目に鮮やかな黄色い見た目、食べるとまろやかな甘さ。フルーツの大正義「バナナ」。英語にはバナナを使った表現・言い回しが沢山あります。日本でもなじみの深い果物ですが、英語圏では日本以上に生活文化に根付いていると言えそうです。
バナナが登場するフレーズは、必ずしも好ましい意味ばかりでなく、ちょっとネガティブな意味を持つ表現が多めです。「実が柔らかい」「皮がスベる」といった要素がそうさせるのでしょうか。
バナナな奴はバカのイメージ
banana は俗に「頭がわるい」「正気でない」という意味で用いられることがあります。
banana-head
■ 馬鹿
バナナヘッド はスラングで「ばか」「まぬけ」といった意味の語です。てめえの脳みそはバナナかよ、というようなニュアンスなのでしょうか。
なんで7月にあんなコートを着てるのか、あの馬鹿女に聞いてみてよ
go bananas
■ 狂ったようになる
直訳すると「バナナになる」ですが、これで「気が狂う」「頭がおかしくなる」といった意味合いが表現されます。「怒る」「感情的になる」というニュアンスです。
私は彼の頭がおかしくなるかとおもった
a banana republic
■ 貧しい途上国
a banana republic (バナナ共和国)は、貧しく頽廃した小国を指す言い方です。特に中南米あたりの国について用いられることが多くあります。バナナ農園すなわち第一次産業を主力とし、政府も弱く、外国資本に国運が左右されるような国を指します。
人々は、経済が立ちゆかなければ国が崩壊するのではないかと恐れている
banana oil
■ 不真面目な話
banana oil は、バナナ由来の油分、ではなくて、バナナの香りの元となる芳香成分(酢酸アミル類)を指す語です。バナナの香りがするのに、バナナから採れるわけではない。ここから「不真面目な話」「ナンセンス話」といった俗な用法が生まれたようです。
ただし、この「不真面目な話」といった俗な用法は20世紀前半に用いられていた言い方で、今日では半ば廃れた言い回しと考えた方がよさそうです。
僕が予選1回戦に通らないことはわかってるから、おべっかを使うのはよしてくれ
バナナの皮は滑る
バナナを見て思い浮かぶイメージは、皮を踏んですっ転ぶ姿。バナナを皮が滑るという認識は洋の東西を問いません。
make like a banana and split
■ すぐに立ち去る
split には「割く」「割る」といった意味の他に、「立ち去る」という俗な意味があります。make like a banana and split は、バナナを半分に切り割って(split)アイスクリームに乗せたデザート banana split と「立ち去る」(split)をかけたシャレです。
その人たちは、赤ちゃんに授乳するために帰宅せねばならず、すぐに立ち去った
one-banana problem
■ サルでも解決できる問題
one-banana problem は「サルがバナナを1本とるぐらい」という、簡単さの程度を表現する言い方です。難しく考えたり努力したりする必要のない問題。日本でいえば「朝飯前」くらいの感覚でしょうか。
心配しないで、それぐらい簡単にできるから
a banana skin
■ 恥ずかしい問題を引き起こす原因
バナナの皮は踏めば滑って転ぶもの。人前で転ぶという赤恥の原因となる忌まわしき物体です。banana skin は特に政治の分野において、「公に失態をさらすような要因となるもの」という意味で用いられます。
新しい税制度は政府にとって転落のもととなった
トップバナナは第一人者
悪いイメージとは関係なく、ポジティブな意味合いで、人物を形容する表現にbananaが登場する用い方もあります。
top banana / second banana
■主役 / 脇役
組織において、その集団を率いるリーダー、目立っている人、輝いている人を指して top banana という言い方があります。そのトップバナナを引き立てる、次点に位置する名脇役は、同様に second banana と呼ばれます。
リーダーに聞いてください。彼は今外出中です。
併せて参照:あの人は「トップのバナナ」? bananaを使った英語表現