2016年の干支は申(さる)ということで、サル(猿)も年始から大忙し。年明け一番に開園した動物園は、サル見物に訪れた人で賑わいました。
日本におけるサルは身近な、親しみを感じさせる存在といえます。創作のモチーフとしてもひんぱんに登場します。主なイメージは俊敏・器用・知恵者、ただし小賢しくてドジを踏むといったところでしょうか。ことわざや慣用句の中では、ちょっと足りないヤツとか、野生じみた野暮ったいヤツというような扱いも多く見られます。
英語の中でもサル(monkey)はたいてい人を蔑むイメージと伴に使われています。サルに喩えることがどういう意味を伴うのか、慣用表現を通じて西欧のサル観が見えてきそうです。
目次
「monkey」は基本的にこざかしいイメージ
英語でサル=monkey を使ったフレーズは、多くが小馬鹿にしたニュアンスを伴います。(日本語も同様ですが)。人間じみているが人間には及ばない者、叡智や思慮に欠く者といった見方が中心となっていることが垣間見えます。
monkey が動詞として用いられる場合
monkey は、自動詞で「いたずらをする」「いじくる」という意味があります。一般的には、小さな子供に対して使われています。名詞では、「サル」という意味以外に、「いたずら小僧」「麻薬中毒」という意味でも使われます。
My brother and I were monkeying around and he was pretending to try to kick me.
弟と私はふざけあっていて、弟は私のことを蹴る真似をしてみせた
This is just the place for those who like to monkey around.
この場所は、いたずらをするのが好きな人のためだけにあります
The boy monkeys about with a machine.
その男の子は機械をいじくる
「make a monkey of」は人をバカにする
これは、「人を馬鹿にする」「人を笑いものにする」という意味です。make a fool of に言い換えることができます。
Are you trying to make a monkey out of me?
わたしのこと、バカにしているの?
He made a monkey out of himself at the party. He just wanted to gather attention.
彼はパーティーでおどけてみせた。彼は注目を集めたかったのだ
「get one’s monkey up」は猿のように怒らせる
これは、「~を怒らせる」という意味です。put one’s monkey up とも言います。「猿のような状態」つまり「猿がキーキー騒ぐ状態」を怒っている様子になぞらえたようです。
They made a loud noise even after the midnight, and finally put her monkey up.
彼らは真夜中を超えてもうるさくしていたため、ついに彼女を怒らせた
He gets his monkey up if you tell him that he’s wrong.
彼に間違ってるなんて言ったら、きっと怒るぞ
「monkey business」はインチキ商売
これは、「悪ふざけ」という意味の他に「信用ならない罠」という意味もあります。会社や商売については、「汚職」や「インチキ商売」という意味で使われることもあります。
He started monkey business.
彼はインチキを始めた
I do not trust her. I heard that there is some monkey business going on.
私は彼女を信じない。インチキ商売が行われているって聞いたんだ
The papers found lots of monkey business when they investigated that company.
新聞紙がその会社を調査したところ、多くの汚職が明るみに出た
驚いたときには「I’ll be a monkey’s uncle!」
これは、とても驚いたときに使う表現です。I am amazed! や I was surprised! と言い換えることができます。
I won $1,000,000 in the lottery!-Well, I’ll be a monkey’s uncle!
宝くじで1,000,000円当てたよ!―それは、まったく信じられないや!
I’ll be a monkey’s uncle. I never thought you would get married with someone!
驚いたよ。君が結婚するなんて想像だにしていなかった!
これを見る限り、「インチキ」「うるさい」「バカにする」など、サルに良いイメージはなさそうです。そもそも、サルはアジアやアフリカ、南米に主に生息しています。欧米の人にとっては、特に身近な存在でもないのかもしれません。