英語学習のための本、どう使ってる?
英会話や英語を学ぶ際には書籍を使った学習が度々行われます。
しかし、英語の本の種類は洋書・参考書・単語帳・辞書など実に多様であり、実際にどの本を使って、どのように学習するのが良いのかの判断が難しい傾向にあります。
本屋に行けば、数列にもわたり「英語特集」の棚が組まれているのは周知のとおりです。
どうやったら英語の本を有効活用して英語力を上げ、英会話を上達させることができるのでしょうか。
目次
【目的別】 英会話学習で使える学習本
文法・英作文
「英語を話せるようになりたい」と思うのであれば、やはり「文章を作れる」ようになることが必要です。
文章を作れるようになるための近道は、英文法をきちんと理解することです。単語をたくさん覚えていて頭の中で変換ができたとしても、それを文章にすることができなければ相手に伝えることはできません。
そこでまずは、英語の文章の「成り立ち」と「作り方」を理解することが大切です。
英語の構造を理解できれば、難しい事柄を説明したいときにも、簡単な単語を使って説明ができるようになるはずです。ということは、文法を正しく理解することが、英会話への抵抗をなくす第一歩だと言えそうです。
しかし、あまりに「正しい文法で話さなきゃ!」と気負いすぎて英語を話すのが怖くならないように、気をつけてくださいね。
さて、話を戻しますが、筆者がおすすめする文法の勉強法は、自分がかつて中学高校のときに使っていた問題集や教科書を再度確認してみることです。
教科書は、英語学習歴の浅い中学・高校の生徒たちに向けて書かれているため、非常にわかりやすく文法を説明しています。また、学校で使用するようなドリルは、反復練習が多いため、習慣的に解くことで勝手に力が付くようになっています。
文法が分かれば、あとは知っている単語を組み合わせて文章を作成するだけです。ぜひ、ここから取り組みましょう。
文法理解のためのおすすめ参考書
☆「一億人の英文法」ポール=マクベイ・ 大西泰斗、東進ブックス、2011。
☆「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」森沢洋介、ベレ出版、2006。
☆(教科書)「プログレス21」シリーズ(株式会社エデック)英語を英語で学ぶことを目的とした教科書。
発音
さて、文法を理解して文章を組み立てられるようになったとしても、発音ができなければ相手には通じません。
英会話はあくまでも「コミュニケーション」の手段であることを考えると、いかに相手に伝えるか、に重点を置く必要が見えてきます。
そこで、日本人の特徴的な英語の発音「Japanese English」(カタカナっぽい英語のことです)をどうにかしてよい発音に変える努力をするほうが望ましいでしょう。
美しい発音を手に入れるための書籍やDVDも数多く出版されています。
書籍を選ぶ際には、ただ口の形と説明が書いてあるだけの本よりも、CDやDVDの付いているものを選ぶのがよいでしょう。付属のCDやDVDを参照しながら声に出して繰り返し発音することで、発音の矯正が行われます。
まずは本を見て「視覚」で口の動きを理解し、DVDなどで実際の口の動かし方やアクセントなどの音を「聴覚」で確認します。その後、実際に「口に出す」ことで、正しい発音が得られるようになります。
また、本屋にいって書籍を買うという観点からすれば、ラジオやテレビの講座で遣われているテキストを使用するのも方法の一つです。
発音をよくするための参考書・テキスト
☆「DVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる本」 鷲見由理、ナツメ社、2008。
