海外のレストランでお食事するなら、英語のメニューを読んで料理を注文する必要があります。日常英会話ではあまり使う機会のない料理関連の英語の語彙力が少し必要になってきます。
日本のファミレスなどではメニューに料理の写真がついていて大体どんな料理か一目瞭然ですが、海外のレストランでは写真つきメニューを用意しているお店は稀です。期待する料理にありつけるかどうかは、「メシ語彙力」にかかっています。
予約やオーダーの際にはお店側とのコミュニケーションが必要です。そうした場面で必須の英語フレーズも併せて踏まえておきましょう。
コース料理の基礎知識を踏まえる
メニューは基本的に、「前菜」「サラダ」「スープ」「メインディッシュ」「サイドディッシュ」「デザート」の順で載っています。多くの場合、メニューはコース料理で出される流れに沿って書かれているからです。
前菜、サラダ、スープの中から1品、主催で肉料理か魚料理を頼むのが一般的です。
海外のレストランは、日本のレストランに比べて量が多い傾向があります。日本人では食べきれない量が出てきてしまうこともあるので、店員さんに量を確認しながら注文しましょう。
はじめは軽くつまめる「前菜」
「前菜」は、appetizer もしくは starter と言います。少しカジュアルなレストランですと、starter を使うことが多いようです。ソーセージやチーズの盛り合わせなどがあります。
メインディッシュ前の「前菜」ではありますが、その量はあなどれません。この後、他の料理も楽しみたいのであれば、店員さんに量を確認してから頼みましょう。
tuna carpaccio with pickled ginger:ツナのカルパッチョと塩漬けのショウガ
pan-fried tiger prawns with garlic butter:車エビのガーリックバター炒め
野菜不足を補う「サラダ」も重要な位置づけ
「サラダ」は、salad もしくは greens と言います。レタスなどの葉類で作られた軽いサラダから、お肉なども入ったボリューミーなサラダまであります。あまりお腹がすいていない場合には、サラダだけ頼むのも良いでしょう。
ちなみに、「野菜」は英語で vegetables ですが、メニュー上では簡略化して veggies と呼ばれることもあります。
Caesar salad:シーザーサラダ
crispy duck salad:パリパリした鴨肉サラダ
体を温める「スープ」も重要
「スープ」は、soup です。コンソメスープのようなあっさりしたものから、クリーミーなポタージュまであります。
そしてコースの主役は「主菜」(メインディッシュ)
コース料理の中心といえばメインディッシュ。英語では main dish、main course、または entree と表現します。entree は、「入場」を意味するフランス語です。/άːntreɪ/(アントレー)と発音します。肉や魚などを使った料理です。
main dish をあえて和訳するなら「主菜」あるいは「主食」と表現できるでしょう、けれど、主菜も主食も「副菜」「副食」と対比される語であり、主に(日本の)食文化の脈絡で用いられる表現なので、ちょっと語弊が生じかねません。
海外のレストランで提供される主食は、量が多いため、女性の場合は一皿を二人で分けるくらいが丁度良いかもしれません。
lamb chops with a roast vegetable:ローストした野菜を添えたラム肉
roasted chicken with lemon and garlic comfit:レモンとニンニクのコンフィと合わせたローストチキン
一抹の物足りなさを満たす「サイドディッシュ」
「サイドメニュー」は、side dish や accompaniments です。または、単純に sides と表記したりもします。ポテトや豆など、野菜を使った料理もよく見られます。
パンやライス(飯)もコース料理の中では基本的に side dish に区分されます。
french fries:フライドポテト
※ちなみに、手作り感のある厚切りポテトは hand-cut chips と言います。
side dish は「副菜」「副食」とも訳されますが、やはりコース料理の中の side dish を指すという前提がない文脈では語弊を招く懸念もあります。
食後の別腹「デザート」
「デザート」は、desserts や sweets です。アイスクリームや小さめのケーキが一般的です。
homemade vanilla ice cream:手作りのバニラアイスクリーム
shortbread with Chantilly cream :ショートブレッドの生クリーム添え
特別メニュー
コース料理
コース料理として、いくつかの料理がセットになっていることもあります。日本では「コースメニュー」「コース料理」と言いますが、英語では set menu と呼びます。
ランチメニュー
午前11時から午後2時ごろまではランチメニューを提供しているお店も多いです。「ランチメニュー」は英語で lunch special と呼びます。
料理の内容を知るには調理方法を見る
海外では料理の写真等がついたメニューはほとんど見かけません。料理の内容を知るためには、料理名を読解する必要があります。
料理名は「ラム肉のグリル焼きと、マリネした野菜添え」のように、調理方法が名前となっています。長くて読みにくいのですが、慣れれば大丈夫です。
料理名でよく見る形容詞一覧(アルファベット順)
English explanation | 日本語訳 | 補足 |
assorted | 盛り合わせ | |
battered | 衣付きの | battered は衣をつけて揚げる料理に使います。衣にビールなどを混ぜることもあり、そんな料理は beer-battered~(ビール入りの粉で揚げた~)となります。 |
hearty | 具沢山の、色々な具が入った | |
boiled | 煮た、茹でた | |
braised | 蒸し煮にした | braised は、密閉した鍋で弱火で煮ることを指します。 |
cured | 塩漬けした | pickled とも言います。 |
devilled | ピリッと辛いソースでグリルした | devilled は、「悪魔」という意味の単語です。 |
dressed | かかった | |
drizzled | たらした | |
dusted | まぶした | |
