壮大な歴史を重ねてきた重厚感あふれる街もよいが、カラフルにビビッドに彩られた景観というのもまたオツなものだ。世界には絵本のような、あるいは現代ポップアートのような、まさに異彩を放つ町並みがある。
遠景から眺めれば架空の景色にも思えるが、街中にお邪魔すると確かにそこに暮らす人々がいる。彦麻呂フリークなら「街全体が色彩の玉手箱や~」なんて感想をもらしてくれるに違いない。
ボ・カープ(南アフリカ)
南アフリカのケープタウンにあるボ・カープ(Bo-Kaap)地区は、壁面がポップカラーにいろどられた家々が立ち並ぶんでいる。隣り合う家々が異なる色に塗り分けられていて目に楽しい。
ボ・カープ地区には、かつて植民地時代にオランダがアジアから連れてきた人々(ケープ・マレー)のコミュニティがある。アフリカ、ヨーロッパ、そしてアジア、異なる文化テイストが織り成す独特の風土も、この近辺の特徴だ。
セントジョーンズ(カナダ)
セントジョーンズ(St. John’s)は北米大陸の東端に位置するニューファンドランド島のさらに最東部にある港町だ。この地名は大航海時代の島の第一発見者に由来するとされる。その意味では北米におけるヨーロッパ文化の最古の歴史を持つ都市の一つとも言える。
セントジョーンズの街には青や赤に塗られたカラフルな家々が一列に立ち並ぶ。この景観はジェリービーン・ロウ(Jellybean Row)という愛称で呼ばれる。
セントジョーンズは世界で最も霧が深い街でもある。視界を遮るような濃霧と、家々の鮮烈な色とは、決して無関係ではないだろう。
キュラソー島(オランダ領)
カリブ海に浮かぶオランダ領キュラソー(Curaçao)島には、オランダ植民地時代に建てられた建築物が多く残る。おとぎ話の絵本に出てくるような形と色が愛らしい。
キュラソーはオレンジを使ったリキュールの名前として知られているが、これは元々はキュラソー・リキュールがキュラソー島のオレンジを使って製造されていたことに由来する。
キュラソーは、町の美観もさることながら、ダイビングやスキューバダイビングが満喫できるスポットでもあり、リゾート地として高い知名度と人気を誇る。
なお、まったくの余談だが、キュラソー島はバレンティンやアンドリュー・ジョーンズの生まれ故郷でもある。やきう民なら要チェックだ。
チンクエテッレ(イタリア)
チンクエテッレ(Cinque Terre)は、北イタリアの海岸沿いに連なる5つの村の総称である。そもそも「チンクエテッレ」はイタリア語で「5つの土地」という意味だ。
チンクエテッレでは切り立った崖の斜面にきゅうきゅうと家が並んでいる。セントジョーンズと同様、チンクエテッレも水辺の町だ。船から眺めた景観と、丘から眺めた景観とでは、見え方がかなり違ってステキだ。
チンクエテッレ東端の村リオマッジョーレ(Riomaggiore)からマナローラ(Manarola)にかけては、「愛の小道」(Via dell’Amore)と呼ばれる遊歩道が敷かれている。平坦で歩きやすい散歩道だが、切り立った崖の風景が存分に楽しめる。ただし愛の小道は、2012年にがけ崩れが発生して以降たびたび通行が制限されているので、訪問時には現地情報をチェックする必要がある。
グアナファト(メキシコ)
メキシコの中央部に位置するグアナファト(Guanajuato)の建築には、植民地時代に建てられたヨーロッパ風の建築様式(コロニアル建築)を顕著に見て取れる。コロニアル建築は中南米でよく見られる。ヨーロッパと中南米の文化が混ざり合った独特の雰囲気を持つ、美しい建築スタイルだ。
グアナファト名物といえばケーブルカー。市街地を眼下に一望できるアトラクションだ。日中はおもちゃ箱みたいなカラフルな家々が楽しめる。夜はライトアップされたグアナファトの街並みを眺められる。
グアナファトといえば名所「ミイラ博物館」も外せない。ここには1000体に上るミイラが収蔵・展示されている。