日本語の「差し出す」「提供する」「供給する」という意味合いは、英語の offer 、 supply 、 provide 、 present などの語で表現できます。いずれの英語表現も日常会話やビジネスシーンでよく使われる基礎的な動詞です。
日本語の「提供」も中々に分かりにくい表現です。では「差し出す」のような表現で言い換えられるかというと、必ずしもそうとは言い切れません。思い切って日本語訳を度外視して英語のまま把握した方が、きっとうまく理解できます。
英語の offer や supply の意味・ニュアンス・使い方は微妙に異なります。比較しつつまとめて身につけてしまいましょう。
目次
「offer」は能動的に差し出すニュアンス
offer は「提供する」あるいは「差し出す」「申し出る」といった訳語が対応する動詞です。語源は《 of(~に)+ferre(持っていく)》という構成で成り立っており、自分の意思で相手にはたらきかけるというニュアンスを強く含みます。
offer は「売りに出す」「提議する」「お供えする」といった意味合いでも使われます。基本的には他動詞ですが、自動詞の用法もあります。
人々はある程度の社会的変化をもたらす候補者を選ぶだろう
官僚が数社に賄賂を渡していた
「supply」はどちらかと言えば受け身のニュアンス
supply は《 sup(十分に)+plere(満たす)》という構成の語源があり、相手の要求や要望に応じて行動を起こすという、事後的で受け身のニュアンスがあります。日本語ではもっぱら「供給する」と訳されます。
たいていの場合、供給する相手を目的語に取って「with 何」のように供給物を言い添える言い方と、供給物を目的語にとって「to 誰」と相手を言い添える言い方が用いられます。
私達の組織はその地域で難民に食料供給を行っています
弊社はその学校に文房具を納入しています
「provide」は事前準備を伴うニュアンス
provide は、ほぼ supply と同じ意味合いの動詞です。言葉の構成は《 pro(前もって)+vide(見る) 》といったところで、あらかじめ準備して提供するという、事前の能動的な準備を伴うニュアンスがあります。
日本語では「供給」とも「提供」とも訳されます。
provide も他動詞で、たいてい《目的語に提供物+前置詞「for」+提供する相手》という形を取るか、あるいは《目的語に提供相手+前置詞「with」+提供物》という形を取ります。
私たちの会社は社員に制服を給付している
このボランティア組織は高齢者支援サービスを提供している
「present」は提示物がそこにあるニュアンス
present は動詞の語義に「提供する」あるいは「提出する」といった意味合いがあります。ただし提出・提供の意味でこの present の語を用いる機械はあまり多くないようです。また、比較的フォーマルな場面に向いた表現といえそうです。
present は 《pre (前に)+sent(ある)》という構成の語で、目の前にある状態にするニュアンスが根本にあります。形容詞の用法における「今この」「出席している」という意味や、名詞の用法の「現在」あるいは「贈り物」という意味なども、同じ根幹イメージが感じられます。
動詞 present も provide と同じく、たいてい前置詞「to」あるいは「with」と共に用いられます。
部長が私に最多売り上げ賞を授与した
教授は証明書を私に送った