英語のダジャレ系ジョークの笑い所と実際おもしろい事例集

英語の冗談・海外ジョーク、というと発言の裏側(真意)にユーモアが見え隠れするような「機知に富んだ笑い」を思い浮かべますが、字面をモジッたダジャレ系の冗談もあります。

英語のダジャレは pun /pʌn/ といいます。同音異義語や語呂合わせを用いて可笑しさを生む言い方です。いわゆる「ふとんがふっとんだ」タイプのダジャレ。

pun はほとんど翻訳できない性質の笑いです。英語原文を読んで初めて理解できます。もちろん、相応の語彙力や言葉の感覚も掴んでいる必要もあります。その意味では、pun が理解できるようになれば英語センスに自信を持ってよいと言えるかもしれません。

ちなみに、joke(ジョーク)は「冗談」「戯れ言」。gag(ギャグ)は「軽口」「悪ふざけ」を指します。

音を引っかけたモジり表現

egg-cellent

? How about my omelette ?
? Eggcellent !
「オムレツはいかがでしたか?」
「たいへんケッコーでした」

excellent  /éksələnt/ に egg /ég/  を引っかけた冗談。

タマゴだけに大いに結構コケコッコーなんつって。

catch-up

? What is the seasoning that you catch ?
? Ketchup.
「君を射止めた調味料は何だい」
「射とマト・ケチャップだよ」

ketchup /kétʃəp/ の異表記には「catsup」そして(ほぼ使われませんが)「catchup」と綴る表記があります。catchup の表記から察せられるとおり、発音は catch up(リエゾン込み)とほぼ同一です。

the Mercedes bends

He drove his expensive car into a tree and found out how the Mercedes bends.
彼はベンツに乗って木に突っ込んだらどれほどヘコむか身をもって知った

Mercedes は高級車の代名詞 Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)の略。bend は動詞で「曲がる」「たわむ」といった意味合いです。Benz と bends を引っかけて、メルセデスが変形したと言っているわけです。

know a Noah

Need an ark to save two of every animal ? I know a guy.
動物みんな2頭ずつ箱舟で運ぶねって言ってた奴ならひとり思い当たるけど

創世記の「ノアの箱舟」を題材にしたネタ。know a の音が Noah を連想させて「ああ、あの話ね」と思わせるダジャレです。

I know a guy. (ひとり男を知ってる)という、ほのめかし・出し惜しみ的な一言の中に、すでに答えが出てしまっているというおかしみがあります。

また、ark はもっぱらノアの箱舟(方舟)を指す語であり、ark の語が出てきた時点でノアが連想されます。


二重の意味でクスッとなるシャレ

he’s all right

Did you hear about the guy whose whole left side was cut off?
He’s all right now.
左半身まるごと切断されてしまった人をご存知ですか。
今はもう右半身だけで大丈夫らしいです

all right(ぜんぶ右側)だけど all right(達者)。

a boomerang came back

I couldn’t quite remember how to throw a boomerang,
but eventually it came back to me.

ブーメランの投げ方を全然思い出せなかったが、
思い出したよ。戻ってくるようになったんだ

思い出した(came back)んでブーメランが戻ってくる(came back)ようになったというシャレ。

特に思い出したわけでもないけどブーメランだから戻ってきた、それをさも思い出したかのように言っている、というようなオトボケ感もポイントでしょう。

Fire at Will

When William joined the army he disliked the phrase ‘fire at will’.
ウィリアムが軍は入隊したが「各個に撃て」の言を嫌った。
自分を撃てと言われているようなものだったからだ

at will は「意のままに」「自由に」という意味の熟語表現。fire (発砲) at  will は各自好きなように打つよう指揮官が命じるお決まりの言い方です。

ウィリアム(William)は Will のニックネームで呼ばれることが多く、Fire at Will!  は「ウィルを撃て!」と解釈できてしまってゾッとするというわけ。

a seasoned veteran

The man who survived mustard gas and pepper spray is now a seasoned veteran.
男はマスタードガスやトウガラシスプレーの中を潜り抜け、他の奴とは一味違う・味のある漢になった

