普段よく使われる便利な表現は、あまりに多用すると聞く人をイラつかせることがあります。それ自体は自然だし問題ないけれど、耳につく程度に連発されるとどうしても気にかかる(気に障る)たぐいの表現。日本語でいえば「それヤバくない?」とか「ご存じのように」とか。「とか」も該当するかもしれません。
英語にも、あまり連発すると聞き手の心がささくれ立ちやすいタイプの表現があります。とくにスラングめいた表現は要注意です。スラングを使いこなせると抜群にこなれた感が出せますが、使い過ぎればクドい野郎に成り下がってしまいます。何事もほどほどが肝心です。
英語のやり取りに慣れてきて、英語でも言いたいことを言えるようになってきた頃には特に要注意かもしれません。
like および you know
like は形容詞としては「~のような」という意味がありますが、会話中では間を持たせる意味合いで(特別な意味はなく)挿入されることが多々あります。その分だけ、うるさく聞こえがちという難点があります。
you know も似たところがあり、会話のつなぎ目を適度に埋める便利表現なのですが、使いすぎるとウザったい雰囲気が出てきてしまいます。
会話中の like や you know は、間を持たせる点で便利ですが、連発は聞き手の気に障ります。日本語で考えるなら、「なんか」、「じゃないですか」をやたらと言う感じでしょうか。
彼と会って、なんていうか、とっても幸せだった
I met up with the girl, you know, Nancy!
あの子に偶然会ったんだよ、ほらあの子、ナンシーだ
awesome
awesome はもともと「(畏怖の念を起こさせるほど)すばらしい」という意味があり、スラングとしては「非常に良い」「最高だ」という意味合いでひんぱんに使われます。
とても良いもの、素晴らしいもの、を形容する意味でかなり多用される表現ですが、多用されすぎて辟易する言い回しでもあります。
Awesome food, awesome view and awesome guys… I’m really satisfied with this trip!
素晴らしい食べ物に素晴らしい眺め、素晴らしい仲間・・・この旅には本当に満足!
I can’t even
I can’t even はスラングで「言葉で言い表せないほどの感情」を表現するときに使われます。かわいい、怖い、おもしろい、といったさまざまな感情を表現できる便利な表現です。日本語の「ヤバイ」「スゴい」に近いニュアンスでしょうか。
私の猫の写真見て!
B : Ahaha she is standing in two legs! I can’t even!
あはは、二本足で立ってる!ヤバイね!
なんだか尻切れのセンテンスのようにも見えますが、even は動詞でもあり文法的には I can’t even. で完結していると見ることができます。
whatever
whatever は、「何でも」という意味の英単語です。会話のやり取りの中でも「何でもいいよ」という返事として「Whatever.」がよく用いられます。これ自体は失礼でも何でもない無難な表現なのですが、何かにつけて「何でもいいよ」の一辺倒は投げやりな印象で相手のテンションもだだ下がりです。
むしろ言語の壁を越えた「態度」の問題というべきかもしれません。
夕食に何が食べたい?
B : Whatever.
何でもいいよ
なお whateverは、what や which のように関係代名詞として用いることができます。使いこなせると表現の幅がぐんと広がります。
あなたが望むものなら何にでも挑戦できますよ
bae
bae は、愛らしいもの、特に恋人を指す語として用いられるスラングです。baby や sweetie の同義語です。発音は /bā/ 。
今日ぼくちんのラブリーマイハニーと会うんだ
多用されると独身者の精神を阻害しますのでご注意を。なおデンマーク語では bae は poop (う○こ)を指す語という点もご一考を。
口達者になっても言葉には意識しておくべき!
英語スラングは親しい間柄同士での会話で使うべき言葉であり、TPOに応じて言葉を使い分ける必要があります。スラングが口癖になると時と場合にそぐわない言い方が口をついて出てしまうこともあります。その点は常に初心でありたいものです。
とはいえ、【連発注意】のキーフレーズはここぞという時に使うとカッコよくてこなれた雰囲気の出せる珠玉のフレーズでもあります。少なくとも日常会話では「禁句」というわけでは全然ないので、ここは使いどころだなと思ったらぜひぜひ使ってみてください。