複数の品詞を取る英単語の品詞の見分け方

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英語には、同じ単語が語形変化もせず(全く同一の綴りで)複数の品詞を取る場合があります。英文の中に不意に登場して、慣れない読み手を混乱させる、要注意ワード。見分け方のコツを把握して、惑わされないようにしましょう。

とりわけ英単語の意味を単一の訳語と結びつけて暗記する学習法にとっては、この手の単語は鬼門です。極端な話「 and I elbow him =そして私は彼を肘(?) 」なんて奇訳になりかねません。

でもこれまでの努力は決してムダではありません。コツを掴んでしまえば今までの知識を応用してさらに柔軟に流暢に英文を読み解くことが可能となるはずです。

複数の品詞を取る単語の種類と傾向

一部の英単語は、同じ単語なのに、名詞としても用いられることもあれば動詞として用いられることもあります。あるいは、形容詞として機能している場合もあります。

たとえば report という単語は、名詞「報告」に加えて動詞「報告する」という意味用法でも用いられます。もっとも、動詞の場合は時制によって reporting や reported のように語形が変化していることも多々あります。

  • elbow:名詞「」、および 動詞 「肘で小突く
  • powder:名詞「」、および 動詞「粉をかける
  • flavor:名詞「風」、および動詞「味をつける
  • head:名詞「」、および 動詞「向かう頭を向ける
  • ice:名詞「」、形容詞「氷上の」、および動詞 「凍らせる

名詞-動詞パターン

report のように「名詞でもあり動詞でもある」パターンは、複数の品詞を取る英単語の中では最もよく登場する典型例です。

  • report、import、increase、paint、number
    →  名詞、および、「名詞(のことを)する」
  • powder、elbow、flavor、list、sleigh
    → 名詞、および、「名詞で何かをする」
  • ring、round、circle
    → 名詞、および、「名詞を形作る」
  • visit、stay、walk、display、worry、draw
    → 動詞、および、「動詞すること」
  • drink、copy
    → 動詞、および、「動詞する対象」

この名詞-動詞パターンの語は、日本語の漢語由来の(漢字2字からなる)動詞または名詞になぞらえて理解することもできるでしょう。「理解(する)」に近い感覚で読む要領を把握すると、わりと読めてしまうことがあります。

意味の源流が同じパターン

訳語の意味は一見すると全然違うものの、そもそもも意味合いを遡ると、語源や原義が同じであることがわかる、というパターンも多く見られます。

  • book:」(名詞)および「予約する」(動詞)
    → 「記帳(する)」というイメージが根本にある
  • wave:「」(名詞)および「手を振る」(動詞)
    → 「波打つ」または「波打たせる」のイメージが根本にある
  • type:「」(名詞)または「分類する」「タイプする」(動詞)
    → 原語はギリシャ語で「打つ」「押す」という意味。
  • project:「計画」(名詞)および「投影する」(動詞)
    → 原義はラテン語で「前に投げる」という意味。
  • season:「季節」(名詞)および「味をつける」(動詞)
    → 原義はラテン語で「種まく」という意味。
  • novel:「新しい」(形容詞)および「小説」(名詞)
    → もともとラテン語で「新しい」を意味する nov- から。
    「小説」は巧妙な訳語ですが、もし「新説」だったらはすんなり英語理解に通じたかも。
    ちなみに ノベルティ(novelty)は novel の派生語です。

これは英語そのものへの造詣が深まるにつれて理解が捗る種類の知識といえるでしょう。

同綴異義語パターン

たまたま綴りが同じなんだけど、原義は異なるし、意味の共通性も特にない、というパターンもあります。これはもう覚えるしかないかもしれません。

  • bear:「」(名詞)、「耐える」(動詞)

さらに原義を共有しつつ複数の品詞を取る場合もあります。

  • ring:「ベル」(名詞)、「ベルが鳴る」、および、「指輪」(名詞)、「取り巻く」(動詞)
  • row:「」(名詞)、「ボートを漕ぐ」(動詞)、および、「口論」(名詞)、「口論する」(動詞)
  • bank:「堤防」(名詞)、「堤防を築く」(動詞)、および、「銀行」(名詞)、「預金する」(動詞)
意味用法に応じて発音が変わる場合もあります
  • bow:「弓」→ /bəʊ/
    bow:「お辞儀する」→ /baʊ/
  • wind:「風」「風に当てる」→ /wind/
    wind:「うねる、巻き付ける」「うねり、ひと巻き」→ /wʌɪnd/  ※イギリス英語の場合

ただし、それぞれの単語が「源流が同じ派生語」なのか、それとも「同綴異義語」なのか、どちらのパターンに区分するかは諸説あって定かでない場合が多数派です。あくまでも目安程度の認識に留めておいた方がよいでしょう。

名詞-形容詞-動詞パターン

多義語というやつ

  • water:「水」「水の」「水をやる」
  • ice:「氷」「氷上の」「凍らす」
  • mail:「郵便」「郵便の」「郵送する」

同綴異義語パターン

  • light:「明かり」「灯す」/「軽い」
  • fine:「素晴らしい」/「罰金」「罰金を科する」
  • subject:「主題」/「従属の」「従属させる」