fried | (油を多めに使って)焼いた、揚げた | 「揚げた」という時には、deep-fried とも言います。 |
assorted | 盛り合わせ | |
garnished with | ~で飾られた | |
grilled | グリルで焼いた、焼いた | |
marinated | 漬けた | |
pan-fried | フライパンで炒めた | |
pot with | 鍋で煮た~ | |
raw | 生の | |
roasted | オーブンなどで焼く、炒る | |
seared | たたき | |
seasoned | 味付けした | |
served with | ~を添えて | |
simmered | とろ火で煮た、煮付けの | |
stir-fry | 強火で素早く炒めた | |
topped with | ~をトッピングした | |
tossed | 和えた | |
wilted | 茹でてとろとろにした、くたっとさせた |
日本に馴染みの薄い食材・調味料
海外のレストランでは、日本ではあまり馴染みのない食材・調味料を使うこともあります。特に田舎の方に行くと、その土地独自で作ってきた食材・調味料も多く見られるので、メニューを読んでもよく分からなければ、店員さんに聞いてみましょう。
調味料・ソース
hollandaise sauce(オランデーズソース)
hollandaise sauce は、卵黄、バター、レモン汁、それに塩コショウを足してつくったソースです。黄色い色のかなり濃厚なソースで、エッグベネディクトなどの料理に使われます。
piquant sauce(ピリッと辛いソース)
piquant は「ぴりっとする」「ちょっと辛い」という意味です。これをかけてグリルすることを devilled と言います。
broth(ブイヨン)
broth は、肉や魚などの透き通った煮汁のことです。たまに野菜で作ったスープを指すこともあります。
bearnaise sauce(ベアルネーズソース)
bearnaise sauce とは、バター・卵黄・酢などで作られれる黄色い色の濃厚なステーキソースのことです。フランスで使われている伝統的なステーキソースです。
clotted cream(クロテッドクリーム)
clotted cream とは、牛乳の脂肪分から作られるクリームのことです。その濃厚さは、生クリームとバターの中間と考えてよいでしょう。イギリスの伝統的なクリームで、スコーンなどに付けて食べます。
coulis(クーリ)
coulis は、野菜や果物を裏ごしして作る、どろっとしたソースです。主にデザートで使われています。
野菜
artichoke(アーティチョーク)
artichoke は、日本では「チョウセンアザミ」で知られている花のつぼみです。欧州では広く食べられています。食感・味ともに芋に似ているそうです。前菜などでよく使われています。食用部分はつぼみの中心部分であり、artichoke heart と呼ばれています。
savoy cabbage(サボイキャベツ)
savoy cabbage は、日本では「チリメンキャベツ」と呼ばれています。名前の通り、普通のキャベツに比べて葉が縮れているのが特長です。日本ではあまり見かけず、見かけたとしても高値で売られていますが、ヨーロッパでは身近な野菜です。
piccalilli(ピカリリー)
piccalilli は、野菜のカラシ漬けを指します。肉料理の漬けあわせとして出てくることが多いようです。
肉
crab cake(クラブケーキ)
crab cake は、カニ、卵、玉ねぎなどを混ぜ、パン粉をつけて揚げた料理です。cake と書かれていますが、甘いケーキではありません。アメリカの海岸地域で有名な料理です。
calf(子牛)
海外では、calf(子牛の肉)が柔らかくおいしいため、好まれて食べられています。普通の肉に比べて少し値段は高くなりますが、試してみる価値はあるでしょう。複数形の calves で表記されることも多々あります。
fowl(大型の鶏、アヒルや七面鳥)
fowl は、「アヒル」や「七面鳥」を指します。鶏を意味することもありますが、鶏は主に chicken と表記されるため、fowl はそれ以外の大型鶏を指していると考えてよいでしょう。
デザート・その他
trifle(トライフル)
trifle とは、スポンジケーキをカスタードクリームや生クリームを重ねた冷たいデザートのことです。イギリスの伝統的なお菓子です。これに、果物やナッツ類をのせたりもします。
fondant(フォンダン)
fondant は、すぐに溶ける砂糖菓子を意味します。hot chocolate fondant が、日本でもお馴染みの、いわゆる「フォンダンショコラ」です。
split(スプリット)
split とは、縦半分に切ったバナナにアイスクリーム、シロップ、ナッツなどをのせたアメリカ生まれのデザートのことです。
pudding(プディング)
pudding は、日本語では「プリン」と訳されたりします。海外では、デザートの「プリン」にとどまらず、牛乳・卵などを入れオーブンで蒸す料理全般を指して使います。
デザートだけでなく、料理でも使われる単語です。Yorkshire pudding は、イギリスの伝統料理で、肉料理の付けあわせとして食べられます。
その他、メニューに書かれている重要ワード
量が多め
「量」は、英語で portion です。general portion で、「多めの量」を意味します。heaping も同様の意味です。海外レストランではただでさえ量が多めに提供されるので、general portion と書いてあったら気をつけるようにしましょう。
おかわり自由
「食べ放題の」「飲み放題の」は、英語で bottomless、free refills と言います。海外レストランで食べ放題は、buffet(ビュッフェ)を指します。free refills は、主にソースや飲み物、パンについて追加料金がかからないことを意味します。
一流シェフがつくった
Cordon Bleu は、元はフランスのブルボン王朝の最高勲章を意味する言葉でした。そこから、「その道の一流」、特に「料理における一流」という意味で使われるようになりました。
形容詞で使われるときには、「一流シェフが作った」という意味になります。こんな言葉が書いてあれば、何としてでも試してみたくなりますよね。