食べ物について「不味い」(まずい)と評価する場合、基本的には taste(s) bad と表現できますが、不味さの程度や発言する状況などに応じて他の表現を選ぶこともできます。
時には食事が口に合わないこともあります。いつでも我慢すべきというわけでもありませんし、笑い話として話題にできる場合もあります。状況に合った適切な表現を使えるようになりましょう。
英語で伝える「美味しい!」食事の感動を表現する上手な言い方
「味覚」を表現する英語の形容詞
率直に端的に「マズい」と表現する言い方
「マズい」という趣旨はネガティブな評価に用いられる形容詞を使えば率直に表現できます。
身もフタもない言い方になりやすいので、用いる場面には多少の注意が必要です。少なくとも、面と向かって伝える言い方ではありません。
基本は bad
不味いと述べる表現としては tastes bad という言い方が最も基礎的・一般的な表現といえます。bad は「好ましくない」というニュアンスで、マズさの種類や程度にかかわらず使えます。
ただし bad は味の良し悪しの評価に用いるとは限らず、「腐っている」(傷んで悪くなっちゃってる)と表現する場合にも用いられます。
動詞 taste(~の味がする)と併用して tastes bad のように表現すると、味の良し悪しについて述べているということが誤解なく伝わります。
この果物は美味しくない
この果物は傷んでしまっている
bad は叙述用法で使うとは限らず、bad coffee で「不味いコーヒー」と表現するように限定用法でも使えます。
「ひどい味だ」と表現する(terrible、horrible、awful )
terrible、horrible、awful は「恐ろしい」「ひどい」といった意味の語で、味覚について用いれば「ひどい味だ(不味い)」「恐ろしく不味い」といった趣旨が表現できます。
直接的で相当ドギツイ表現なので、使用場面はよくよく見極めましょう。
ちなみに、terrible と字面の似た語で terrific という形容詞がありますが、terrific は口語で「素晴らしい」「ステキな」「おいしい」というポジティブな評価に用いられる語です。
「不快な味だ」と表現する(nasty、 unpleasant)
nasty と unpleasant は「不快な」という意味の表現です。客観的な味の良し悪し以上に、不味くて嫌な気持ちになったという心情が示される、その意味で強烈な表現です。
unpleasant は「好ましからぬ」という間接的な切り口の表現であり、その分だけ nasty よりはマイルドな表現です。nasty は直接的で、よりキツイ印象です。
錠剤の中には吐き気を催すような味のものがある
―― Longman Dictionary of Contemporary English
「気持ちが悪い」と表現する(gross 、disgusting )
gross と disgusting は日本語で言うところの「気持ちが悪い」という不快感を表現する言い方です。gross and disgusting のように並べて用いられることも多々あります。
見た目が酷かったり、食感・舌触りが気持ち悪かったり、食べ合わせが気色悪い感じだったり、思わず「うわぁ・・・・・・」と言いたくなるような場面で使われます。
gross food という言い方は「粗末な食い物」という意味合いでも用いられます。
「オェッ!」みたいに感動詞で表現する(yuck 、 eww )
嫌悪感や不快感をオエッとかゲロ~という風に表現する言い方もアリでしょう。英語では yuck や eww などの語が該当します。
eww は /ˈiːu/ と発音します。 ewww と表記されることもあります。
yuck も eww も、料理がゲロマズという状況に限らず、拒絶や嫌悪を感じた場面で用いられる表現です。
yucky は「ゲロマズ」と述べる言い方
yucky は「yuck な」という形容詞表現で、もっぱら料理が不快なほど不味いと表現する言い方です。もちろん強烈な言い方です。
不味さの状況を表現する少し婉曲的な言い方
ネガティブな意味の形容ではなく、味覚的にどういう状況かを少し具体的に述べ、そういう状況は食べ物としては好ましくない=つまりマズいと伝える言い方もあります。
やや遠回しな表現であり、多分に穏便な表現といえます。
interesting:ちょっと変わった味
interesting は「興味深い」「面白い」といった意味で用いられる形容詞ですが、味について評価する場面では遠回しにイマイチ美味しくないという意味で使われる場合があり得ます。
可能性としては「美味しい+今までにない味覚」という全面的にポジティブな意味合いで interesting と述べる場面もあり得ます、が、美味しいと評価するなら good や tasty といった肯定的な表現も一緒に用いられることでしょう。
