英語の中には「綴りが同じなのに文脈によって発音が異なる」という特徴を持つ語がいくつかあります。たとえば learned 。使用機会もそこそこ多そうな単語です。
よく把握している基礎的な語を、聞き取り損ねたり文意を誤ったりしてしまうのはもったいない。発音に種類があることを事前に知っておけば、面食らうことはなくなるでしょう。
learned
learned の -ed 部分の発音は、 /d/ の音で発音される場合と、 /t/ の音になる場合、そして、手前に母音が挟まって /ɪd/ の発音になる場合があります。
動詞の過去・過去分詞は /lˈəːnd/ か /lˈəːnt/
learned は、基本的には、learn(学ぶ・習得する)の過去形もしくは過去分詞として用いられます。
意味は「学んだ」「知識を学び身に着けた」といったところでしょう。
アメリカ英語では /lˈəːnd/ が基本
語尾の -ed 部分の発音は /d/ が一般的です。つまり /lˈəːnd/ 、あえてカナ表記すれば「ラーンド」のようになる発音です。
特にアメリカ英語では /lˈəːnd/ の発音が主流です。
今年は多くのことを学びました
イギリス英語では /lˈəːnt/ も好まれる
イギリス英語圏(イギリス・オーストラリア・ニュージーランド)では、-ed 部分を /t/ と発音することもままあります。つまり /lˈəːnt/、「 ラーント」のような発音です。
単語の綴りも learned の代わりに learnt と表記されることがあります。
形容詞の場合は /lˈəːnɪd/ と発音される
learned には形容詞としての語義もあります。意味は「博識な」「学者の」「学術の」「highly educated」「scholarly」といったところ。
この形容詞の learned は /lˈəːnɪd/ のように発音されます。カナ表記するなら「ラーニド」のような音です。
彼はとても学識のある人だ
形容詞の learned は、限定用法でも叙述用法でも用いられます。
形容詞の限定用法は「(a) learned person」(学者)とか「 (a) learned society」(学会)といった風に名詞に直接に係る用法です。very learned のように副詞で強調される場合も多々あります。
形容詞の叙述用法は、He is learned in Japan.(彼は日本に精通している)という風にSVCの第2文型で叙述する用法です。
blessed
blessed も、learned と同様、複数の品詞があって品詞ごとに発音の異なる語です。
動詞の過去形・過去分詞は /blést/
blessed は基本的には bless (祝福する)の過去形・過去分詞として扱われます。主に「祝福した」「(祝福された=) 恵まれている」といった意味を取ります。
この場合の発音は /blést/、「ブレスト」のような音です。
形容詞としては /blésɪd/
blessed は形容詞として扱われることもあります。主な意味は「神聖な」といったところ。
形容詞として用いられる場合、発音は /blésɪd/ のようになります。「ブレシド」のような音です。
Devon is blessed with ~. は動詞と解釈できる(らしい)
動詞の過去分詞にも形容詞用法があります。形容詞とどう違うのか? と考えてしまうと、かなり混乱してしまいます。
たとえば I am blessed with friends. という一文があったとして、この blessed は形容詞か、それとも動詞か、パッと見ではなかなか判別しにくいところです。
GrammarBook.com の解説によると、Devon is blessed with ~(中略) . という文例は blessed が動詞として用いられており、/blést/ と発音する例に該当する、とのこと。
Devon is blessed with amazing athletic ability.
Examples for the pronunciation bless-id:
Annie’s baptism was a blessed moment, particularly for her devoted grandparents.
―― Pronouncing the Word Blessed, GrammarBook.com
beloved
beloved は形容詞の限定用法と叙述用法で発音が変わる事例です。
beloved の基本的な意味は「愛おしい」「愛しの」「愛する」「最愛の」といったところ。
形容詞の限定用法は /bəlˈʌvɪd/
名詞に直接に係る限定用法として用いる場合、beloved は /bəlˈʌvɪd/ のように発音します。「ビラヴィド」のような感じです。
彼は最愛の娘を亡くした
形容詞の叙述用法は /bɪlˈʌvd/
SVCの第2文型を用いた叙述で述語として用いられる場合、つまり叙述用法の場合は、beloved は /bɪlˈʌvd/ と発音されます。「ビラブド」のような音です。
彼は家族に愛されていた
ついでに覚えたい「発音を間違えがちな語」
learned も blessed も beloved も、/d/ か /t/ の音、もしくは /ɪd/ の音、というパターンに別れる事例です。
ここまで把握できたら、ついでに「もっぱら /ɪd/ の音で発音される」紛らわしい単語も把握してしまいましょう。
naked
naked (裸の)の語尾の -ed は /ɪd/ の発音です。「ネイキッド」のように発音されます。
/néɪkd/ のような感じで発音する場合が、ありそうでない。もっぱら /néɪkɪd/ と発音します。
wicked
wicked(いじわるな)も語尾の -ed は /ɪd/ の音です。/ˈwɪkɪd/ と(「ウィキッド」のように)発音します。