コリンズ英語辞典が2016年今年の言葉を発表

イギリスの歴史ある英語辞典、Collins English Dictionary(コリンズ英語辞典)が「Word of the Year」(今年の単語)を発表しました。

2016年度を代表する単語として選ばれたのは、brexit です。今年大きく注目された出来事、「イギリスのEU離脱」で生まれた造語です。

2016年度「Word of the Year」1位はbrexit

brexit は「イギリスのEU離脱」

コリンズ英語辞典が選んだ「Word of the Year」で1位に輝いたのは、brexit でした。

brexit は、British(イギリス)と exit(出て行くこと)を合わせた造語です。「イギリスのEU離脱」を表します。発音は/ˈbrɛksɪt/(ブレクシット)です。x を使っていても発音は濁らないので注意しましょう。

「EU離脱派」を表す brexiteer

ちなみに、「イギリスのEU離脱を支持する人」を表す brexiteer という単語は、オックスフォード英語辞典による「Word of the Year」の選抜候補として選ばれていました。

brexit が選ばれた背景

the gardian(ガーディアン紙)によると、brexit が1番に選ばれた理由としては、前例のないほど使用頻度が多かったことが挙げられています。brexit という言葉自体は2013年度から使われていたそうですが、2016年度はその使用頻度が3400%増加したそうです。それほど、「イギリスのEU離脱」は皆の大きな関心事であったと言えるでしょう。


その他トップ2位から10位まで

コリンズ英語辞典は「Top 10 Collins Words of the Year」を発表しています。1位は brexit でしたが、2位から10位にも興味深い単語がランクインしています。

hygge

hygge は、デンマーク語であり、この国特有の概念です。「幸せや満足感をもたらす暖かく心地の良い雰囲気」と訳されます。warm(温かい)や cosy(心地良い)を合わせたような状況を表すと言えるでしょう。

You don’t look happy. Why don’t you bring more hygge into your daily life?
あなた幸せそうに見えないよ。日常生活の中で、hygge を取り入れていったらどう?

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micdrop

micdrop は、「スピーチやパフォーマンスの最後に、手に持っているマイクを地面に落とす(もしくは落とす振りをする)動作」を表します。micdrop の mic は microphone(マイク)のことです。

micdrop は、元々ラッパーやコメディアンの間で使われていたパフォーマンスです。自分のスピーチ・パフォーマンスは完璧これ以上言うことはないというときにマイクを落としていました。

2016年4月30日にホワイトハウス記者夕食会が行われ、そこでスピーチをしたオバマ大統領。彼はスピーチの最後に、「OBAMA OUT」(オバマは去ります)というコメントとともに micdrop したそうです。オバマ大統領のパフォーマンスによって、この単語の注目が上がりました。

trumpism

trumpism は、アメリカの次期大統領である「トランプ氏」から生まれた造語です。意味は2つあります。

  1. トランプ氏によって提唱されている、政治界の既成勢力の排除や国益を追求していく政策
  2. トランプ氏による物議をかもす、あるいは突飛な発言

どちらにしろ、トランプ氏をよく表していると言えるでしょう。

Many people believe in trumpism.
おおくの人がトランプ氏の政策を信じている

throw shade

throw shade とは、「公の場に置いて、微妙な方法で、または非言語的な方法で、誰かや何かを軽蔑・批判すること」を表しています。

They weren’t the only people who threw shade at his performance.
彼のパフォーマンスの悪口を言っていたのは、何も彼らだけではなかった

sharenting

sharenting とは、parenting(子育て)と sharing(共有)を組み合わせた造語です。「子どもの両親が、自分達の子どもの情報や写真などをソーシャルメディア上で共有すること、またその行き過ぎた行為」を表します。

She goes overboard about her sharenting on Facebook.
彼女はフェイスブック上で「子育て共有」することに夢中になり過ぎている

snowflake generation

snowflake generation を直訳すると「雪の一片の世代」です。snowflake から「脆い」「弱々しい」というイメージが連想できます。snowflake generation とは、「前世代に比べて活発でなく弱々しく、そして安易に起こりやすい傾向のある若者たち」を表しています。だいたい、今の大学生くらいの年代の人達を指して使われているようです。

THE SPECTATOR(ザ・スペクテーター)の記事には、彼らの性格における傾向は、彼らが過保護に育てられたからではないかという指摘がなされています。

dude food

dude fooddude は「男性」を表すスラングです。dude food を日本語に訳すと「男飯」。dude food は、「ホットドッグやハンバーガーなどのジャンクフードで、特に男性にとって魅力的だと考えられている食べ物」を表します。

The Washington Post (ザ・ワシントン・ポスト)の記事では、dude food とは「anything salty, fatty and crisp, with bro-tastic sweetness and wicked heat」(しょっぱくって、脂肪分があって、パリパリ音がするような食べ物で、とっても甘くって、恐ろしいほど辛いもの)と言われていました。

ベジタリアンやビーガンなど、ヘルシー志向に転じる人が増える一方で、こういったジャンクフードの需要も根強くあることが分かります。

uberization

uberization とは、「通常モバイルテクノロジーを介して、提供者と消費者が直接連絡を取り合うことでサービスが提供されるというビジネスモデルを取り入れること」です。

日本語でも「ウーバライゼーション」という言葉で知られています。日経BP社が出版しているITpro の記事では、デジタル業界が新たな手法で市場参入することで、様々な変化が訪れることが予想されていました。

アメリカのUber Technologies Inc.(ウーバー・テクノロジーズ会社)による配車サービスは、uberization の良い例と言えるでしょう。個人と個人をモバイルテクノロジーで結びつけることによって、誰もが空いている時間にタクシー業のような仕事ができるようになったのです。

JOMO

JOMO は、「Joy of missing out」(見逃す喜び)を表します。つまり、他人がより楽しんでいるのではないかという不安から解き放たれて、今現在の自分の活動を楽しむことで喜びを得ることです。

JOMO の反対語は FOMO です。「Fear of missing out」(見逃す恐怖)を表します。他人が自分より楽しんでいるのではないかという恐怖に怯えている状態を表します。

ソーシャルメディアでは色んな人の行動が見られるため、他人と自分を比較してしまいがちです。たまにはソーシャルメディアで他人を追いかけることを止めて、自分の時間に没頭することも大切でしょう。

Did you go to that awesome party last night? ― No, I just stayed home and watched movies. JOMO!
昨日のすごいパーティーには行った?―いや。家にいて映画を観てたよ。最高だよ!



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