☆ 「基礎英語」・「おとなの基礎英語」などのテキスト NHK出版。
単語
豊かな英会話をするためには、単語を覚えることが必要です。
確かに、簡単な単語のみを使ったコミュニケーションも可能ですが、実際にはそれだけでは自分の言いたいことを表現できません。ましてや、英会話でなく英作文をするときには、同じ単語を繰り返し使うことはなるべく避けたほうが良いとされています。
単語を覚えるのにも、本の活用が効果を発揮します。
ここでは、おすすめの本の有効活用のうち二つの方法(辞書・単語帳)について考えてみます。
辞書
まず、辞書を用いた単語の学習法です。
なかなかハードルは高いですが、英語の正しいフレーズを覚えながら単語を覚えるのには、英英辞書の例文を使うのが非常に効果的です。
一つの単語を調べた際の例文や説明文中に、意味がわからない単語があればそれを調べる、という形をとります。
そうすると、自然に英語で英単語を調べることを身につけながら語彙数を増加させる効果があります。
なかなかに時間がかかる面倒な作業ですが、きちんとこなせば期待通りの効果がありそうです。
辞書の良い点は、発音記号が必ず書いてあることです。そのため発音をきちんと確認するきっかけにもなります。
英単語には複数の意味が含まれることが多いですが、異なる意味ごとに必ず例文が記載されているため、この例文をフレーズとして覚えてしまう方法がお勧めです。
また、英英辞書の中には、CDを含んだものもあるため、有効活用すればCDを通しても正しい発音やフレーズを習得することにも繋がります。
もしも英英辞書がハードルが高ければ、英和辞書を活用することでも一定の効果は得られるのではないか、と思います。
よく使われている代表的な辞書
☆「オックスフォード現代英英辞典 第九版」オックスフォード大学出版局編、旺文社、2015。
☆「ロングマン現代英英辞典 第六版」、ピアソンジャパン、2014。
☆「ジーニアス英和辞典 第五版」、大修館書店、2014。
単語帳
二つ目が、辞書を使うなんてハードルが高すぎ!という場合の、手軽な単語帳を用いた単語の学習法です。
単語帳を使う際には、なるべく例文と発音記号が載っていて、CD付属の本を使うのがおすすめです。
単語を覚えるときには、できるかぎりフレーズなどを「丸覚え」してみるのが、単語王者への近道です。(参照「英語・フランス語を学んだ私の語学学習法とは」) そのほうが、一つ一つの単語の意味を覚えるよりも短時間で複数の単語を覚え、それらを「使うべき文脈」で効果的に使えるようになります。
また、単語帳を使う場合には、学習者各々のレベルにあった単語帳の使用ができることが魅力です。
例えば、中学・高校レベルから復習をしたいのであれば、実際に中高生に使われている「キクタン」シリーズや「ターゲット」シリーズ が人気で、勉強をしやすいでしょう。
さらに、大学受験レベルの単語を身に付けたいのであれば、プチフレーズを多く収録した「シス単(システム英単語)」 、派生語までもを一気に覚えられる「単語王」、560の例文に2400もの単語が収録されている「DUO 3.0」 を使って勉強するのがおすすめです。
加えて、検定や資格試験対策での単語帳を使うのも、単語を覚えるための手段の一つです。(4項に記載のある英検「パス単」 や、TOEICの単語対策「単語特急シリーズ」などがあります。
単語帳は、使う人それぞれによって好みが異なるため、ただ単に、人気ランキングで上位にあるから選ぶのではなく、きちんと中身を見てから、「これなら勉強できそう!」と思える単語帳を選びましょう。
リスニング
さて、文法を理解し、覚えた単語を使って文章を作成でき、話すこともできるようになりました、がこれで十分でしょうか?