マスタードガスは毒性の化学兵器、トウガラシスプレーは催涙・目つぶしに用いられる非致死性のガスです。

seasoned には「熟練した」という意味合いと「味付けした」という意味合いがあります。veteran は退役軍人を指す言葉。

マスタードにトウガラシというという食品ぽい呼び名の兵器の中を生き延びたことで、軍人としての練度も上げ、さらに「味付け」もされた、という感じ。

tired

A bicycle can’t stand on its own because it is two-tired.
自転車は自立しない。疲弊して、自ら転ぶ車というわけだ

two-tired (2輪)と too tired (あまりにも疲れている)の同音異義語を引っかけた表現。

no-bell prize

The one who invented the door knocker got a No-bell prize.
ドアのノッカーの発明者は「ノー・ベル賞」をものにした

ノッカーは扉をコンコンとノックするための器具です。玄関の扉にこれが備わっていれば呼び鈴(ベル)が不要になる。Nobel Prize(ノーベル賞)ならぬ No-bell Prize(ベルいらず賞)ものだ、という感じ。

over my head

Two ladies were discussing the planetarium show they had just seen.
One said the show was fantastic.
The other agreed but added ‘Most of it was over my head’.

2人の女性がさっき見たプラネタリウムについて話していた。
一方が「素晴らしかった」と述べ、他方もこれに同意したが
「上の空だったわ」と付け加えた

over one’s head は、文字通り「頭上に(ある)」という意味、および、「(あまりに難しくて)理解できない」という比喩的な意味合いがあります。

プラネタリウムを鑑賞していたのだから、頭上を見上げていたのは当然。理解する・しないというシロモノでないのも当然です。

ちなみに、英語圏には「金髪(blond hair)の女=バカの代名詞」というステレオタイプがあり、登場人物のバカさ加減を笑うジョークが blond jokes (または blonde jokes)と呼ばれます。太郎冠者みたいなものです。

fruit flies like a banana

Time flies like an arrow. Fruit flies like a banana.
月日の経つのは果物にハエがたかるくらい早エ

Time flies like an arrow. は「光陰矢の如し」と同じ意味のことわざです。

fly には動詞で「飛ぶ」という意味と、名詞で「ハエ」という意味があります。動詞 flies は fly の三単現、名詞の flies は fly の複数形。

like も複数の品詞で用いられる語で、動詞で「好き」、前置詞で「~のように」、あるいは形容詞や副詞の用法もあります。

Fruit flies like a banana. の一文は、fruit flies が「ショウジョウバエ」を指す語で、like が(前置詞ではなく)動詞として機能します。つまり「フルーツフライがバナナにたかる」という意味。

the balls

It’s not that the man did not know how to juggle, he just didn’t have the balls to do it.
奴はジャグリングの、やり方を知らなかったんじゃないよ、タマなし野郎だったんだよ

balls は男性の「○玉」を指す俗な意味合いがあります(通常2つ備わっているものなので複数形です)。○玉は「勇気」の比喩でもあり、have the balls といえば「度胸がある」、no balls といえば「根性なし」という意味合いを含み得ます。

ジャグリンクをしなかった理由は、ジャグリンク道具としてのボールがなかったから、あるいは、敢えてジャグリングを行う勇気がなかったから、というわけ。

lost interest

I used to be a banker but I lost interest.
銀行を経営していたが畳んだ。利息もなくて興味もなくなったんだ

interest は「関心を持つ」という意味合いを中心とする語で、興味を抱くという意味、および利子・利息という意味も含みます。

利息(interest)を失い、儲からなかったから、興味(interest)も失ってしまったのでしょう。

なお used to はそれ自体「過去はこうだった(が今は違う)」という意味合いを示す表現です。「慣れる」という意味もあります。banker は銀行員(銀行勤めの職員)ではなく、銀行家(銀行の経営者)を指す語。

handy sign language

I’m glad I know sign language, it’s pretty handy.
手話を知っててよかった、手頃な手段ってやつだよ

handy は「便利」「使いやすい」「役に立つ」といった意味、「すぐに使える」「手近」「手頃」といった意味があります。

handy は元々 hand(手)+接尾辞-y で形容詞化された構造の語彙です。あえて安直に解釈すれば、it’s pretty handy は「すっごく手(っぽい)」。

take a day of

I can’t believe I got fired from the calendar factory. All I did was take a day off.
信じられない。 カレンダー制作会社をクビになった。たった1日空けただけなのに

take a day off は「(1日)休みを取る」つまり会社を休むという意味で用いられる一般的表現。ただ、字面通りに捉えると「1日(a day)を抜きとる(take off)」とも解釈できます。

