英会話で自分の見解でない情報や不確かな情報を表現する場合には「伝聞」や「推量」の表現が役立ちます。伝聞・推量が使いこなせると、表現の幅がぐっと広がります。
伝聞とは、当人ではなく第三者から伝え聞くこと。文章表現としては、話者自身の判断ではなく第三者の見解として叙述することを指します。一般的には「~だそうだ」のような言い方で表現されます。
推量とは、状況・背景・心中といった確定的でない事柄を推し量ること。文章表現としては、不明確あるいは未確定の状態であることを念頭に置きつつ予想や推察を述べることを指します。一般的には「~のようだ」というような言い方で表現されます。
伝聞や推量は、「自分の意思を述べる」表現ではなく、むしろ「自分の意思ではないことがらを述べる」際に用いられる表現方法です。表現の幅がぐっと広がり、より自由に表現豊かに英語を操れるようになります。
英語では伝聞表現は that 節を使った間接話法で「そう聞いた」「そう言われている」と述べるような形が多く取られます。推量表現は、そのように見える・感じられるといった(知覚を示す)動詞で、または、確度を示す助動詞を使うことで表現する場合が多いと言えます。
伝聞の英語表現
I hear that ~
「私はこう聞いた」と前置きして、聞いた内容を続ける伝聞表現です。
アンジーとトムが結婚したらしい。嫉ましい
時制は現在形(hear) が一般的
「~と聞いた」という脈絡を考えると、動詞は過去形か過去完了が適当ではと思われるところですが、伝聞の表現としては普通は現在時制の hear が用いられます。
これは、過去の特定時点で伝え聞いたという認識よりも、そのように伝え聞いて現在に至る(そして現在につながる)というような、(いわば「聞くところによると~である」というような)、「時点」を特定しないニュアンスが含まれていると考えると納得しやすいかもしれません。
特定の時点を想定して「あのときこう伝え聞いた」という意味合いで表現する場合には、完了形で I have heard that ~と表現した方がニュアンス上しっくりきます。
they say that ~
伝聞内容の伝達した主体を主語に置いて伝聞を表現することもできます。字面通りには「人が言うには~」という意味合い、日本語になぞらえるなら「~らしい」「~と言われる」のようなニュアンスに当たるでしょう。
ことわざや格言を「ほら~って言うじゃない?」的に述べる場合にも 、この they say ~の表現が使えます。
They say (that) a good thing never lasts.
良いことはそう長くは続かない、と人は言う
It is said that ~
It is said that ~ は they say that ~ とほぼ同義表現として扱われる表現です。「~と言われる」を字面どおり英訳したようで却って違和感すら覚えそうな言い回しですが、英語でもこの表現はしばしば使われます。
It is said (that) a good thing never lasts.
良いことはそう長くは続かない、と言われる
推量の英語表現
英語の推量表現の多くは、動詞そのものに推量の意味合いを込めて表現されます。言い換えれば、「~と思われる」「~のように感じられる」という、主観的な知覚を述べる動詞によって表現されます。
主語は必ずしも一人称とは限りません。むしろ一人称=語り手ではなく、語り手が推量する対象を主語に置いて表現されます。
(自分の事柄について推量する場合は一人称の I を主語に取ることもあります)
英語の推量表現で主に用いられる動詞は seem、look、appear など。これらの動詞は be動詞と同じ copular verb(連結詞的動詞)とも解釈されます。be動詞のように扱うと考えると、主語が一人称でないことへの違和感はいくらか薄らぎそうです。
seem、look 、appear などは「It seems that ~」や「It looks like ~」のように、it を主語に置いてしまう形も多く取られます。動詞によって that 、 like 、あるいは as if などの併用される語が微妙に変わってきます。
It seems that ~ の形は、どちらかといえば形式的・文語的なニュアンスがあります。
It seems that
seem は「見える」あるいは「見受ける」という意味合いを主とする動詞です。
seem は主観的な判断のニュアンスをいくぶん多く含みます。とはいえ、look や appear と置き換えても意味が変わらない場合が少なくありません。
彼は忙しいようだ
彼は忙しいようだ
It seems like
that の代わりに like を使って It seems like ~ と表現すると、「~みたいだ」というような、少しくだけた口語的ニュアンスが出ます。
彼は忙しいみたいだね
It looks like
look は「見る」を意味する最も基本的な動詞で、視覚的な情報を手がかりに判断する意味合いが含まれます。推量の意味で用いる場合も、seem より確からしさの度合いは高いといえます。
it を主語に置く場合は It looks that ~ ではなく It looks like ~ が普通です。「It looks as if ~」とも表現できます。
彼女は悲しそうだ
彼女は悲しそうだ
口語的フレーズとしては it を省略して Looks like ~と省略できます。
雨が降りそう (に見える)
gonna は「going to」の省略形で、口語表現としてはよく使われます。
It appears that
appear は「現れる」「姿を表す」という意味合いを中心とする語で、対象が姿を見せる=自分にはそう見える、ということで seem や look と同じく推量の意味合いを示せます。
appear は look よりも一層、「対象がそういう様子を見せる」というニュアンスの強い語です。推量の域を出ないとはいえ、より客観的な情報から判断しているニュアンスが強く、推量の確からしさの度合いも高めです。
彼は急いでいるようだ
彼は少し狼狽した様子を見せた
appear は It appears that ~の形の方が多く用いられます。that の代わりに like や as if を使うことは普通はありません。
It sounds
「sound+補語」で「~のように聞こえる」つまり「~のようだ」という意味の推量が表現できます。聴覚的情報に関する推量です。主語 it を省略してしまう場合も多々あります。
楽しそうだ
feel like ~ing
自分の身の上に関する事柄を推量のニュアンスで表現する言い方として feel like ~ing (~したいように感じる)といった言い回しがあります。
これは「I want to ~」(~したい)ほど直接的ではなく、意思の程度をぼかして表現する言い方です。
何か食べたいような気がする