実は、英「会話」のためには相手の話を「聴く」ことが非常に大切です。なぜなら、相手の話を聴いて理解しないことには、次の話題や問いかけを振ることができず、会話が成り立たない恐れがあるためです。
ということは、よりレベルの高い英会話を実現するための鍵は、リスニング能力の強化といえます。
リスニングの練習方法としてよく使われるのが、海外/語学テレビやラジオを視聴することでしょう。
しかしながら、生きた英語に触れる最も有効な手段は、外国人と直接話す、つまり会話する機会を作ることです。(たとえば、オンライン英会話や外国人のコミュニティに出かける、など)
そんなことを言っても、時間がない!面倒だ!という人向けには、リスニング攻略の第一歩として手軽な方法で本や雑誌を使ってリスニングを鍛える方法がお勧めです。
書店で手に入る多くの英語書籍にはネイティブが発音するCDが付いている確率が高いので、これを最大限有効活用しましょう。
海外ニュースやラジオで敷居が高いと思った方も、自分のレベルに合わせて本を選ぶことができれば安心です。
リスニング練習のための参考書
☆「[長山式]英語がどんどん聞こえてくる交互リスニング・メソッド CD BOOK」、長山ひろむ、ベレ出版、2006。
☆「英会話リスニング完全攻略」小池直己、宝島社、2000。
☆「CNNニュース・リスニング 2016[春夏]」、CNN English Express、2016。
ノウハウ本
上記のような様々な方法を試しても、なかなか自分にあう学習法が見つからないときには、ノウハウ本を参照してみるのも手段の一つです。
たとえば、最近話題になっていた元国際線CAの荒井弥栄さんの書籍「元国際線キャビンアテンダントが教える世界に通じるきれいな英会話」などがあげられます。
☆「元国際線キャビンアテンダントが教える世界に通じるきれいな英会話」、荒井弥栄、中経出版、2011。
英語の本を使った学習法
今までは、英語学習の参考書をメインにお伝えしましたが、次は英語で書かれた本に主眼を置いてみましょう。
英語で書かれた本というと、少しハードルの高いイメージがありますが、レベルに合わせた学習ができそうです。
英語の本(洋書)を読んでみよう
洋書では、実際に使われるフレーズなどが、物語の中に書かれています。
一日少しずつでも読み進めれば、話が自然と進み、次第に時間もかからなくなるでしょう。
物語では特に有名な話が多いため、あらすじを知っているものがあるかもしれませんし、検索をかけてあらすじを掴むことができるかもしれません。
書き込みながら読む
洋書を気軽に読む方法としては電子書籍を利用するという方法もありますが、これはと思える本があれば紙媒体の本を入手してしまいましょう。
紙の書籍は「書き込み学習」ができるという大きなメリットがあります。その名の通り、本に直接に書き込みしながら読み進める方法。センテンス中にスラッシュを書き加えるだけでも文章構造の理解の度合いが全然違ってきます。「書く」動作は脳への刺激につながり、学習内容が記憶や印象に残りやすくなります。
立派な装丁の本に書き込むのはさすがにもったいないので、利用する本は余念なくえらびましょう。
自分の英語レベルに合った洋書を選ぶ
ひとくちに洋書と言っても、その文章レベルはさまざまです。易しい文章から難解な文章まで、さまざまな難易度の本があります。自分に合う文章レベルの洋書をパッと見で選ぶことはなかなか大変です。
洋書=海外の出版物という考えにとらわれず、国内で出版された「英語学習者向けの英文書籍」を探してみてもよいかもしれません。レベル別に複数冊出版されているシリーズ本などは長き良きパートナーとなってくれるでしょう。
☆「ラダーシリーズ」IBCパブリッシング(Level1~5)
翻訳が出版されている本を読む
日本語訳が出版されている本を選び、随時参照しながら洋書を読み進めてみるという方法もあります。
英文と訳文を比較対照する読み方は、「単語はわかるが文意が汲み取れない」とか「文章のニュアンスがつかめない」といったつまづきの解消に役立ちます。
洋書を訳した日本語の書籍は、日本語の文章として読むための本であり、文章は必ずしも原文を忠実に翻訳しているとは限りません。大胆に意訳されていたり、文化の違いに応じて内容が置き換えられていたり削られていたりする場合もあります。訳文はあくまで参考程度に留めましょう。
原文と訳文を比較すると双方の文章の良さに気付かされることも多々あります。これはこれでまた楽しいものです。
たとえば、サン=テグジュペリの名著 「星の王子様」を参考にしましょう。
王子様とキツネの会話のシーンで出てくる「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」というフレーズを見てみます。
“It is only with the heart that one can see rightly;what is essential is invisible to the eye.”