1日休んだだけでクビかよと不平をもらしているように見えて、その実、カレンダーから1日除いて364日のカレンダーを作成する失態をやらかしているわけですから、解雇処分もやむなし。


童話作品でも pun は愛される

pun は童話などにもよく登場します。英国の代表的な童話作品、Alice’s Adventures in Wonderland(不思議の国のアリス)および Tom Tit Tot(トム・ティット・トット)などは pun を多く見いだせます。

両作品が世代を超えて愛され読み継がれている背景には、作中の pun が醸すユーモア要素も少なからず寄与しているでしょう。

pun はほとんど翻訳できません。不思議の国のアリスも、できれば英語の原典に接して読みたい作品です。

英語原文で「不思議の国のアリス」を読むための予備知識

「不思議の国のアリス」に登場するダジャレの例

Alice’s Adventures in Wonderland に登場する pun の例として、アリスが「偽ウミガメ」(The Mock Turtle)と「グリフォン」(the Gryphon)に出会って海の学校のことを聞く場面を挙げてみましょう。

‘And how many hours a day did you do lessons?’ said Alice, in a hurry to change the subject.
‘Ten hours the first day,’ said the Mock Turtle: `nine the next, and so on.’
‘What a curious plan!’ exclaimed Alice.
‘That’s the reason they’re called lessons,’ the Gryphon remarked: `because they lessen from day to day.’ーAlice in Wonderland
「一日に何時間レッスンをしたの?」アリスは早く話題を変えようとして言った。
「1日目は10時間」偽ウミガメは言った。「次の日は9時間、ていう風に続いていく。」
「なんておかしな授業計画!」アリスは驚いた。
「だからレッスンと呼ばれているんだよ」グリフォンが言った。「日に日に少なくなるからね。」

ここでは lesson(授業)と lessen(少なくする)を引っかけて、います。1日に1時間ずつ「減っていく」(lessen)から、「授業」(lesson)なんだ、とグリフォンは訳知り顔で言っています。

Tom Tit Tot に出てくるダジャレ

Tom Tit Totもイギリスでよく知られている童話です。このお話もちょっとしたダジャレから始まります。パイを堅く焼いたお母さんが、「また柔らかくなる」という意味で「come again」という言葉を使ったものの、娘はそれを「なくなったとしてもまた戻ってくる」という風に勘違いするのです。

“Daughter,” says she,
“put them pies on to the shelf and leave ’em there awhile. Surely they’ll come again in time.”
By that, you know, she meant that they would become softer; but her daughter said to herself,
“If Mother says the pies will come again, why shouldn’t I eat these now?”Tom Tit Tot

「娘や」母は言った。
「パイを棚に少しの間置いといて。そのうちまた戻るから」
というのは、もちろん、パイが柔らかくなるという事を言いたかったのだが、娘はこう独り言を言った。
「母さんがパイはまた戻ってくるって言うなら、ここにあるのは今食べてしまおう」

こうして娘は、焼きたてのパイを全部ひとりで食べてしまうのです。もちろん食べてしまったパイは戻ってこないので、この後お母さんはバカ娘に呆れる…という筋書きになっています。

文学的笑いは知的センスを磨く

日本語の文化の中では字面を引っかけただけの駄洒落はオッサンくさい寒いネタと認識される傾向が否めません。英語の pun にはオッサン臭いとかサムいといったネガティブな先入観は特にありません(もちろんネタの出来にもよるでしょうけれど)。

言葉を選ぶ際には語呂・語感の揃った表現が好まれます。そうした意識を伴って英文を眺めると、新聞のニュースヘッドラインなどにも pun の要素が見いだせるでしょう。

英語学習者の身としてはことさらに pun を考案する必要はないでしょうけれど、pun を駆使する感覚は英語の言語感覚を鍛えるためにちょうどよい練習になります。気楽な学習になります。また、会話の端にわずかにそれと分かるような pun の要素を忍ばせられるようになると、きっと一目置かれる存在になるでしょう。





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