カリスマ実業家として名を馳せたスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)。新型 iPhone を片手に記者発表する氏の映像は、2000年代後半を通じて世界中の多くの人が目にしました。2011年、56歳で世を去りました。
スティーブ・ジョブズの生涯はまさに激動です。21歳で起業し、25歳で長者番付に登場、30歳で自社から追い出され、ピクサーを設立してディズニーへ売却、そしてアップルに復帰し、iPhone 等の発表によりアップルを時価総額世界一の企業へ成長させる。もはや「イノベーションの権化」と言っても過言ではないと思える程。
ジョブズが30代の頃は、自身が立ち上げたアップル社を不本意な形で去り、新たなイノベーションを模索した、人生の大きな転換点でした。そんな荒波の中でジョブズが発した言葉は中々に胸を打つ名言ぞろいです。
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I feel like somebody just punched me in the stomach and knocked all my wind out. I’m only 30 years old and I want to have a chance to continue creating things.
―― まるで誰かに腹を殴られて息ができなくなったみたいだ。私はまだ30歳だし、創造し続けるチャンスが欲しいんだ
雑誌「PLAYBOY」1987年9月号に掲載された、ジョブズが職を解かれた際の感覚について語った一文です。30代に突入していっそう燃え立つ創造への熱意が感じられるコメントです。
You can’t just ask customers what they want and then try to give that to them. By the time you get it built, they’ll want something new.
―― 顧客に何が欲しいかを聞いてそれを与えようとするだけではいけない。完成した頃には顧客はもっと新しいものを欲しがっているだろう
1989年のインタビューでの発言です。顧客の「ニーズに応える」よりも、顧客が欲しがるものを先取りして提案して見せるべきだという、ジョブズの姿勢が明確に述べられています。
What a computer is to me is it’s the most remarkable tool that we have ever come up with. It’s the equivalent of a bicycle for our minds.
―― 私にとってコンピュータは人間が考え出した中でも最も優れた道具だ。コンピュータは人間の頭脳のための自転車のようなものだ
ジョブズがコンピュータを想像力を発揮するための道具として重要視していたことが読み取れます。「自転車」が(自動車などではなく)あくまで自分で漕いで進むものに喩えられている点もポイントかも知れません。
Life can be much broader once you discover one simple fact: Everything around you that you call life was made up by people that were no smarter than you and you can change it, you can influence it, you can build your own things that other people can use.
―― 単純な事実ひとつ。これに気づきさえすれば人生はもっと広がる。こういうことだ:あなたを取り巻いている、あなたの人生なるものは、全然あなたより賢くもない連中が作り上げたものであって、あなたはそれを変えることもできるし、それに影響を及ぼすこともできるし、他の人たちも使うであろう何かを自分のために築くことだってできるのだ。
常識に甘んじる必要はない、自分の人生は自分で変えられる、という力強い一文です。普遍的でもあり、達観した境地すら感じられます。
They’re babes in the woods. I think I can help turn Alvy and Ed into businessmen.
―― 彼らは森の中の赤ん坊だ。きっと私はアルヴィとエドがビジネスマンに変貌する手助けができるだろう
1986年のTIME誌に掲載されたコメントの一文です。この年、ジョブズはピクサーの最高経営責任者(CEO)に就任しました。ただし、ピクサーの経営そのものにはあまり深く関与しなかったといいます。むしろピクサーの共同創業者であるエド・キャットムルとアルヴィ・レイ・スミスをビジネスマンとして鍛え上げることに情熱を向けていたことがうかがえます。
Being the richest man in the cemetery doesn’t matter to me … Going to bed at night saying we’ve done something wonderful… that’s what matters to me.
―― 墓に眠るときに一番の富豪になっていること、これは私にはどうでもいいことだ。夜に眠るときに、「素晴らしいことをした」と言えること、それが肝心だ
ジョブズにとっては金銭・資産よりも「やりたいことをやる」ということが大切だったという信念が明確に表れた言葉です。実際、後年はアップルからは給与を「年1ドル」しか受け取っていなかったといいます。
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いわゆる「名言」の数々は、人生のものの見方を豊かにしてくれます。日本語に訳された名言も多々ありますが、英語原文で読むとニュアンスもまた異なり、訳文では見いだせなかった発見があるものです。もちろん英語の学習にも役立ちます。
気になる名言を見つけたら、その名言が生まれた背景、名言を編み出した人の生涯などについて、すこし詳しく調べてみることをオススメします。きっと言葉そのものから得られた以上に深い感慨が見いだせるはずです。