英語の慣用表現で「象が部屋にいるよ」(There is an elephant in the room.)という言い方があります。現実にはまずあり得ない、このナゾめいた表現。もし言われてしまった場合は要注意です。
象=触れちゃいけない話題(タブー)
There is an elephant in the room. は「この場で触れてはいけない話題がある」ということを暗に示す意味合いがあります。
Oxford英英辞典は、「the[an] elephant in the room」を次のように説明しています。
A major problem or controversial issue which is obviously present but is avoided as a subject for discussion
つまり「elephant」は、そこに居合わせた人がみな重要と問題と認識していながら、あえて触れずにいる、そういう議題を指す比喩なのです。
日本語に訳すなら「空気を読め」のように言い換えられるのではないでしょうか。
「the」と「an」の使い分けに注意
「elephant」の前に置かれる冠詞は、定冠詞「the」も、不定冠詞「an」も、どちらも使えます。これはフレーズを組み込む文章の構成に応じて適切に選ぶ必要があります。
「There is ~.」という構文では、「There is」の後ろに来る単語に定冠詞「the」をつけることはできません。この構文を使う場合には「an elephant」の形が用いられます。
There is an elephant in the room.(触れちゃいけない話題があるんだよ)
That issue is the elephant in the room when my girlfriend is here.
(僕の彼女がここにいるときは、その話題はタブーだからね)