※多義語・同綴異義語どちらにパターン分けするかについては、やはり諸説あります。

形容詞-動詞パターン

  • free:「自由な」「開放する」(flee「逃げる」と混同しないよう注意)
  • loose:「緩い」「ゆるめる」

意味によって発音が異なる単語もあります。

  • live:「生の」「生きる」
  • close:「近い」「閉じる」

より複雑なパッターン

  • sweet 形容詞-名詞
    「甘い」「甘いもの」
  • right 名詞-形容詞-副詞-動詞
    「右」「右の」「右に」/「権利、正当」「正しい」「正しく」「正しくする」
  • round 名詞-形容詞-副詞-動詞
    「丸いもの、一回り」「丸い」「丸く」「丸くする」
  • well 副詞-形容詞-名詞-動詞-間投詞
    「よく」「よい」「井戸」「湧き出る」「おや、まあ、えっと」
  • down 副詞-形容詞-名詞-動詞-前置詞
    「下に」「下の」「下位」「打ち負かす」「~を下って」
  • May 名詞-助動詞
    「五月」「~してよい」
  • can 名詞-助動詞
    「缶」「~できる、~してよい」
  • spoke 動詞(過去形)-名詞
    「(speakの過去形)話した」「(車輪の)スポーク」

品詞を見分けるコツと極意

複数の品詞を取り得る単語の品詞を見分けることは、なかなか一朝一夕にはいきません。最終的な解決方法は英語の言語感覚を身につけることであり、その境地に至った暁にはもう品詞なんて気にせずスンナリと読んでしまっているハズです。

パターンを理解して記憶して把握する

特定の単語がどういう意味(品詞)を取ることがあるのかを知識として身につける。たとえばbookにについて「」と「予約する」という意味があることを暗記する。

これはいわゆる物量作戦で、それなりに即効性がある方法です。正しい訳文に近づく選択肢は増えます。ただしキリがない+英語の感覚はなかなか養われません。

文章の構造から判断する

英文を読むに当たり、まずは主語と動詞を特定しましょう。主語と動詞が特定できたら、他の語は他の品詞と判断せざるを得なくなります。

動詞っぽい語が出てきたら、動詞の意味を適当に名詞か形容詞みたいに機能させるだけで、英文がすんなり読めてしまったりします。

名詞が動詞っぽく使われていたら「それで何かする」と連想する

あるいは、一見して名詞と思われる語が主語と目的語に挟まれているように見える場合、それはかなりの確率で動詞です。 and I elbow him の文ではelbow はどう見ても動詞と判断せざるを得ません。意味は「ひじ」(名詞)しか把握していなかったとしても、「多分、ひじで彼をどうにかしたんだろう」と思い巡らせば、もう9割がた正確に読めたようなものです。

体の部分を指す名詞や、料理・調理に関する名詞などは、「それを使って何かする」という動詞の意味で転用されることがままあります。

  • head →「頭を……向ける」
  • sugar →「砂糖……を加える」

ある程度は「想像で補うしかない」という所ですが、そう検討違いな意味にはならないハズです。そして、この想像で補うプロセスは英語の言語感覚をかなり鍛えてくれます。

最終的には文脈で判断する

英文を一々訳出してみたら訳文が破綻してしまって参った、という場合は英語に慣れた頃でも余裕で出てきます。くじけない姿勢も大切です。

英文が成立しても文脈上正しくない、という場合も余裕であり得ます。

The police ringed the house.
And then the suspect finally showed up.
警察が家を包囲し、犯人はようやく姿を見せた

前文 The police ringed the house. は、「警察が家(のドアベル)を鳴らした」とも訳せます。しかし、続く文章(「そしてようやく犯人が姿を現した」)とのつながりを考えると、

警察:ごめんください(呼び鈴)
犯人:はいはーい

というマヌケな構図になってしまいます。

そう考えると「ring」は別の意味で使われている可能性を模索しなければなりません。ここで「ring=取り囲む」という意味を知らなくても、ring→輪、指輪のような、という理解を元にした推察ができれば、洗練された日本語に訳出することは難しくても、文脈どおりの適切な理解にたどり着くことは難しくありません。

  • ベルを鳴らす「ring」の過去形は「rang」のはず。では別単語?
  • 「ring」には「輪っか」という意味があるね
  • 英単語には「名詞」「名詞する」といった派生の仕方があるよ

そんな推定を巡らすことで正しい読解が行われます。この推定は英語に親しめば親しむほど洗練されて、最終的にネイティブスピーカー並になれば瞬時に(意識することもなく)判断できるようになるはずです。

「品詞を疑う」姿勢をまずは身につけよう

英単語には、代表的な意味・品詞だけでなく、派生的な意味や品詞を伴う場合は多々あります。これを頭に入れ ておくだけでもかなり勝手が変わるはずです。

英文を読んでいて文章構造にひっかかりを感じたら、単語の品詞認識を疑いましょう。ちょっと応用する感じで品詞の扱いを変えたらスンナリ理解できた!という場合も多々あります。

英語では google =ググるに代表されるように語形を変えずに品詞が変わるパターンが普通に受け入れられ用いられています。

このへんの機微が理解できたら、もう英語初学者なんて言わせません。あるいはすでに言語学者に片足突っ込んでいるかも知れません。

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