定程度の水準に達しているか否かを測る」なら英検が、「インプット能力かアウトプット能力かどちらかを」「日頃の学習成果を数値的に測る」ならTOEICテストが、より手頃な選択肢といえます。

英語4技能を使うという部分に重点を置く場合、英検は1回の受験でこなせる(TOEICは2つテストを受ける必要がある)ということになり、英検の方が試験回数と受験料の節約になります。

英検とTOEICテストの難易度の関係

英検は「級」ごとに試験の難易度が違います。他方TOEICは試験内容は(受験者の英語力によらず)共通です。しがたって、双方の難易度を比べる場合、「英検何級合格程度」の英語力が「TOEICスコア何点」に相当するか換算するような形が取られます。

おおざっぱに言えば、「英検2級」に合格できる英語力は、TOEICテスト(Listening & Reading Tests)で 550 点以上を取れるレベル、 Speaking & Writing Tests では 240 点以上を取れるレベルに相当する、と換算されます。

ちなみに、TOEIC Listening & Reading Tests の満点は990点、Speaking & Writing Tests の満点は400点です。


英検2級に合格できる英語レベルはどのくらい?

英検2級に合格するための英語レベルは実際どの程度なのか? TOEICスコアに換算してもピンと来にくい所ではあります。

英検の公式ウェブサイトでは、英検2級のレベル感を示す手がかりとして、次のようなキーワードが見つかります。

  • 高校卒業程度
  • 大学入試レベル
  • 2級から海外留学
  • ビジネスシーンでも採用試験の履歴書などで英語力をアピールできます

あえて大胆に総括するとすれば、「英語の基礎的な部分はほぼ修得し」「実用的な英語能力を身につけた」と評価できる水準、それが英検2級と捉えて差し支えなさそうです。

英検2級を目指して攻略する具体的な利点(メリット)

高校生にとっての英検2級のメリット

英検2級は大学入試に求められる標準的な英語レベルにおおむね一致します。つまり、高校生にとっては、英検2級は大学入試対策としていちばん手頃なレベル(級)といえます。英検2級の合格を目指して英語学習に励めば、そこで得られた英語力が大学入試対策に直結することになります。

大学が入試における「外部検定試験」の対象として英検2級を設定している場合も多々あります。外部検定試験とは、所定の試験結果を入試の代替として扱う制度であり、入試の英語試験に点数が加算されたり、英語の試験そのものが実質的に免除されたり、といった優遇措置が受けられる場合があるのですが、その外部検定制度に英検の2級を指定している大学が多いのです。

たとえば早稲田大学の国際教養学部では、「英検2級合格」の実績がある受験者に対し、大学が実施する英語試験に5点を加点する優遇措置を設けています(※2018年度試験)。これは受験戦争の中では決して無視できない要素になるはず。

大学や学部によっては、準2級や準1級が指標水準に設定されています。文学部英米文学科のように英語を根幹技能とする学部の場合は大抵が英検準1級を外部検定試験の指標にしています。

大学生にとっての英検2級のメリット

大学生は、英検2級合格の実績が「単位認定」に活用できる場合があります。たとえば、相模女子大学では、英検2級合格の証書を提出すれば英語科目1単位分として認定されます。

授業・単位について 単位認定について ― 相模女子大学

英検2級は、海外留学に必要となるスコアレポート(語学力証明の判定基準)にもなります。2016年から、英検2級に合格し、かつ「英検CSEスコア」が4技能合計で2150点以上の合格者を「2級A」と認定する制度が開始されており、この「2級A」判定が海外留学用の語学力証明として海外の多くの大学・カレッジで採用されています。

もちろん就職活動においても「英検2級合格」は実用レベルの英語能力を備えていることの証として十分なアピール材料になります。履歴書の免許資格欄にはぜひ大きく書いておきたい事項です。

社会人にとっての英検2級のメリット

社会人になると、「英検2級合格」という実績が、高校生や大学生のように具体的な恩恵に直結する機会は少ないかもしれませんが、昇格・昇給といった人事考課の場面では評価材料として活きてくるでしょう。

