手紙(letter)は伝統的な通信手段。アナログな手段ならではの温もりがあります。国際郵便の書き方や出し方を把握して、留学先でお世話になったホストファミリーや親友に心からのメッセージを伝えてみてはいかがでしょうか。
海外に手紙を送るに当たり、いくつかの要素を踏まえる必要があります。
- 郵便の送り方
- 郵便の形式
- 送り先(住所)の正しい書き方
- 手紙の内容を作法に沿ってしたためる
どれも決して難しいことではありません。ひとつひとつ把握していきましょう。
郵便の送り方
やっぱり郵便局
手紙やハガキといった郵便物を海外に送るなら、やはり日本郵便の国際郵便サービスがいちばん無難です。サービスの種類も多く用意されており、価格も全体的に手頃。なんと言っても郵便局から出せる手軽さが魅力です。
輸送・運輸関連の事業者としては、日本郵便の他にも、ヤマト運輸(国際宅急便)をはじめ、FedEx、 UPS、OCS、 DHL、といったサービスも挙げられますが、いずれも荷物・貨物の運送が主体です。
もし「書類の束」のようなものを送るなら、国際宅急便の「書類パック」などのサービスは検討してみてもよいかもしれません。
手紙の形式
日本郵便が提供する国際郵便サービスには、手紙、はがき、国際小包、などの形式があります (グリーティングカードは別枠(別料金)で扱われます)。
手紙
「手紙」は封筒に便箋を入れる形式です。大きさ・重さによって定形と定形外の2種類に区分されます。送る内容物は特に限定されていないため、郵送不可のもの以外は基本的に手紙として送れます。
- 定形郵便物……長辺 14~23.5cm、短辺 9~12cm、厚さ 1cm、重さ50グラムまで
- 定形外郵便物……最長辺 60cm、長さ+幅+高さ=90cm、重さ2キログラムまで
はがき
ハガキは表裏にそれぞれ宛先とメッセージを記した一葉の厚紙です。国際郵便専用のハガキがあり、宛先を除くひととおりの情報がすでに記載されているので、送り先住所とメッセージ本文を記入するだけで送れる状態にできます。そして世界各国どこでも100円以下で発送可能。何よりも手軽で安い方式です。
ハガキのサイズには長辺 14〜23.5cm、短辺 9〜12cm という規格があります。官製ハガキを使用しない場合にはサイズの規格を満たすよう注意しましょう。
小包・小型包装物
何か品物を添えて送りたい場合には、手紙・ハガキではなく小包サービスを利用することになるでしょう。大きさや重さに制限があり、送り先の国・地域によっても制限値が異なるため、注意が必要です。長さ1~1.5メートル程度の荷物も条件を満たせば国際小包で送れます。
国際郵便で送れないものもある
手紙や小包を利用すれば一通りの品物を同封して送れます。ただし危険物は送れません。貴重品の扱いはEMSのみ可能です。同封したいものがある場合は「国際郵便として送れないもの」に該当しないかどうか確認しておきましょう。
写真は数枚程度なら何ら問題なく手紙に同封して送れます。ただしワイセツな写真はいけません。
国際返信切手券
返信を求める手紙の場合、日本郵便が販売する「国際返信切手券」を同封しておくと、相手に返信の郵送料を負担させずに済ませることができます。
ただし、返送郵便物の重量によっては同封した国際返信切手券では送料が足りない場合もあります。ただの折り返し連絡なら電子メールでも十分という場合は、あえて返信用切手を同封しない選択肢もありでしょう。
発送方法
国際郵便は「海を渡る」という特性上、空路と海路のどちらを利用するか=航空便か船便か、という選択肢があります。
日本郵便の場合、航空便には通常の便に加えて「国際スピード郵便」(EMS)という速達サービスと、航空便と船便を折衷したような「エコノミー航空便」(SAL)があり、船便と合わせて計4つの選択肢があることになります。ただし対応する形式や送り先には制限があるサービスもあります。
配達が迅速であればあるほど、送料は高くなります。価格バランスを見て選択しましょう。
航空便
飛行機を利用する便。3日から6日程度で到着します。船便に比べると料金は少し高めですが、さほど大きな時間のズレもなく郵便が届きます。
船便
船舶を利用する便。航空便に比べて送料はかなり安く抑えられる反面、到着に要する期間が月単位(最大で3ヵ月)に及んでしまいます。
エコノミー航空便(SAL)
