料理の食感は味や香りと並ぶ重要な要素です。食感は食べる行為の快感そのもの。英語では食感を texture あるいは mouthfeel といいます。
英語にも食感を表現する表現は豊富にあります。食が進む食感、ちょっとクセのある食感、日本人にはなじみの薄い食感もあります。
食べ物の感想を上手く表現して共有できると、食事がいっそう楽しくなります。
「味覚」を表現する英語の形容詞
英語で「美味しい!」を意味する英単語・フレーズ
主にポジティブな評価の食感
chewy (モチモチした・噛み応えのある)
chewy は弾力があって噛み応えのあるさまを指す表現です。
動詞 chew (よく噛む)の形容詞形です。
chewy はアゴをよく使う食品全般に用いられ、該当する食材はさまざまです。ベーグル(bagel)のようなもっちり感のあるパン、ビーフジャーキー(beef jerky)のような加工肉、キャラメルのようなキャンデー類も chewy で表現できます。
ラーメンやうどんの「コシ」も主に chewy で表現されます。
chewy な食品の例
sticky (ネバつく)
sticky は粘り気があるさまを指す表現です。日本語の「ネバネバする」あるいは「べたべたする」に対応する表現といえます。
動詞 stick(くっつく)の形容詞形。
典型的にはキャラメル(caramel)やバタースコッチ(butterscotch)をふんだんにかけたパン(buns)などが挙げられます。マシュマロ(marshmallow)なども sticky と形容されやすい食品です。
納豆、オクラ、とろろ芋(grated yam)のネバ感も sticky と表現されます。もち米を sticky rice と表現することもあります。
sticky な食品の例
gooey (ねっとり)
gooey は「ねっとりする」あるいは「べたつく」という意味の形容詞です。
原語の goo は名詞で、「粘つくもの」という意味合いの口語表現。語源は burgoo というごった煮料理の省略形と考えられています。
gooey は主に砂糖やシロップが多用された甘~いお菓子を指して使われています。砂糖で表面がべたべたした菓子、シナモンロール(cinnamon roll)などは典型でしょう。
sticky とはニュアンス的に重複する部分が多く、gooey and sticky のようにまとめて表現されたりもします。
gooey な食品の例
soft (ふわふわ)
soft は柔らかいさま、容易に形が変わるさまを形容する基礎的表現です。食感を形容する場合は、ふわっとした感を表現する語として使えます。
ケーキやパンは基本的には soft と表現されます。果物が熟して柔らかくなった様子を soft と形容することもままあります。
ちなみに「soft foods」と言うと、おかゆ・おじやのような軟らかくした食品が連想されがちです。
soft な食品の例
tender (やわらかい・噛み切りやすい)
tender は、簡単に切ったり噛んだりできる食べ物を表します。
soft は主にパンやケーキの柔らかさを表現しますが、tender は主に肉、もしくは野菜の(温野菜のような)柔らかさを表現します。その意味で、「柔らかい」というよりは「噛み切りやすい」に近いニュアンスといえます。
tender な食品の例
moist (しっとり)
moist は基本的に「しめった」という意味合いの語で、食品について用いる場合は水分をやや多めに含んた様子を形容します。
とりわけチョコレートケーキやマドレーヌのようなケーキ系のお菓子について、「生地はしっとり」と表現する場合に用いられる語です。
brittle (サクサク)
brittle は「もろい」という意味の語です。食品を形容する場合、乾燥していて硬さを感じるものの簡単に砕ける、砕けやすい、すなわちサクサク感のある食感を示します。
ちなみに、ブリットル(brittle)と呼ばれるお菓子があり、これはナッツ類を練りこんで焼いた砂糖菓子のことです。
ブリットル。
chunky (具だくさん)
chunky は名詞 chunk (かたまり)から派生した形容詞で、塊がゴロゴロ入った様子を示します。
主に「果肉たっぷりのジャム」や「具だくさんのスープ」などを表現する際に用いられる言い方です。
creamy (クリーミー)
creamy は、クリーム(cream)のようななめらかさを表現する言い方です。日本語でクリーミーと述べる場合とおおむね同様に使えます。
舌ざわりがクリーム的・クリーム状、という意味合いの他に、生クリームがふんだんに練り込まれているさまを指す場合もあります。生クリームが入れば食感もクリームに近づくでしょうけれど。
ミルクチョコレートのように口どけが売りの食品では creamy と smooth が併せて用いられることが多々あります。
crisp (パリッとした)
crisp は、乾燥していて硬いけれど割れやすい(サクッとした)様子、および、野菜や果物が新鮮で歯ごたえを保っている(シャキッとした)様子を表現する語です。どちらのニュアンスにも対応する日本語表現として「パリッと」がハマりそうです。
サクサクのクッキーやポテチ系のお菓子は、まさに crisp な食感です。英語で crisps といえば「ポテトチップス」を指します。
焼き上げたベーコンのようなカリカリの状態も crisp と表現できます。
crispy(クリスピー)も同じ意味で使えます。どちらも形容詞であり、特に使い所の違いもありませんが、限定用法の場合はどちらかというと crispy を用いる例が多く見られます。
crunchy (バリバリ・ボリボリ)
