英語における /h/ の発音は、それ自体の口の形や舌の位置が特に決まっておらず、続けて発音される音に影響されるという特徴がある音です。
/h/ があえて発音されない場合や、他の音と比べて弱く発音される場合もあります。発音ルールとコツを正しく把握して自分のものにしましょう。
/h/ の発音のコツ
/h/ はアルファベットの綴りで「h」もしくは「wh」で表記されます。
/h/ を発音する際のコツは、口から空気を出しながら発声することです。/h/ を発音する際には、決まった口の形や舌の位置は特にありません。
したがって /h/ を発音する場合、口の形は直後の発音に合わせて変えるとよいでしょう。
例えば how(/haʊ/)と発音する場合、/h/ の後に続く /aʊ/ の発音方法に合わせた口の位置にする必要があります。
/aʊ/ を発音する際は、口を開いて、口角を引きます。そのため、/h/ を発音する時点で、口を開き、口角を引いた状態にします。
who(/huː/)は /h/ を含む英単語です。who における /h/ の発音では、直後の /uː/ に合わせた口の動き・位置にするとよいでしょう。
/uː/ を発音する際は口をすぼませるので、/h/ を発音する時点で同じ口の形にしておきます。
/h/ の音を含む英単語
/h/ は主に英単語の語頭で用いられます。息を吐くように /h/ と発音する、と意識しながら発音練習に取り組みましょう。
- hand(/hænd/)
- happen(/ˈhæp.ən/)
- half(/hæf/)
- who(/huː/)
- whose(/huːz/)
- ahead(/əˈhed/)
- alcohol(/ˈæl.kə.hɑːl/)
- behave(/bɪˈheɪv/)
語頭の /h/ はあえて発音されない場合がある
語頭にある /h/ が発音されない場合があります。もしくは語頭の /h/ を弱めて発音します。
発音しない /h/ はロンドンの一部で話される英語訛りのひとつといわれています。さらに英米圏の英語話者はたいてい、/h/ を弱めて発音するといわれています。
例えば him は本来、発音記号で /hɪm/ と表されますが、/ɪm/ と発音される場合があります。/h/ の発音が抜けた him(/ɪm/)は日本語の「ィム」に近い音に聞こえます。
- him(/hɪm/)→(/ɪm/)
- her(/hɝː/)→(/ɝː/)
- hair(/her/)→(/er/)
黙字の「h」とは
「h」はたいてい、発音記号で /h/ と表記されます。しかし、「h」それ自体を発音しない英単語があります。このときの「h」を黙字といいます。
英語における黙字の h はフランス語由来の英単語に多く見受けられます。
語頭に黙字の h をもつ英単語の前に不定冠詞をつける場合、/h/ の音がないため、「an」がしばしば用いられます。例えば hour(/aʊr/)に不定冠詞をつける際、語頭の発音は /h/ ではなく /a/ であるので「an hour」と表されます。
語頭に黙字の h をもつ英単語の前に定冠詞 the つける場合も、たいてい、the(/ðə/)ではなく the(/ði/)が用いられます。それは語頭の発音が子音である /h/ ではなく母音であるためです。
- hour(/aʊr/)
- honor(/ˈɑː.nɚ/)
- honest(/ˈɑː.nɪst/)
- heir(/er/)