英語にはシラブル(syllable)と呼ばれる発音上の要素があります。日本語でいうと「音節」。単語をさらに分割する単位です。
シラブルは英語のアクセント(ストレス)の前提といえる考え方です。シラブルの何たるかを理解しておくと、発音とアクセントの要領をモノにしやすくなります。
音節(シラブル)とは?
英語におけるシラブルは、1音で発音されるまとまりです。単語を「発音」の観点で分割した場合の最小単位、ともいえます。
シラブルは母音を1つだけ含みます。ただし、これはあくまでも発音上の話。綴りとは必ずしも一致しません。子音も1つとは限らず、複数の子音を含む場合が多々あります。
シラブルを明示的に表記する場合、interpunct または middle dot と呼ばれる記号(・)を使って単語を分割表記します。
たとえば、permit のシラブル構成は per・mit と表記されます。つまり permit は2音節からなる語です。
important は im・por・tant であり、3音節からなる語として解釈されます。
spring は1音節です。quell も1音節。stress も1音節。
シラブルを構成する要素
シラブルを構成する文字の組み合わせ(ひとつのシラブルとしてまとめられる文字の並び)は、おおかた決まっています。
シラブルは以下のいずれかの音の組み合わせでできています。
- 母音(a、e、i、o、u、y)
- 子音+母音
- 母音+子音
- 子音+母音+子音
母音(vowel)には y も含まれる、という点に注意しましょう。たとえば、symbol は、ローマ字的な認識では母音は o だけのようにも見えますが、実際は sym・bol の2音節です。発音記号を確認すると /símb(ə)l/ となっており y は母音として発音されることが分かります。
シラブルの切り分け方を見破るコツ
単語をシラブル単位に分解・分割する方法、あるいはルールは大きく分けて5つあります。複数のルールが適用される場合もあります。
分割ルールは絶対的な基準とまでは言い切れませんが、かなり有力な手がかりにできます。
接頭辞や接尾辞は切り離す
単語に接頭辞や接尾辞が含まれる場合、接辞と語幹は分離できます。
- preview (pre・view)
- working (work・ing)
- endless (end・less)
接辞が1音節とは限りません。
- under-line (un・der・line)
子音が連続する場合は基本的に分割する
子音が連続している場合、基本的には、子音を切り離すような形でシラブルを分けます。
- object (ob・ject)
- splendid(splen・did)
同じ子音が母音を挟まずに連続する場合も、1つ目の子音と2つ目の子音を切り離します。
- buffet (buf・fet)
- connect (con・nect)
- commerce(com・merce)
- silly(sil・ly)
ただし、複数の字(子音)を組み合わせて一個の子音として機能するような場合は、切り離さず常に同じシラブルを構成する字として扱われます。具体的には th、sh、ph、ch、wh などの綴りは常に同じシラブルに含まれます。
子音に母音が囲まれている場合は分割できる
子音が母音の前後を囲んで《子音・母音・子音》という構成になっている場合、前後どちらかの子音が切り離されます。
前後どちらの子音を切り離すかは「母音の読み方が長母音か短母音か」によってある程度判断できます。
※当初、上記小見出しが「子音が母音に囲まれている場合」という表記になっており、ご指摘を受けて訂正致しました。謹んで、訂正すると共に、混乱を招いてしまったことをお詫び申し上げます。
母音が「長母音」の場合は母音にの直後の子音を切り離す
当該の母音が長母音(long vowel)として読まれる場合は、母音に続く子音を、つまり母音とその直後の子音とを切り離します。手前の子音と母音が同じシラブルに含まれます。
長母音は「アルファベットの名称」と捉えておいてよいでしょう。「a」を /eɪ/ と読み、「u」を /júː/ と読む読み方です。
- baby(ba・by)
- local(lo・cal)
- Cupid(Cu・pid)
母音が「短母音」の場合は母音の手前の子音を切り離す
当該の母音が短母音(short vowel)として読まれる場合は、母音の手前の子音とその直後の母音との間で切り離します。
短母音は、アルファベットの音、いわゆるローマ字読みの音です。「a」を /ə/ と読む読み方です。
- metal(met・al)
- liberty (lib・er・ty)
- model (mod・el)
単語が le で終わる場合も分割できる
語尾が -le で終わる場合のシラブルの切り離し方は、おおむね3通りの判断基準があります。
-ckle の形を取る場合は -le だけ切り離す
語尾が -ckle で終わる単語は、le の手前で切り離されます。
- tackle (tack・le)
- freckle (freck・le)
- chuckle (chuck・le)
-le の手前が子音なら子音も含めて切り離す
語尾の -le の直前に子音が置かれる場合、その子音も含めて切り離されます。
- apple (ap・ple)
- rumble (rum・ble)
- muscle (mus・cle)
- struggle (strug・gle)
-le の手前が母音なら切り離さない
語尾の -le の直前に母音が置かれる場合は、-le は切り離されず、手前の母音と同じシラブルに含まれます。
- scale (scale)
- pile (pile)
- locale (lo・cale)
-le の手前が母音になるパターンは、サイレントe のパターン(後述)にも通じます。
二重母音はひとつのシラブルで扱われる、分割しない
book や look のような語は、綴り上は母音が連続しますが、発音上は一個の母音として扱われるため、シラブルは分割されません。
round や boil のような語は、発音上も音が変化して2種類の母音に聞こえますが、音はなめらかに変化してひと続きの音として発せられます。この場合も一個の母音として扱われます(シラブルは分割されません)。
総じて「二重母音」に該当する場合は、シラブルは分割されません。三重母音も同様です。
- -oo-(book、smooth)
- -ee- (leer、pi・o・neer)
- -ou- (loud、ground)
- -ai- (gain、brain)
- -au- (fault、launch)
- -ie- (lied、brief)
- -ei- (rein、height)
- -ea- (clean、beat)
- -ui- (quit、fruit)
- -oi- (boil、spoil)
- -ou- (round、bound)
- 等々
連母音は母音が区別され、シラブルが分割される
母音が連続する綴りの発音は、二重母音としてまとめられる場合の他に、別個の母音として切り分けて扱われる場合もあります。これを英語では hiatus(ヒアテゥス)、日本語では「連母音」と言います。
たとえば situation は -ua- 部分で母音が連続していますが、u の音と a の音は連続したひとつの音にはせず、それぞれ別の母音として発音されます。シラブルの構成としては sit・u・a・tion のように表記されます。
situation の語尾の -tion 部分は、発音上は母音を1個だけ含む音 /ʃən/ として扱われます。そのため、綴り上は -io- と母音が連続しているように見えてもシラブルは分割されません。
サイレントeは母音としてカウントしない、分割に影響しない
サイレントeとは、綴りにはeとあるのに発音されないeのことです。例えば、cake、make、rope、stoneなどが当てはまります。
cake は母音を2つ含みますが、最後の e は発音しない e なので1音節です。
outside は、母音を4つ含みますが、最後の e は発音しない e で、加えて ou は二重母音なので1つとして換算します。よって out-side の2音節になることが分かります。