「人に会う」という意味で用いられる一般的な英単語といえば「meet」と「see」。あいまいなままになりがちな違いを少し詳しく比べてみましょう。
目次
英語辞書はどのように解説しているか
英語について調べるなら英英辞典、ということで、オックスフォード英英辞典(Oxford Dictionaries)オンライン版を引いてみましょう。
「meet」の解説では、国語辞書の「会う」とほぼ同様の定義に続いて、次のように記述されています。
Make the acquaintance of (someone) for the first time
一方「see」の解説では、第一義としては「(目で)見る」という定義が挙げられていますが、第四の定義として次のような記述があります。
Meet (someone one knows) socially or by chance
この2つの定義から、まずは「meet」は初対面の人と出会う場面を中心に用いられる語であり、他方「see」はすでに面識のある人と行き会う場面で用いられる語である、と捉えることができます。
ついでに言えば、「see」の解説は「meet」の語を使って述べられていることから、「会う」の意味においては meet の方がより根本的な語彙であることがうかがえます。
「nice to meet you」と「nice to see you」
挨拶の言葉として、「Nice to meet you.」、および「Nice to see you.」という表現があります。どちらも「お会いできて何よりです」のように訳せます。
「Nice to meet you.」は基本的に初対面の人へ(「初めまして」の意味で)用いられる挨拶です。他方「Nice to see you.」は、すでに会ったことのある人と再会した際に用いる挨拶です。
面識がある相手に対して「Nice to meet you」と挨拶してしまうと、相手から「こいつは前にも会ったことがあるのに忘れてるのかな・・・」と訝られる可能性が大です。
「meet」は「接触する」のイメージで
meetには、「対面する」「連れだった状態になる」、つまり「互いに意識して会う」ニュアンスが中心にあります。「接触する」と捉えてもよいかもしれません。
meeting(会合)も、目的を持って人が意識的に集い「膝をつき合わせる」という、接触のイメージで捉えられます。
※ ジャストミート(just meet)は和製英語なのですが、「当てる」「当てに行く」というニュアンスをつかむにはまずまずの例でしょう。
「see」は「見る」のイメージを発展させて
seeはもともと「目で見る」「目に映る」という意味が中心にあり、そこから「理解する」「面会する」あるいは「見届ける」といった意味に広がっている語です。
「会う」の意味においても、「見る」「目に映る」の感覚が主となります。つまり、視界に入ってくるようにして見かける、相まみえる、というニュアンスで捉えることができます。
電話の相手に「お会いできて嬉しい」?
電話ごしに挨拶する場面では、実際に出会っているわけではないため、「meet」や「see」を使って挨拶すると、どこか不自然なニュアンスが生じがちです。
電話での挨拶としては「Nice to talk to you.」(あなたとお話できて嬉しく思います)のように表現すると自然です。電話の最後に「It was nice to talk with you.」のように伝えて通話を終える言い方もスマートです。
テレビ電話(ビデオチャット)を使って互いに顔が見える状況でやりとりする場合には、「Nice to meet you.」「Nice to see you.」と挨拶しても違和感はありません。