「かんじんなものは目に見えない」だけをとっても、英訳をしようとすると様々な可能性が出てきます。
英文を参照することで、日本語的な発想では思いつかない自然な表現を学ぶことができます。
この手の有名な本になると、Youtubeなどで朗読の音声が配信されているため、CDを買わずともリスニングやシャドーイングを行うこともできます。
英語のマンガを読んでみる
「洋書」にどうしても敷居の高さを感じてしまうなら、まずはマンガを通じて英文に接してみてはいかがでしょうか。英語圏のコミック本、または海外向けに英訳されたマンガ本。しっかり学習に役立ってくれます。
マンガに出てくる文章は基本的に短くシンプルなものばかりで、より日常会話に近い、「使える」フレーズが多く登場します。
日本のマンガ作品も英語版が多数刊行されています。すでに(日本語版を)読んだことのある作品なら、楽しみながら、「これは英語でこう表現するのか」といった発見と共に英語に触れることができるでしょう。ただし空想的な世界観のマンガは独特の名詞なども多く登場する点には留意しましょう。
海外の日常を舞台としたコミック作品は、より英語圏の日常に根ざした表現や考え方が反映されており、読み応えがあります。
☆「ピーナッツ」スヌーピーが登場する作品シリーズ
洋書の選び方
洋書を初めて手に取る場合、一体全体どのような本を選べばよいのかは見当が付きませんよね。
そんなときには、前述のレベル別のラダーシリーズや日本語訳のある本から手を付けると、親しみが持ちやすいかもしれません。
また、洋書を選ぶ際には、以下にあげるような三つのチェック事項を参照してみると良いでしょう。
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字の細かさも、自分の好みで
今までに洋書を多読してきた人は小さい洋書独特の文字に慣れているかもしれませんが、初めて洋書を開いたとすれば、その文字の膨大さに唖然とします。
ですので、最初から分厚く文字の小さい本を選ぶよりも、達成感を味わいやすい、「文字が大きめで薄い本」からはじめるのがおすすめです。
無理のない範囲のなかで、自分の好みで選んだ本を読むほうが、モチベーションもアップし長続きします。
2. ストーリー展開のわかりやすさ
優れた名作は、それゆえにストーリー展開が複雑な場合が多いです。
なるべく、ストーリー展開がわかりやすく、一つの意味段落が短そうなものを選んだほうが、一日の読む分量を決めて取り組むことができます。
そのため、外国で広い世代から支持されているものを選ぶほうがよいかもしれません。ネイティブの広い世代から支持される本を知るには、一般的に名作といわれる本や海外のベストセラー(The New York Times Best Seller、USA Today)などを参考にしてみましょう。
3. 作者の使う英語の平易さ
洋書の作家はネイティブですので、人によっては、難解な英語を使う人もいます。本のタイトルや、めくった最初のページを見て、自分に理解できそうなレベルかどうかを判断するようにしましょう。
例えば、「ハリーポッター」は本としては読みやすくても、独特な固有名詞や呪文が出てきたりします。
そのため、自分はどのような本が読みやすいのかを最初に理解することが大事です。
子供向けの絵本や童話などは、平易かつやさしい英語で書かれたものが多いので、初めの洋書としてはハードルが低く手に取りやすいものです。
英語の本を探しにいこう
ここまで英語の本での学習法や選び方を紹介してきましたが、どこでこれらを入手することができるのでしょうか。
今では簡単にオンラインで注文することができますが、英語の本を選ぶ場合には、参考書と同じく重さや分厚さ・英語の好みなどをしっかりと見たほうが良いと思われます。
洋書や英語のマンガは、大型本屋の洋書コーナーに行けば手に入れることができます。
東京の場合、特に紀伊国屋書店新宿南店のBooks Kinokuniya Tokyo や八重洲ブックセンター など、大型書店に行くとジャンルごとにも洋書の取り揃えが豊富です。また、古本屋の町である神保町にも、洋書を多く扱う古本屋があります。一誠堂書店 などを覗いてみると、おしゃれな表紙の本なども見つかりそうです。
【目的・シーン別】使える英会話本特集
