ここがポイント
- ocean は「海洋」「大洋」。
五大洋(太平洋や大西洋など)の広大な海を意味する語。 - sea は ocean よりは小さくて身近な海。周囲に陸地がある海。
おそらく大抵の文脈で「海」の訳語として適切な単語。 - marine は名詞の「海」ではなく形容詞で「海の~」
- beach は海辺、浜辺、砂浜、渚、もしくは川辺。
- coast は海岸。特に陸地からみた海岸を指す。
- shore は海上から見た海岸。川岸を指す場合もある。
- bay は「湾」または「入り江」
- cove は湾内の比較的小さな入り江。
- gulf はペルシャ湾メキシコ湾クラスの大きな入り江。
英語で「海」を意味する単語といえば、ひとまず sea が思い浮かびますが、ocean (オーシャン)や marine(マリン)などの単語もあり、使い分けに迷いがちです。
sea や ocean は意味合いに違いがあり、文脈によって使い分けられます。ざっくりと sea は「海」に、ocean は「洋」に対応するニュアンスと捉えておけば迷うことはないでしょう。
「sea」「ocean」「marine」の意味の違いとは
「海」に対応する語としては sea がまず思い浮かびますが、まずは ocean から見ていきましょう。
「大洋」を表現する語は ocean
ocean は「外洋」、「大洋」、「遠洋」、つまり、ひろびろと広がる海を表現する語です。sea よりも広範囲の海を指します。
いわゆる世界の五大海洋(北極海・太平洋・大西洋・インド洋・南極海)は、いずれも ocean の語で表現されます。
逆に、身近な「海」の意味ではなかなか使う機会の少ない語ともいえます。
世界の五大海洋
- 大西洋:the Atlantic Ocean
- 太平洋:the Pacific Ocean
- インド洋:the Indian Ocean
- 北極海:the Arctic Ocean
- 南極海:the Antarctic Ocean
sea はより近い・狭い範囲の海
sea は「海」を指す語として最も基礎的かつ一般的な表現です。ocean と比べると狭い範囲の海を指します。
sea は陸に近い部分の海もしくは一部や全部が陸地に囲まれた海という意味合いを含む場合が多々あります。地中海や紅海などの内海の名称に用いられることもあります。
英文の中の sea を日本語に訳す場合、文脈によっては「海」よりも「海岸」や「海浜」などと訳した方がしっくり来る場合もあります。
比較的小さな海
- 地中海:the Mediterranean Sea
- 紅海:the Red Sea
- アラビア海:the Arabian Sea
- 南シナ海:the South China Sea
- 瀬戸内海:the Seto Inland Sea
また、地形としては厳密に海ではなくて湖ではあるものの、常識的な湖の範疇を超えるような広大な湖を指して sea と表現する場合もあります。世界最大の湖である「カスピ海」は、the Caspian Sea のように lake ではなく sea を使って表記します。
海ではないが規格外に大きな湖
- ガリラヤ湖:the Sea of Galilee
- 死海:the Dead Sea
- カスピ海:the Caspian Sea
- 黒海:the Black Sea
marine は形容詞で「海の~」
marine は名詞と形容詞のどちらの用法もある語です。「海」の関連で用いる場合はもっぱら形容詞です。
名詞として用いる場合は「海軍」を意味します。
形容詞の用法では「海の」に加えて「海上輸送の」という意味合いもあります。
形容詞「marine」を使った頻出用語
- 海洋学者:marine biologist
- 海上交通:marine traffic
- 海の生き物:marine life
- 海上保険:marine insurance
offshore は岸から離れた海上
海に関連する英単語としては offshore も挙げられます。
offshore は日本語では主に「沖」と訳されます。岸から遠く離れた海上、もしくは湖上を指します。同じ形で形容詞としても使うことができ、「沖の」と訳されます。
また、offshore は岸(陸地)から遠く離れていることから、「海外の」「国外の」という意味でも使われます。海外から輸入してきた製品や制度に対して使われます。
offshore は主に形容詞・副詞として扱われますが、動詞として用いられることもあります。動詞の意味は「海外に移る」という感じ。海外に移住する、あるいは、海外に移転する、という意味合いを示します。
overseas は海を越えた海外
overseas は副詞や形容詞として用いられる語です。副詞の意味は「外国へ」「外国の」といったところ、形容詞では「外国からの」という意味になります。
陸続きで国境を越えれば国内外という外国ではなくて、はるばる海を越えて来なければならないような遠い国、というニュアンスのある表現です。
副詞「overseas」を使った頻出フレーズ
- go oversea :外国へ行く
- live overseas :海外に住む
英語で「海」(sea、ocean)を使った慣用句
sea of
sea of something という表現は、日本語で「人の海」と表現する言い方と同様、「大量の」「一面の」という意味合いの言い回しです。たいてい large amount of ~ と言い換えられます。
特に in a sea of people は、「人ごみの中で」「人の波の中で」を意味するフレーズでよく使われます。
祖母は山ほどの心配事を抱えており、そのせいで悲観的になっている
人ごみの中で、常にあなたの顔を探してしまう
心の中で荒れ狂う感情をどのように扱えばよいのか分からない
oceans of
oceans of something は、とてつもない広さや量を表現する言い方として用いられることのある表現です。sea of something よりもさらに甚だしい規模の分量を表現する際に使えます。
その若い男はとてつもないエネルギーを持っている
いたずら好きな弟は、いつもとてつもない量の問題を抱えている
at sea
一転して at sea は「困惑する」という意味の表現です。be confused と同様の意味です。
新人達は我々のコンピュータシステムに困惑している
run away to sea
run away to sea で、(特に、若い男性が)家族を置いて船員になることを表します。
おじは20歳のころ、家族を置いて乗組員になった
put out to sea
put out to sea で、「港を出る」「航海の旅を始める」と訳せます。out は省略して使うこともできます。
sea change
sea change で、「完全なる変貌」「急激な変化」を意味します。通常、sea change が指しているのは良い方向への変化です。
sea change を使った頻出フレーズ
- go through a sea change :大変貌を遂げる
- bring a sea change :著しい変化をもたらす
- time of a sea change :変動期
我々は完全なる変貌を前に、口は開けていたが何も言うことができなかった
古びた町は一変した
日本語で「海」を使った慣用句
日本語で「海」を使った慣用句は、英語ではそれぞれどのように表現されるのでしょうか。
「火の海」
「火の海」は、英語で sheet of fire と表記します。sheet of は「一面の」という意味があり、sheet of fire で一面が火で覆われている状態を表しているのです。
また、「氾濫」「大洪水」を意味する deluge を使って、deluge of fire と表すこともあります。
「火の海になる」は、in a sheet of fire、in a deluge of fire です。また、be in flames と言い換えることができます。
起きたとき、ホテルは一面火の海になっていた
「血の海」
「血の海」は sea of blood と表されることもありますが、pool of blood の方が一般的です。pool of blood を日本語で直訳すると、「血のプール」「血の池」です。
「海の幸」
「海の幸」は、gift from the sea と表します。「海からの贈り物」です。
英語では、海産物を特別に有難がる呼び方がないため、単純に seafood(海鮮食品)と言ってしまう場合も多いようです。「海の幸」という言葉自体が、日本独特の言い回しなのでしょう。