映画に学ぶ英語の名台詞「Go ahead, make my day.」

映画の “キメゼリフ” は、それこそ数え切れないほど沢山ありますが、その中でも「ダーティハリー4」(原題は Sudden Impact)に登場する「Go ahead, make my day.」は、映画史上に残る屈指の名台詞といえます。

American Film Institute が2005年に公表した「映画の名台詞100」(100 Movie Quotes)では、この「Go ahead, make my day.」が全100位中第6位に位置づけられています。

 

人気シリーズ「ダーティハリー」で最高のヒットを記録した第4作の中でも特に印象的なシーン。ただし邦訳では場面ごとカットされていることもあり、国内では知る人ぞ知る名台詞という趣があるかも知れません。

映画のシーンで述べられる「Go ahead, make my day.」は英語独特のニュアンスに満ちており、中々すんなりとは和訳できません。翻訳者によってさまざまな風に訳されています。

  • さあ、やれよ、できるもんならな
  • やってみろよ、俺を楽しませてくれ
  • さあ撃てよ、望むところだ

相手を挑発しているセリフという点は共通していますが、「make my day」部分などは訳文が多様すぎて原文の意味合いが見当もつかなくなっています。

研究社 新英和中辞典 の例文では、この映画のシーンとは切り離された文例ではありますが、「どんとこい! 大いに楽しませてもらおう [痛いめにあわせてやるから] !」という訳例が掲載されています。

ということで細かく文意をひもといていきましょう。

Go ahead.

go ahead は、命令文として用いられる場合、もっぱら《行動を促す》意味合いで用いられます。

具体的には、「さあ、しなさい」という指示、もしくは、「どうぞ」という許可のニュアンスが含まれます。~してもいいですか?と許可を求められて返答する場面なら、単に yes(はい)と答えるよりも積極的な「どうぞどうぞ」というニュアンスが表現できます。

Go ahead. は場面に応じてさまざまに訳されます。同じ方向に進もうとしてぶつかった状況なら「お先にどうぞ」、会話がぶつかった状況なら「どうぞ続けて下さい」のような訳語が適当でしょう。

この Go ahead. は基本的に紳士的な表現ですが、相手を罵り混じりに挑発する言い回しとしても多用されます。つまり「やれよ」とか「さっさとやれ」とか、「おら、やってみろよ」とか、「やれるもんならやってみやがれ」というようなニュアンスが込められる場合もあります。

映画「ダーティハリー4」でこのセリフが登場する場面は、人質を取った強盗とハリー刑事が対峙する場面。「撃ってみろよ」と強盗を挑発している場面なのです。

goahead


Make my day.

make my day は、「楽しませる」「喜ばせる」といった意味で用いられる口語表現です。

※ 人称代名詞が入れ替え可能なので、辞書を引くには「make one‘s day」や「make a person‘s day」のような形でないと見つかりません。

Make my day. は命令形ですが、You made my day. のような平叙文でも用いられます。字面通りには「あなたが私の1日(よき日)をもたらしてくれた」といったところで、意味的には「大いにうれしい」「とても楽しい」というニュアンスが表現されます。

で、Make my day.  をそのまま訳すなら「俺を楽しませてくれ」というような意味合いに落ち着きます。

さて「ダーティーハリー4」では、強盗と対峙し、人質に銃を突きつける強盗に「やれよ(撃てよ)」と促しつつ、Make my day. と命令形で述べられています。つまり、強盗が人質に手をかけたシチュエーションをむしろ「望むところだ」「俺を楽しませてくれ」と言って挑発する、刑事のダークヒーローっぽい側面がうかがえる一言となっています。

* * *

ここまで踏まえて、本項ではひとつこんな訳を提案したいと考えます。

Go ahead, make my day.
やってみろよ。面白いことになるぜ。

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