英会話コラム図書館は書物に収められた人類の叡智を保管する施設であり、「知」そのものにかかる場所だ。図書館には国や地域の歴史や文化が凝縮されている。大規模な図書館ならなおさらだ。
図書館を訪れる人々の目的は多種多様だ。そこにしかない資料を求めに来る人、新聞を読みに来る人、勉強しに来る人、くつろぎに来る人、あるいは純粋に図書館の雰囲気を満喫しに来る人。
美しくオシャレな図書館の中で勉強や読書をする自分はかっこいい。そんなナルシシズムも学習意欲の向上に一役買うから案外あなどれない。
ストックホルム市立図書館（スウェーデン）
スウェーデンの首都ストックホルムにあるストックホルム市立図書館（Stockholms stadsbibliotek）は、大きな円形で構成されたフォルムが特徴である。
ストックホルム市立図書館は誰でも無料で入場できる。入館すると、まず円形の書架とドーム型の天井でできた空間が眼前に広がる。
図書館の設計担当は、ストックホルムの世界遺産「森の墓地」を設計したことでも知られるスウェーデンの著名な建築家アスプルンド。それゆえ読書人だけでなく建築愛好家にも愛される図書館となっている。
幻想図書館（ブラジル）
ブラジルのリオデジャネイロにある王立ポルトガル図書館（Real Gabinete Portugues de Leitura）は、通称「幻想図書館」と呼ばれている。すでに通称だけでご飯がすすむ。
幻想図書館には総計35万冊にのぼる古書が蔵されている。天井までびっしりと古の本で埋め尽くされた様子は、ファンタジーの世界で描かれる古代図書館そのままといった趣だ。ただし、これらの本は残念ながら一般人が触れることはできない。資料を求めに訪れる図書館というよりは、幻想世界を堪能する圧倒的空間と捉えたほうが実情に近いだろう。
館内の机やイスは解放されているので、本を持参して読んでもよい。もちろん、ただ雰囲気に浸ってもよい。ただ眺めるだけでも大魔法使いになった気分で満たされる。
ヴァスコンセロス図書館（メキシコ）
ヴァスコンセロス図書館（Biblioteca Vasconcelos）は、メキシコの首都メキシコシティにある。天井からつり下がった書架が特徴的な、未来的な雰囲気に満ちた図書館だ。
設計者はメキシコの建築家アルベルト・カラチ。
前掲の幻想図書館がファンタジーの世界とすれば、ここヴァスコンセロス図書館はSF映画の世界と言えよう。館内で存在感を示す巨大なクジラの骨格のオブジェと共に、サイバー空間を縦横無尽に泳ぐ俺、みたいな妄想が捗る。
新アレクサンドリア図書館（エジプト）
エジプトのアレクサンドリアにある新アレクサンドリア図書館（Bibliotheca Alexandrina）は、2001年生まれ、21世紀と共に歴史を刻み始めた新しい建物だ。
新アレクサンドリア図書館は、古代エジプトのアレクサンドリア図書館があった土地に建てられている。古アレクサンドリア図書館は紀元前に建てられた学術機関の中枢である。新アレクサンドリア図書館もかつての威信を取り戻すべく建造されている。蔵書は鋭意追加中だ。
新アレクサンドリア図書館の外観は、地中に埋もれた円柱をコンセプトにしている。壁には世界各国の文字が刻まれていて、古今東西の知の拠点となってきたアレクサンドリアを中々によく体現している。