crunchy は、硬さがあり、カリッと音の鳴るような軽快な噛み応えのある様子を表現する語です。
crisp と同様のニュアンスで、パリパリ、カリカリ、および野菜のシャキシャキといった食感を表現します。
元となる動詞 crunch が「砕く」「粉砕する」といったニュアンスを中心とするので、バリバリ、ガリガリ、ボリボリといった豪快な噛み砕きを感じさせます。
juicy (ジューシー)
juicy は juice が形容詞化した語で、水気を豊富に含んださま、汁気の多いさまを表現します。日本語における「ジューシー」とほぼ同様のニュアンスです。
主に、果汁をたっぷり含んだ果物、果汁の味覚を存分に感じさせる加工食品、肉汁たっぷりの肉などを形容します。
mushy (トロトロ)
mushy はお粥のように軟らかくトロトロした状態を指します。材料はほぼ原形を留めない程に加工されます。離乳食(baby food)のイメージが近いかもしれません。
イギリス料理の定番である mushy peas は、グリーンピースを mushy になるまで錬ったもの。さまざまな料理にソースや添え物として用いられます。
smooth (なめらか)
smooth は、口当たりがよく、特に抵抗や違和感を感じない、なめらかな食感を表現します。スープやソースのような液状かつ濃厚な食べ物についてよく用いられます。
食感・舌ざわりを表現する他に、味覚について「苦くも酸っぱくもない好ましい味」と表現する場合もあります。いずれにしても、口がスッと受け入れるようなニュアンスが感じられます。
gummy (ぐみぐみ)
gummy は gum(ガム)の形容詞形で、ゴムっぽいと表現する言い方です。グミグミした歯ごたえ、あるいは、粘着性を感じする様子を表現します。半ば sticky と重複したニュアンスがあります。
いわゆる「グミ」の食感が gummy、と捉えておけばよいでしょう。ただし英語の gummy の発音は /ɡʌmi/ である点に注意しましょう。
「グミ」はドイツ語の Gummi に由来するとされます。英語圏でもグミは Gummi candy あるいは Gummies と呼ばれます。(gummy candy とも呼ばれます)
グミの元祖はドイツのハリボーが開発した熊の形のアレです。
jiggly (ぷるぷる)
jiggly は動詞 jiggle (小刻みに揺れる)が形容詞化した表現。小刻みに揺れるような、プルプルした様子を指して用いられます。
弾力的で崩れない、弾むように揺れるさまを表現します。特にカスタードプリンはしばしば jiggly pudding と表現されます。
ネガティブな意味で使われる食感
rubbery は「ゴムみたいな」
rubber は「ゴム」です。これの形容詞 rubbery は「ゴムのような」、「硬くて噛み切れない」という意味があります。硬くてまずい肉などの食感を表す際に使われます。
dry は「パサパサした」
dry は「乾いた」、「乾燥した」という意味です。moist や wet と真逆の意味を持ちます。食べ物に対して使われるときには、「パサパサした」と訳せるでしょう。作ってから時間が経ってしまったためにパサパサしてきたパンやケーキなどに対して使われます。
clammy は「湿り気がありベトベト」
clammy は、粘り気があり、若干湿った様子を表します。通常、不愉快な場合に使われる単語です。新鮮ではなく、シャキシャキ感のないサラダを clammy salad と呼んだりします。
stodgy は「胃もたれするような」
stodgy は、日本語で「胃もたれするような」と訳せます。健康的でなく、胃に負担をかけてしまうような食べ物に対して使われます。胃もたれの原因となる炭水化物をたくさん含んだ食べ物に対して使われることが多いようです。
tacky は「乾ききってなくてベトベト」
tacky は乾ききっておらず、ネバネバ・ベトベトする状態を表します。通常、質が悪い状態で提供された食べ物に対して使われます。「乾ききってなくてベトベト」というより、「まずい」という意味で使われることが多いようです。
greasy は「脂ぎった」
greasy は「脂ぎった」、「脂っこい」を意味する形容詞です。油多めの豚骨ラーメンなども greasy であると言えるでしょう。油で口の中がぎとぎとになるような食べ物に対して使います。
tough は「硬い」
tough は、切ったり食べたりするのが難しい食べ物に対して使われます。tender と反対の意味を持ち、日本語では「硬い」と訳せるでしょう。焼きすぎてしまって硬くなったステーキを tough steak と言います。
stringy は「筋っぽい」
string は「筋」を意味します。その形容詞 stringy は、「筋っぽい」「筋張っている」ことを表します。硬い繊維や筋を含み、噛み切りにくい食べ物に対して使います。筋っぽい肉は stringy and tough meat と言います。
watery は「水っぽい」
watery は「水っぽい」と訳せます。食べ物や飲み物が、水分を含みすぎていて味が薄いことを表しているのです。味の薄いコーヒーやワインを、watery coffee 、watery wine と言ったりします。
grainy は「ざらざらした」
grainy は、表面がざらざらした状態を表します。食べ物でも、きめ細かくなく、口当たりが悪いときに使われます。smooth の反対の意味で使われると覚えておきましょう。
bony は「小骨の多い」
bony は「骨のような」、「骨が多い」という意味の形容詞です。人に対して使うときには「骨のようにガリガリ」、食べ物に対して使うときには「小骨の多い」と訳されます。小骨の多い魚は bony fish です。