映画「フォレスト・ガンプ」の名言を詳しく読み解く

My momma always said,”Life was like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get.”

―― ママはいつも言っていた。「人生は、ひと箱分のチョコレートみたいなものよ、何が起こるかわからないの」って。

これは1994年公開のアメリカ映画「Forrest Gump」に出てくる言葉です。

足が悪くて知能の発達も遅かった主人公の少年(Forrest Gump)の母親の生前の口グセであり、母の最期の言葉でもあります。成長して大人になった後、 Forrestは波乱万丈の人生を振り返ってこの言葉を思い出します。

Life was like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get.

人生は box of chocolates

母のセリフは2つのセンテンスで構成されています。前の一文は、人生を「a box of chocolates」に例えた表現です。

「a box of」は「~の箱」あるいは「ひと箱の」という意味合いで、ここでは箱そのものを指すのではなく箱に入ったチョコレートを指しています。ひと箱にはたくさんのチョコレートが入っているため、a box of chocolates と複数形で示されます。

この「a box of chocolates」は、ひと箱の中に色んな形や味のチョコレートが入ってるチョコレートアソートなんです。サクマ式ドロップスをイメージするとよいでしょう。箱の外から眺めただけでは、どんなチョコレートが口にできるかわかりません。

後方のセンテンスは You never know what you’re gonna get.  直訳すれば「何をとるかはわかりっこない」。これは、前半を受けて、人生のできごとをチョコレートに見立てた表現です。どんなできごとに面することになるかは、事前になんて分かりっこない、といった含蓄です。

人生も、実際に生きてみないと、いつ何が起こるかわからないものです。

ただ、母さんの話は人生がチョコレートに見立てられているので、不安というよりは期待やワクワク感といったものが感じられますね。


文法的な要点

一般論としての you

「You never know」の you は、二人称の「あなた」よりもむしろ「一般的な人」を指す言い方です。格言などで多く用いられる用法です。訳するなら「人は誰でも」という風になりますが、日本語に訳する場合はふつう省かれます。

never を使った否定構文

「you never know」は肯定形の「you know」に「絶対に~ない」という意味の never を入れて、「絶対にわからない」という意味になります。Nobody knows(誰にもわからない)や、God knows(神のみぞ知る)に近い意味と言えます。

You never know what can happen.
実際どうなるか分からないよ。

3 minutes left. The game is over.
あと残り3分。もうこの試合は終わった。
You never know.
まだわからないよ。

省略形の gonna

「you’re gonna get 」は「何をとることになるか」という意味。この gonna は  going to(~する予定である)のくだけた表現です。

I’m gonna do it.
そうしようと思う.

What are you gonna do?
何をするつもり?

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Life was ~ 」が過去形(was)のワケ

映画「Forrest Gump」で主人公が振り返った場面では、“Life was like a box of chocolates.” と、過去形の時制で語られています。

作中に母が述べた言葉は、“Life is a box of chocolates.” と現在形であったにも関わらずです。

Forrest: What’s my destiny, Momma?
フォレスト:僕の運命って何なの、ママ?
Mrs. Gump: You’re gonna have to figure that out for yourself.
Life is a box of chocolates, Forrest. You never know what you’re gonna get.
ガンプ夫人:それは自分で見つけ出さなくちゃいけないのよ。
人生はひと箱のチョコレートなの、フォレスト。何が起こるかわかりっこないの。

 

なぜ過去形で表現されたのか? この点については、英語圏でもナゾとして扱われているようで、決定的な解釈が見いだせない状況です。

英語圏の同作品ファンの間でも、この部分の解釈はしばしば議論の的となっています。

ソーシャルメディア「reddit」のトピック(Life “Was” like a box of chocolates)では【1】「間接話法だから時制を揃えている」説、【2】「南部方言だから訛って was に聞こえている」説、などが挙げられています。

【1】間接話法説
My momma always said (that) Life was like a box of chocolates.You never know what you’re gonna get.

主節の動詞 said が過去形なので、それに合わせて副節が過去時制になっているという節です。もっともらしい感じですがこれも確定的ではないようです。

【2】南部方言説
My momma always said , “Life is(uz) like a box of chocolates.You never know what you’re gonna get.”

アメリカ南部の訛りでis のところががwasのように発音されている、という説です。もっともらしい感じがしなくもありませんが身も蓋もない印象も・・

【3】reddit では、他にも「”Life’s like”と短縮形なのでは」という説や、「スクリプトが間違っているのではないか」といった説も挙げられています。今なお諸説紛々という感じです。

映画のセリフ(スクリプト)としてではなく、同作品から引いた「名言」としてこのセリフが紹介される場合は、大抵の場合「 Life is like a box of chocolates. ~」と、現在形で紹介されているようです。

 

悲しい事があっても、次の日には嬉しい事があるかもしれませんし、その逆も然り。人生山あり谷あり、何が起こるかわからない。ちょっと挫けそうになったら、この母の言葉を思い出してみてはいかがでしょうか。

Life is like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get.




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