英語の文章も場面に応じて使われる語彙や言い回しは微妙に違います。たとえばビジネスシーンで、日常の雑談で、海外旅行先で、等々、場面に応じた適切な英語表現があり、優先的に身に付けるべき英語表現も違ってきます。
英会話について学習する際にも、英語を使いたい主なシーンを想定しながら進めることで、効率的にニーズを満たす英語力を身につけられます。英語を選ぶ目的や場面に応じた本選びは、効果的な英語学習の要です。
画面別の英会話スキルを身に付けるための学習法としては、いわゆる「フレーズ集」を通じて言い回しごと覚えてしまうというやり方があります。
ビジネス
ビジネスシーンでは日常生活とはまた異なる表現・言い回しが多く使われます。ビジネス英会話を学ぶ目的意識があるなら、漠然と英会話を学ぶよりもビジネス英語に特化した学習を検討しましょう。
ビジネス向け英語学習本の中には、固定的な例文フレーズだけでなく、各シーンを想定した長文の中でキーフレーズを紹介するといったアプローチの本も多くあります。丸暗記でなくコツをつかむことで、応用を利かせやすく、発信力が身につきやすくなります。
ビジネス英会話に特化した学習本は、英語圏のビジネスマナーを理解する手がかりにもなります。「初対面の相手へのマナー」なども解説している本も少なくありません。
おすすめのビジネス英会話本
☆「即戦力がつく ビジネス英会話」日向清人、DHC出版、2014。
☆「英会話ペラペラビジネス100 - ビジネスコミュニケーションを成功させる知的な大人の会話術」 Steve Soresi、Robin Soresi、アルク出版、2003。
海外旅行
海外の大半の国・地域では日本語など通じません。あこがれの海外旅行を実現するならコミュニケーション手段としての英会話能力を最低限は身に付けておきたいところです。
英語力に全然自信がない状態でも、「旅行英会話」を扱った本を持っていって現場で参照しつつコミュニケーションを図るという方法が使えます。英語ができないからといって旅行を断念する必要なのてありません。
旅行英会話フレーズ集の特徴は、シーンが細かく特定されていて、それぞれ具体的なフレーズが参照できるという点でしょう。
たとえば飛行機内での飲み物の注文、ホテルでのチェックイン・チェックアウトの手続き、タクシー運転手へ行き先の指定、お店での値引き交渉、というような、非常に限定的な(それだけに使い所に迷わない)シーン設定がされています。
注意点としては、カタカナがふられているフレーズ集が多々あることです。
カタカナの付いている英会話フレーズは、とっつきやすい一方で「ジャパニーズイングリッシュ」のようなかっこよくない英語の発音を助長する可能性が高いため、お勧めしません。
できれば、CDなどが付いていて「聞く」「繰り返す」ことができるフレーズ集をお勧めします。
おすすめの海外旅行フレーズ集
☆「キクタン英会話 海外旅行編」、一杉武史、アルク出版、2013年。
☆「持ち歩き旅行英会話」、池田書店編集部、池田書店、2011年。
留学
グローバル化の進む現代、海外留学を目指す日本人は少なくありません。
もしも留学することになったら、たとえ語学留学に行くとしても英語を全く勉強せずに現地へ赴こうとする人は稀です。
海外留学をする人は、日常会話だけではなく学校生活やホームステイという特殊な状況の中で使える英会話を実に付けなければなりません。
実際に、留学をしていた筆者も、家での漏水や停電について訴える際に非常に苦労しました。
加えて、最近は留学の目的別(例えば、理系留学や音楽留学)などに特化した本も出版されているため、これらの分野で留学を目指す人は自分の分野についての英語知識を蓄えておくことで、より充実した留学ライフを手にすることができるかもしれません。
また、留学の際には「日本を英語で伝える」機会も多々あります。
そのためか、英語で日本についてどう伝えるのか、に着目した書籍も多く刊行されるようになりました。
事前にしっかりと必要な英会話能力を高めて留学へと旅立ちましょう。
おすすめの留学フレーズ集
☆「今日から使える!留学&ホームステイのための英会話」、細井忠俊・バーウィック妙子、アルク出版、2016。
☆「研究・留学のための理系英語」、野口ジュディー・深山晶子・東條加寿子・松浦克美、講談社サイエンティフィック、2008。
☆「日本のことを1分間英語で話してみる」、広瀬直子、中経出版、2014。
日常生活・日常会話