unusual:いつもと違う味
unusual は「いつもとは違った」「普通ではない」といった意味で用いられる語で、必ずしもネガティブな意味を伴うとは限りません(ポジティブな意味で用いられている例もあります)が、言い方によっては「不味い」と述べる婉曲的な表現にもなり得ます。
interesting や unusual といった言い方は、表現そのものに不味さのニュアンスがあるわけではありません。状況に応じて真意を読み取る必要があります。
tasteless:味がない
tasteless は 名詞 taste(味)に「~を欠く」という意味の接尾辞 -less が付いて「味がない」「味がしない」と表現する形容詞です。
かなりの薄味、あるいは全く味付けされていないといった種類の不味さを表現する場面にはピッタリの表現です。
no taste のように言い換えても同じ趣旨が表現できます。
plain:あっさりしている
plain も味の薄い様子を表現できる言い方です。tasteless(味がない)という程ではなく、味が薄くて平板に感じる(「あっさり薄味」)のようなニュアンスと言えるでしょう。
plain food という表現は「粗食」の意味で用いられることがあります。
strange:変わった味
strange は「奇妙な」「変わった」という意味の形容詞です。味を形容する場面では、たいてい「ちょっと変な味」「なんだか妙な味」という感じで、美味しくないという趣旨で用いられがちです。
disappointing:がっかりした
disappointing は「(人を)がっかりさせる」という意味の表現です。料理などが「期待していたのにガッカリする代物だった」と述べる文脈で使えます。
直接に不味いと表現する言い方ではないとはいえ、ネガティブな評価であることには違いありません。
なお disappointing は話者の期待の大きさに反してガッカリした様子(「思ったほど美味しくなかった」という状況)を示す言い方なので、味の良し悪しは限定されません。もしかすると「究極にウマい至高のひと皿を期待していたけど普通に美味しいだけだった」という状況かもしれません。
unappetizing:食欲をそそられない
unappetizing は、「食欲をそそられない」「不味そう」と表現する言い方です。
実際に食べてから「不味い」と評価する文脈よりは、目の前の食べ物を臭いや見た目から「不味そうだ」「いまいち食べたい気持ちにならない」と評価するような場面に適します。
「あまり好きではない」と表現する言い方
ネガティブな内容に言及する場合、直接にネガティブな語彙を用いて表現するよりも、ポジティブな語彙を使った否定文の形を取った方が、おおむねやんわり表現できます。
また、味について直接的に評価を下すよりも、「自分はこれを好まない」というような主観的な判断として述べた方が、対象を否定するニュアンスが和らぎます。
この「自分はあまり好きではない」と表現する言い方は、色々な場面で使えます。ぜひ使いこなせるようになりましょう。
I don’t like it. (私は好きではない)
「自分はあまり好きではない」という趣旨を述べるフレーズとしては I don’t like it. が基本といえます。
like は幅広い「好みの度合い」で使える便利表現です。程度を強調する副詞を言い添えれば「べつに大好き!という程ではない」といったニュアンスも表現できます。
それほど好きというわけでもない
It’s not my cup of tea. (私の好物ではない)
It’s not my cup of tea. は、「私が好むところではない」といった意味で用いられる慣用フレーズです。
(a) cup of tea は文字通りに捉えれば「1杯の茶」といった意味の言い方ですが、「得意分野」「好きなもの」という意味で用いられる慣用表現でもあります。食べ物に限らず趣味や学問の分野を指して「好き」「得意」を述べる場合も多々あります。
I don’t have a taste for it. (自分の好みではない)
have a taste (for) ~ は「~を好む」「たしなむ」といったニュアンスの言い回しです。おおむね like に近い意味合いです。
taste には「味覚」の他に「趣味」「嗜好」という意味合いもあります。have a taste for ~ の taste は「嗜好」の意味合いで用いられています。taste(味)について述べる際に taste(好み)の語を使うというのは、なかなかに風流です。
It’s not my taste.
趣味・嗜好という意味の taste を使った表現としては It’s not my taste. という言い方もできます。
I don’t have a taste for it. とは違って対象が主語に置かれますが、伝わるニュアンスはほぼ同じです。