小包のみ利用できるサービスで、陸上運送では船便として扱い、空路で海を越える、航空便と船便を折衷したようなサービス。料金も時間も空路と海路の中間に位置します。
国際スピード郵便(EMS)
いわゆる特急便。国際郵便の中でも優先して扱われ、国際便なのに最短2日(~4日)程度で送り先の元に届きます。料金も相応に高めではあります。
国際郵便の宛先の書き方
宛先の配置は「右下」
海外に宛てて郵便物を送る場合、基本的に宛先を右下方に、差出人を左上方に書きます。右下方の宛先を大きく目立つように記します。
感覚的には、左上の方が宛先らしい位置取りのようにも思えてしまいますが、左上は差出人です。ここに宛先を書くと、せっかく出した手紙が自分の元へ配達されます。
宛先の書き方は「狭い地域区分から」
住所の書き方は、欧米をはじめとする世界の大多数の国では、日本のように「広い範囲から狭めていく」順ではなく、「最も狭い区域から徐々に範囲を広げていく」順で記されます。
筆頭には送り先の氏名を配置し、そこから建物名、町名、都市名、国名、のような順で範囲を広げていきます。国名の手前に郵便番号が置かれます。
- 氏名
- アパートなどの建物名・部屋番号
- 番地・丁目・町村名・街路名
- 県市区名・地方・州名
- 郵便番号
- 国名
Flower Tower C908
2-2-5 Hanasaki-cho
Kitaku,Osaka
403-3987 JAPAN
国名は大文字で、わかりやすいよう下線などを引いておいたほうが無難です。
航空便で送る場合は「VIA AIRMAIL」と黒か青のボールペンで左下か切手の下に書きます。
新年やクリスマスなど季節の挨拶の場合は、New Year’s CardもしくはX’mas Cardと書いておくと国や地域によってはその日に届けてもらえます。
手紙本文の書き方の作法
相手の名前の表記
手紙の冒頭では、宛名(相手の名前)をまず記します。敬称つきで丁寧に呼びかけましょう。友人相手なら敬称を省いてもよいでしょう。
男性の敬称としては Mr.、女性への敬称には Ms. が無難です。女性の敬称は既婚なら Mrs.、未婚なら Miss. も使えますが、相手の結婚歴が正しく把握できていないなら使用は避けたほうがよいでしょう。
敬称に続く相手の名前の書き方は、ファーストネーム、ファミリーネーム、あるいはフルネームで記す書き方もあります。
Dear Mrs.Horner
Dear Miss.Smith
Dear Ms. Aretha Franklin
手紙の書き出し
すでに互いに見知った間柄の相手なら、直前のやり取りについてお礼を述べて挨拶に代える記述ではじめるとよいでしょう。雰囲気もよくなり、本題にも入りやすい、定番の書き出しです。
「いかがお過ごしですか」あるいは「やあ最近どう?」のような、相手の近況を訊ねる一言も、定番の導入です。
Hi,Tony.
Hello, Tony!
How are you doing?
Hope you’re doing well.
I haven’t seen you for a while.
I hope this letter finds you well.
手紙の締めくくり
本文の末尾も冒頭と同様に挨拶で締めくくります。感謝の言葉や相手への気遣い、あるいは、また会いたい、連絡したいといった気持ち、いわば「前向きになれる言葉」を贈りましょう。
I hope we can see each other sometime.
Please take good care of yourself.
本文を書き終わったら、少しスペースを開けて右端に締め言葉と自分の名前を書きます。
- フォーマルな結句
Yours sincerely, Hanako Yamada
Yours faithfully, Hanako Yamada - カジュアルな結句
Best wishes, Hanako
Warmest regards, Hanako
Your Friend, Hanako
Love, Hanako
手紙を投函する
手紙を作成したらいよいよ投函です。
はがきの場合は、普通の郵便ポストに投函してしまえば、それで大丈夫です。
定形外郵便や小包の場合は、大きさや重さによって料金が変動するので、郵便局の窓口に行って国際郵便で送りたい旨を伝えると確実です。窓口では通常の国内向け郵便物と同じ流れで手続きできます。