beef は牛肉。Where’s the beef? なら「牛肉はどこ?」といった意味の疑問文です。でも Where’s the beef? のフレーズは、意外な意味で、意外な意味で使われる慣用表現でもあります。
厨房や食品スーパーで食材が見当たらない!というわけではありません。さて、どんな意味でしょうか?
「それは“実”のある話なのか」
Where’s the beef? は「その話には中身があるのか?」といった意味で用いられます。
beef には、実質、実体、中身という意味があります。すなわち物事の肝心な部分を指します。
Where’s the beef? は、「だから何?」という挑発的なニュアンスを含みます。たとえば、机上の空論、あるいは回りくどく要点の掴めない話に対して、端的に批判するような場面で使えます。
これが僕のキャリアプランだ。ゆくゆくは社長に上り詰めるんだB : Where’s the beef?
そんな計画に中身あんのか?
言われた側は、それなりにダメージを負うでしょう。
成り立ち
この Where’s the beef? のフレーズは、アメリカのハンバーガーチェーンのCMがきっかけで使われるようになった言い回しとされています。
肉が少ない他社のハンバーガーを食べると、つい「Where’s the beef?」(=肝心なものが入っていないじゃない!)と言ってしまうというストーリー。このCMが転じて、beef=物事の中身、重要な部分を指すようになったとか。
日本語の「皮肉」も、元々は、血肉ならぬ骨と皮だねと言って暗に中身のないことを示した言い方です。その意味では beef と似た部分があると言えるかもしれません。
beef には不平不満の意味もある
beef には、不満、問題という意味もあります。Where’s the beef?は中身あるの?ですが、 What’s the beef? という場合は「何が不満なの?」という意味になります。
上司に不満があるんだ。彼はまるで独裁者だよ。
なぜイライラしているの?何か不満でもあるの?
B : My flight will be canceled tomorrow by a tyhoon. I have an important business meeting in Russia!
台風で明日のフライトがキャンセルになったの。ロシアで重要な会議があるのに!
アメリカの通信社ブルームバーグ(Bloomberg)が、「What’s the Beef With China?」という見出しを掲げたことがあります。
What’s the Beef With China? – Bloomberg Gadfly
牛肉に関する記事内容と「中国との問題は何か」という意味をかけていると考えられます。
俗な用法です
Where’s the beef? も What’s the beef? も、どちらも俗語の部類です。相手を批判するニュアンスを含む言い方でもあります。ビジネスシーンやフォーマルな場面では使わないほうが無難です。