海外への転勤が急に決まった、そんなときには日常会話をターゲットにおいた英会話フレーズ集などを使い勉強するのがお勧めです。
「久々の再会」「天気の話」「住宅のトラブル」など、バラエティに富んだ英会話フレーズを身に付けておきたい場合には、フレーズ収録数の多いものを参考にしましょう。
もちろん日常会話であれば、単純な単語と文章の構成さえできればできてしまうことも多いため、初めに紹介した英作文のトレーニングを行うことも必要です。
日常会話フレーズ集の中には、日本での日々の生活でも使えるような表現がたくさんあるため、フレーズをより効率的に記憶したいときには、普段の日常生活でもフレーズを思い描き、言ってみるクセをつけましょう。
おすすめの日常生活フレーズ集
☆「ネイティブ英会話フレーズ集3240」、佐々木隆、西東社、2011年。
☆「英会話なるほどフレーズ100」 スティーブン・ソレイシィ、ロビンソン・ソレイシィ、アルク出版、2000。
☆「英会話フレーズブック―リアルな日常表現2900」多岐川 恵理、明日香出版社、2007。
日本で使う 英会話シーン
観光客が増え、2020年のオリンピックも迫る中、日本国内でも様々な場面で英語を使う機会が増えてきました。
外国人が電車や道のど真ん中で困っているのに助けられない、お店に来てくれたけれど英語がわからずに対応できない、ということはありませんか?
外国人に対して、片言であったとしても英語で接客をしたり道案内をすることは、「おもてなし」の一つとしてとらえられるかもしれません。
接客や道案内などは、決まったフレーズがあるため、もしもこれらの表現を覚えて使うことができれば、気楽に日本で英語を話す機会になります。
日本に来た外国人に対して「おもてなし」の心を持って接することができると、英語を学ぶモチベーションにも繋がります。
おすすめの接客・道案内などで使える英会話フレーズ集
☆「接客の英会話」菅谷とも子、学研出版、2007。
☆「店員さんの英会話ハンドブック」、原島一男、ベレ出版、2011。
☆「おもてなし英会話」、デイビッド・セイン、主婦の友社、2014。
資格試験 面接・スピーキング対策の本
英語の本といえば、試験対策の本が真っ先に頭に浮かぶ人も多いかもしれません。
実際に、本屋にいくと英語検定・TOEIC・TOEFL・IELTSなど多くの試験対策の本が売り出されています。
自分の英語のレベルを測るため、キャリアアップのためなどでこれらの試験を試験を受ける人も多いでしょう。
これらの英語試験では、必ずどこかのセクションで英会話/スピーキングが課されます。
各試験に対応するように試験対策用の本が出版されていますが、どのようにすれば有効活用できるのでしょうか。
資格試験のスピーキング対策にお勧めの試験対策書籍と、その活用方法をまとめてみました。
英語検定 面接
英語検定は、公益財団法人 日本英語検定協会が主催、文部科学省が後援をしている資格試験で、2016年度から内容が一部リニューアルしました(二次試験は従来どおり)。
学習レベルに応じた7つの級から自分にあったレベルを選択でき、また2016年からは4級と5級でもスピーキングテストがウェブ上で行われるようになりました。
1級から3級は、一次試験の筆記(リーディング・ライティング・リスニング))に合格すると、二次試験の1対1の面接(スピーキング)に進みます。
この面接では、スピーキング能力が試され、級があがるごとに自分の意見を明確に伝えられるかどうかが重要な採点ポイントになります。(1級は与えられた題に対するスピーチとそれに対する質疑応答)
実際の試験官を目の前にした面接では、自分の意見がきちんと相手に伝わらなければ点数獲得に繋がらないため、英会話をきちんと練習しておくことで合格への道が開けます。
おすすめの資格対策本と活用法
まず、検定を受ける際には「形式に慣れる」ことを重視しましょう。
英検の場合は、過去問題集が販売されているため、まず過去問で形式になれておくことが大切です。
☆「英検過去6回全問題集」シリーズ(級ごと)旺文社、2016。
また、英検の二次試験対策に特化した予想問題集も発売されています。対策なしにいきなり当日を迎えることは危険なので、できれば予想問題は頭に入れておきたいところです。
☆「英検 二次試験・面接 完全予想問題」シリーズ(級ごと)旺文社、2011。
