He seems nice. と He seems to be nice. は、どちらも日本では「彼はいい人らしい」という風に訳されがちな文章です。また、前者「He seems nice.」は後者の「He seems to be nice.」を省略した表現とも解釈でき、その意味では2つの表現の間に大きな違いはないともいえます。
ただし、「to be」の有無によって、言葉の響き・リズムはもちろん微妙なニュアンスもやはり違ってくる部分はあります。
to be の有無で変わるものは「観点」
冒頭ではどちらも「彼はいい人らしい」でまとめましたが、あえて訳し分けてみましょう。くどい言い回しにはなりますが、こんな風にいえるでしょう。
He seems nice.(彼はいい人なのだと思える)
He seems to be nice.(彼はいい人であると見られているように思われる)
並べて比較すると、「He seems nice.」はどちらかといえば主観に基づく表現であり、「He seems to be nice.」はより客観的な立場を意識した表現であるといえます。
ちなみに、「seem」の直後に名詞を続ける言い方は一般的でなく、「to be」は省略すべきでないという見方が普通です。間に形容詞をはさむ場合は、許容する人もいれば、不自然とする人もいます。
○ He seems to be a teacher.(彼は先生だと思われる)
△ He seems a nice teacher. (彼は良い先生だと思われる)
× He seems a teacher.
「to be」は「like」でもよい
「seem」の次にto be+名詞と続ける表現では、「to be」の代わりに「like」を使って表現することもできます。
○ He seems to be a teacher.(彼は先生だと思われる)
○ He seems like a teacher.
「seem」の後に「形容詞+名詞」(上記の例文では「a nice teacher」)が続くときは、「to be」が省略できるという人もいます。いずれにしても、「He seems a teacher.」という文は不自然とされるため、「to be」や「like」を入れなくてはいけません。
細かい疑問は上級者への第一歩!
英語表現の細かい響きやニュアンスの違いを意識したり気にかけたりするクセがつくと、言葉のセンスが格段に上達します。表現力が豊かになり、英会話のスキルがアップするだけでなく、英語のネイティブスピーカーが英語をどう感じているのかを知るための近道にもなるはずです。