蝶(ちょうちょ)は英語で言えばバタフライ(butterfly)。実はこれはバター(butter)にちなんだ呼び名です。何でもバターの色をした飛ぶ虫(fly)という由来があるそうで。キアゲハあたりが典型的なチョウのイメージだったのかなと思わせる語源です。
日本語の中では「蝶」といえば「華やか」「優雅」「上品」といったイメージが想起されます。どちらかと言えばチョウの見た目に着目したイメージが中心といえそうです。英語でも butterfly を使った慣用句が複数ありますが、その多くは見た目よりも「動き」に注目した表現が多いといえそうです。
腹の中で飛び回る蝶
have butterflies in one’s stomach 、直訳すれば「腹の中に蝶がいる」といった意味合いですが、これは「緊張してドキドキする」様子を指す慣用表現です。緊張で胸中がザワいている落ち着かない状態を、胸裡の蝶とたとえた言い方です。
大きな羽でバサバサ飛び回る蝶が内心にいる…という落ちつかなさが伝わってくる表現です。
試験の前、彼女は毎回緊張するWhenever I have to speak in public, I get butterflies in my stomach.
大勢のまえで演説するときはいつもドキドキしてしまう
日本語ではこの手の汚れ役は蛾(ガ)が引き受けさせられそうな気もします。
蝶は「移り気な女」の象徴
蝶には「移り気な女」という意味もあります。男をとっかえひっかえする女のありようを、花々を次から次へと飛び移る蝶の姿にたとえた表現です。
特にあちこちの社交の場をを渡り歩く社交的な女性は social butterfly といいます。パリピというやつでしょう。
She’s a butterfly. She got a new boyfriend again.
彼女は移り気だね。また新しい彼氏が出来たみたい
She’s a social butterfly. I always see her at different parties.
彼女は社交的な女性だね。違うパーティーに行くたびに彼女を見るよ
バタフライにするといえば「2枚に開く」
butterfly にも動詞としての用法があり、「2枚に開く」という意味で使われます。「バタフライナイフ」のイメージと考えてよいでしょう。
「2枚に開く」ものなら何でも使える動詞で、たとえば調理の際に割って開くなら貝もエビも鳥肉も「蝶のように開く」ことになります。
a butterflied shrimp
2枚に開いたエビ
A quick and efficient way to cook a whole chicken on the grill is to butterfly it first.
手早く効率的にチキンをまるごとグリルで調理するには、まず肉を開きにします
なおチョウとガの区別は
蝶と蛾(moth)は同じ鱗翅目の昆虫であり、生物学的には特に区別されません。
一般的なおおよその区別としては、羽を閉じて止まるのが蝶、羽を開いて止まるのは蛾、とされます。蝶の多くは昼行性、蛾の多くは夜行性といった特徴づけもあります。ただし、いずれも蓋然的な(大雑把にしか当てはまらない)分け方であり、例外が含まれます。