☆「英検2級 面接大特訓」植田一三・上田敏子・Michy 里中、Jリサーチ出版、2015。
また、英検には英検独特の頻出単語があります。これらの単語を筆記試験に向けて覚えることで、面接で使える語彙数も増えより効果的です。
☆「英検1級 出る順パス単」旺文社、2012。(全ての級がある)
英語検定公式サイト http://www.eiken.or.jp/eiken/
TOEIC S&W
従来リーディングとリスニングのみの試験であったTOEICですが、近年新たにTOEIC S&Wというスピーキングとライティングに特化したテストが誕生しました。
このテストは英検の二次試験とは異なり、パソコンに向かって自分の意見を制限時間内にきちんと話せるかどうかかが試されます。
TOEICの一環であるため、基本的に国際的な職場環境における効果的な英語の使用、つまりビジネスシーンを想定したものが多いです
とはいっても、決してビジネスの知識がなければ解けないという類の問題ではないので、実践的な「話す」英語を学ぶのには最適です。
テストの構成は、スピーキングテスト20分とライティングテスト60分で、スピーキングテストのみの受験も可能です。
試験の合否はなく、自分のとった点数がどのレベルに値するのかを見ることができるため、より正確な自分の学力把握ができます。
通常のTOEICと同じく国際資格であるため、留学や就職活動での活用も広がっています。
お勧めの資格対策本と活用法
しかしながら、まだこのテストが導入されてから日が浅いため、この試験の対策本はかなり少ないのが現状です。
大型書店には置いてありますが、書店に在庫があるかどうかきちんと確認をしてください。
数少ないものの中からご紹介するのは、まず公式問題集です。五回分の問題と回答例が掲載されており、回答作成のポイントなども記載されています。
☆「TOEIC Speaking&Writing公式 テストの解説と練習問題」、一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会、2015。
また、模擬テストをオンライン上でできるCD-ROMが付きの参考書も販売されています。初めてTOEIC S&Wを受ける人には、その傾向を掴むという観点から非常にお勧めです。
☆「はじめてのTOEICテスト スピーキング/ライティング 完全攻略」横川綾子、トニー・クック、アルク出版、2014。
TOEIC S&W公式サイト http://www.toeic.or.jp/sw/about/tests.html
TOEFL
TOEIC S&Wテストと同じく、「パソコン」に対してのスピーキングを行う試験としてTOEIFL iBTテストがある。
この試験は、英語圏留学への条件として課されることも多く、大学レベルの英語の使用ならびに理解能力を測るためのものです。
テストは、リーディング60-80分・リスニング60-90分・スピーキング20分・ライティング50分でで構成されており、特にスピーキングセクションでは6つのクエスチョン(一般的なものからキャンパスでの会話、学術的なものまで)が課せられます。
TOEFL iBTの試験は長時間に及ぶため、問題形式になれて集中して問題に解答する必要があります。ですので、しっかりと各セクションの対策をしておきましょう。
特に、スピーキングではある程度の「ひな型」を自分自身で作っておくと非常に問題が解きやすいと言われています。
問題の傾向と対策を理解しながらそれらを習得するのにおすすめの書籍がこちら
☆「TOEFL TEST対策 iBTスピーキング」川端淳司、テイエス企画、2006。
TOEFL公式サイト http://www.ets.org/jp/toefl/ibt/about/
英語の本を使って、活きた英会話術を手に入れよう!
普段から英語に接触する機会を作ることは、英語への抵抗をなくす第一歩です。
そのために、本日は分野ごとの参考書の使いかたや、洋書を使った学習法、お勧めのフレーズ集や試験対策本を参照しました。
筆者の、本に掲載されている英語を覚えるためのお勧め術は、つまるところ「丸暗記」と「目・耳・口を使った学習」です。
フレーズ集や洋書のなかの英語表現は、「使える」フレーズの宝庫です。
これらの様々な本を使う際に、自分なりの工夫を見つけて、お気に入りの一冊を見つけられると、本を使った英会話学習がより有意義で楽しいものになりそうです!