英検2級は、実用レベルな英語能力があるかどうかという判断基準といえます。一定程度の英語能力を管理職への昇格の条件としている企業の場合、英検なら2級合格を条件にしている所は多いでしょう。英検2級に合格できていれば海外赴任も英語を使ったビジネスなどの展望も開けます。


英検2級の具体的な試験内容・問題構成

英検の試験内容、試験の形式は、1次試験と2次試験に分けて行われます。

1次試験は筆記とリスニング、そして2次試験は、面接形式のスピーキングテストです。

ちなみに、この「筆記テスト+リスニングテスト+面接形式のスピーキングテスト」という構成は、1級~3級に共通する構成です。(4級と5級ではスピーキングテストが面接形式ではなく録音によって行われます)

英検2級の1次試験では、読む(リーディング)、書く(ライティング)、聞く(リスニング)の3技能が主に試されます。記述式の英作文の問題が1問あり、それ以外は選択式です。

設問の種類は、文章の穴埋め(空欄補充)、英作文、長文読解、および、音声を聞いて設問に答える選択式問題などがあります。問題数は約70問です。

英検2級には、一次試験(筆記・リスニング)と二次試験(面接)があります。

英検2級の試験時間

英検2級の一次試験では、筆記が85分、およびリスニングが約25分、立て続けに実施されます。そこそこの長丁場です。

二次試験は面接形式で行われるスピーキングテスト、この試験時間は約7分です。実施日は一次試験の約1ヶ月後です。

なお、試験時間は級によって多少異なります。たとえば英検1級では筆記が100分、リスニングが約35分、面接形式スピーキングが約10分。英検3級の場合は筆記50分・リスニング約25分・面接が約5分と設定されています。

英検2級の測定技能と検定形式

英検2級の試験内容の形式や内容は、英検の公式ウェブサイトで詳細に記載されています。

・一次試験は「筆記」と「リスニング」で構成されます。そして「筆記」は「リーディング」と「ライティング」で構成されています。
(リーディング+ライティング+リスニング)。
・「リーディング」は「単文の空欄補充」が20問、「長文の空欄補充」が6問。そして長文読解(文章を読んで質問に適した回答を選択する」問題が12問。いずれも4択問題です。
・「ライティング」は英作文です。指定されたトピック(お題)に沿って英語で文章を作成します。
・「リスニング」は、「会話を聞いた上で質問に答える」問題と、「説明文や物語文を聞いた上で質問に答える」問題が、それぞれ15問ずつあります。いずれも4択問題です。

・二次試験は試験委員との面接です。5種類の問題が1問ずつ出題されます。
・60語程度のパッセージ(文)を読み上げる問題。
・読み上げたパッセージの内容に関する質問に答える問題。
・3コママンガの展開を英語で説明する問題。
・あるトピック(お題)に沿って自分の見解を述べる問題。
・日常生活に関する一般的な事柄について自分の意見などを述べる問題。

二次試験の試験時間は約7分、ということは、おおよそ1問につき1分ちょっと程度で進めてゆく流れになります。

英検2級の実施時期

英検2級は年に3回、(2級に限らず全ての級が現在は年3回)、おおむね4~5ヶ月間隔で実施されています。

各年の第1回検定は6月。第2回が10月。第3回が1月に実施されます。学校年度(学期)と照らし合わせて計画しやすくなっています。

同じ回でも、個人受験か団体受験かによって、受験する級によって、申込者の年齢や学年によって、試験日程が違ってきます。

また、英検の二次試験は一次試験の直後ではなく、おおむね一次試験の1ヶ月後に実施されます。日程は「A日程」と「B日程」があり、英検2級を個人として受験する場合はB日程が適用されます。

英検2級の受験申し込み受け付け期間

英検では試験の約2ヶ月前から1ヶ月前の時期に受験申し込みを受け付けています。たとえば2019年度の第1回検定は、一次試験(本会場)の実施日が「6月2日」であり、受験申し込みの受け付け期間は「3月15日~5月9日」と案内されています。

