英語の発音を上達するには、一にも二にも練習あるのみです。練習方法は人それぞれ、自分に合った方法を見つけましょう。
発音の練習に取り組むに当たっては、取り組み方のコツというか、意識しておくと学習がはかどる「心構え」のようなものがあります。多分に曖昧で抽象的な部分もありますが、ぜひ留意してみてください。
発音は教科書を通じて綴りと一緒に憶える方法が基本
発音を学ぶ方法は究極的には何でもアリです。洋画を観たり洋楽を聴いたりして楽しみながら学ぶことも可能でしょう。いきなり海外に行くという方法だってあります。
とはいえ、学び初めの段階では、教科書・参考書から学ぶ方法が、いちばん堅実・手軽・効率的でしょう。
はじめに教科書で「型」を学ぶ
英語の発音には、ある程度のルールがあります。各母音や子音、典型的スペリングのパターンごとに発音の仕方は決められていて、その発音を再現するための口の形や舌の動かし方も決まっています。
こうしたルールは教科書に書いてあるので、それらを読みながら実際に発音してみて、感覚をつかむことが発音練習の第一歩となるでしょう。
英語の発音は実践的な会話を通してこそ身につく、という考え方が頭をよぎることもあるでしょう。でも最初は基礎が大切です。まずは正しいフォームを体に染み込ませるようにして身につけること。野球や水泳や剣道や書道と同様、英語の発音も体で「型」を覚えることが大切です。
単語の綴りと一緒に覚える
単語は「意味」「綴り」「発音」を不可分の要素としてまとめて憶えましょう。英語の発音を学ぶ場面でも、綴りをないがしろにせず、しっかりと意識しつつ発音を学びましょう。
発音練習の際に綴りを意識しておくと、微妙に音の似た語が綴りを手がかりに区別できるようになります。聞き分けることも、言い分けることも容易になります。
微妙な発音は徹底的に区別できるようにする
たとえば、「b と v」あるいは「l と r」といった字の音は、日本語のカナ表記ではほぼ書き分けられません。
日本語的な耳には best(最高)も vest(服のベスト)も「ベスト」に聞こえてしまいます。慣れるまでは綴りをしっかり意識しなくてはいけません。
BとVが違うだけの要注意単語10選
LとRが違うだけの要注意単語16選
beverage や vibes 、relay 、laboratory という風に、単語の中に似て非なる発音が含まれる場合、発音も綴りも混乱してしまいがちです。発音と綴りの両方を同時的に把握することで、相互に補強し、間違いを抑えられるようになります。
sとsh も区別しにくい音です。発音の際の「型」がしっかり身についていないうちは、うっかり日本語的な発音・発声に流れてしまって、ゴチャ混ぜに発音してしまがちです。
日本語の「シ」の発音はどちらかというと sh に近い音です。何も意識せずに「シ」と言うと、 see は she の音になり、sit は sh*t になってしまいます。
母音も意外と見過ごされがちですが、正しい発音の難しい例の一つです。
例えば aとu が違うだけで ankle(足首)とuncle(おじさん)、 bag(かばん)とbug(虫)、 staff(社員)とstuff(物)、 fan(うちわ)と fun(楽しい)と、こんなにも意味の違ってしまう単語が多くあります。
いざ話す段になってつまずかないように、事前にスペルの確認と発音の仕方を押さえておきましょう。
練習はあえて大声を意識するのもコツ
英語の発音練習は、声を出す練習です。周囲に人がいてもいなくても羞恥心を覚えてしまうものです。どうしても小声になりがちです。小声になると口の動きも小さくなります。
正しく発音するための「型」を身につけるには、口をしっかり開けて、メリハリを付けて口の形を変える必要があります。口をしっかり動かして発音することは英語の発音においてとても大切です。
実践会話においても、はじめのうちは間違いを恐れてしまって小声でボソボソと話してしまいがちになります。これでは相手に声は届きません。
英語は口の形から表情を読み取り、会話の手がかりにします。開けるときは開ける、すぼめるときはすぼめる、大げさなくらいのメリハリが必要です。
口の形もさることながら、声の抑揚も大事です。アクセントの置き方、文中の大事な語を特に強く発音する言い方なども意識しましょう。
表情や抑揚は会話内容を補足する情報でもあります。発音が多少不正確でも、表情や抑揚・アクセントから主旨を理解してもらえるという場合も多いものです。
実践英会話でありがちな戸惑いポイント
相手の発音が教科書で習った音とかなり違う
教科書で習う発音は、あくまでも英語の典型的あるいは標準的な例にすぎません。実際は教科書とかけ離れているのが普通です。
英語にも方言や訛りのような地域差があります。国や地域によって、発音や言葉の選び方がかなり違ってきます。
アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアといった大陸レベルの地域差もあります。同じ国の中にも「南部訛り」があったり、同じ地域にも身分・階級によって発音や語彙が違ってくる場合もあります。
教科書の英語は模範、いわばテレビのニュース番組のアナウンサーが話す日本語のようなもの。そう考えれば一般人の皆が皆そういう風に模範的な話しかたをするわけではないことも納得できます。
そして、現地で話されている英語の実体は、現地で触れるしか方法がありません。学んできた模範的な発音を土台にしつつ、周りの人の発音もよく聞いて、どちらも自分のモノにしましょう。
英語の中にも外来語があり、発音はまるで予測不能
英語の中にも他言語の語彙がそのまま取り入れられた「外来語」が多くあります。ラテン文字の外来語は外国語の綴りと発音のまま英語の中に溶け込んでしまうため、英語のルールを完全に度外視した綴りと発音になる場合が多々あります。
特にフランス語由来の言葉は綴りから発音を推測することすら困難な場合があります。 coup d’état (クーデター)のような語は英語知識だけではまず読めません。
日本語由来の語彙は、必ずしも日本語に忠実な発音ではないという点に注意が必要です。sake (酒)は「サキ」に近い発音、や karaoke(カラオケ)は「キャラオゥキ」に近い発音になります。日本語的に「サケ」と発音して通じるかどうか、怪しいところです。
会話中に単語そのものをよく知らない語が出てきた場合は、素直に相手に質問しましょう。
だんだん自信を失い消極的になる
実践会話をいくらか続けていくと、徐々に「自分の発音は間違っているのでは」「自分の発音はヘタなのでは」という気分に陥ってしまい、会話に消極的になってしまいがちです。これは非常にもったいないことです。
消極的になれば声も表情も萎縮し、英語の英語らしい部分が失われます。英語らしからぬ英語はもちろん通じにくくなります。そうすると「発音がヘタなのでは」という自分の懸念が実現されてしまいます。自分でそれを招いてしまうわけです。
世界には英語話者はゴマンといますが、そのうちネイティブスピーカーの割合は2割強くらいと言われています。つまり、英語話者の大多数にとって英語は第二言語であり、英語を学ぶ苦労を知っている人です。
英語が少しくらい稚拙だったからといって怒る人はいません。失敗を恐れず、先輩の胸を借りるつもりで挑みましょう。そして、せっかく胸を借りるのだから萎縮せず堂々と全力で挑みましょう。