ちなみに申し込み方法は、個人受験なら「インターネット申込」「コンビニ申込」「特約書店申込」の3通りの方法があります。

英検2級の合否判定方法

英検の合否判定は、従来は正答率で評価する(学校のテストのような)方式でしたが、2016年度以降「CSEスコア」に基づき評価される仕組みが導入されています。

CSEスコアは、当該実施回の答案を全て採点した上で統計的理論に基づき算出されています。試験が実施され、採点された後にならないと、合否が判定されないのです。受験者が自己採点で合否を判断することは実質的に不可能です。とはいえ試験後に届く「個人成績表」で自身のCSEスコアは確認可能です。

各級の合格水準となるスコアは固定されており、英検2級に合格するには「一次試験で1520点」「二次試験で460点」が合格基準スコアに設定されています。

ちなみに技能ごとの満点スコアは各650点。つまり、満点の7割程度の成績が合格水準といえます。英検の公式ウェブサイトでも、CSEスコアをはじめて導入した2016年度の第1回一次試験について「1級、準1級は各技能での正答率が7割程度、2級以下は各技能6割程度の正答率の受験者の多くが合格」したと報告しています参照

CSEスコアを使った評価は、読む・書く・聞く・話すの4技能を均等に評価します。2015年度までは、ライティングの問題は配点が相対的に低く、極端なことを言えばライティングで0点を取っても合格できる可能性がありました。2016年度以降は全技能が所定の水準に達していないと合格は出ないように是正されています。

英検2級の合格率

英検の受験者の合格率は、現在(2016年度以降)は非公表となっており、最新の数値は不明です。

ただし2016年第1回試験結果に関する報道発表資料により、2015年および2016年の「高校生受験者の合格率」に限っては確認可能です

  • 2015年度 第1回検定の英検2級の合格率:
    ⼀次試験 27.0%、二次試験 83.9%
  • 2016年度 第1回検定の英検2級の合格率:
    ⼀次試験 34.0%、二次試験 80.4%

おおざっぱに「一次試験は3割前後」「二次試験は約8割」と捉えてよさそうな数字です。

英検2級を自分の受験級にするかどうかの判断基準

英検に向けた英語学習を本格的に始める前に、どの級を受けるべきか、を改めて検討しておきましょう。2級を受けると考えていた場合も、本当に2級が最適かどうか確認して意志を固めておきましょう。

英検は、合格して初めて実績となる試験です。上級試験を受けても不合格では、履歴書に書けません。その意味では、合格が見込める級から段階的にレベルを上げていくという手もあるでしょう。2級は無理そうならまずは準2級を受けてみる、という考え方です。

他方、あくまでも「実用的な英語技能の獲得」を目指し、到達目標として英検2級を合格するまで受け続ける、という考え方もあるでしょう。試験後に届く個人成績表を見れば「合格ラインまであとどのくらいか」が分かります。合格に至らなくても学習成果と目標への到達度合いは確認できます。

過去問を手がかりにして級を決める

英検の公式ウェブサイトでは「過去問」が公開されています。実際に出題された問題内容を確認すれば、英語のレベル感は具体的に把握できます。

英検ウェブサイトに掲載されている過去問の数は、一次試験(筆記)が前年度1年分=3回分です。過去問は、試験本番で配布される問題用紙を丸ごとPDF化したファイルです。英語や問題の難易度も確認できますし、問題用紙のレイアウト(フォントや行間など)の雰囲気、表紙に書かれた注意事項なども確認できます。

二次試験は1回分のみ掲載されていますが、面接試験の流れをアニメーションで再現する「英検バーチャル二次試験」が用意されています。

簡易測定を利用して級を決める

英検公式ウェブサイトで公開されている「プチ英検」を利用して判断する手もあります。

「プチ英検」はウェブブラウザ上で動作する簡易テストです。短文の空欄に入る適切な語句を選択肢から選びます。出題数は10数問ほど。回答し終わると、正答率および各問の正解が確認できます。


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