英単語 otherwise には「さもないと」「その他の点では」「それとは違った風に」という、一見すると意味が全然違って見える3つの意味があります。
otherwise が文中でどのような意味で使われているかは、文脈次第という側面が強く、使い分け方が身につくまでは判断に苦労します。それだけに、いったん把握してしまえば幅広い場面で使える便利な表現でもあります。
other + wise と分割して読み解いてみる
otherwise は other + wise という2要素で構成されています。
other は「他の」と いう意味。
wise は接尾辞で、これは(「賢い」ではなく)方向・関連性・方法といった意味を示します。たとえば clockwise (時計回りで)、likewise(同様に)、taxwise(税金面で)なども同様。
つまり、 otherwise は根本的には「他の方向」を指す意味合いがあると解釈できます。
「さもないと」という意味
状況の進行について述べる文脈では、otherwise は「それが起こらなかった場合には」「それとは違う状況であるならば」という意味を持ちます。if not で言い換えることが可能です。
ある条件が引き金となってパラレルワールドに向かう、という意味合いで「他の方向」と捉えることもできるでしょう。
It was lucky that she arrived 5 minutes earlier. Otherwise, she would have missed the bus.
彼女が5分早く到着してよかった。そうでなければ、バスを逃していただろう
I got down to the task at once; otherwise I could not have dinner.
私はすぐに仕事に取り掛かった。そうでなければ夕飯にありつけなかっただろう
Be quiet, otherwise you’ll be noticed.
静かに。でないと気づかれる
「その他の点では」という意味
話の中で言及対象を他に転じる場面では、otherwise は「その他の点については」という意味を持ちます。これは in other respectsのように言い換えられます。
ここでは視点・焦点が「他の方向」を示しています。それまで話題の中心だった物事を除く、その他の(すべての)事項、といったニュアンスです。
I don’t like the color of curtain, otherwise the room is excellent.
カーテンの色が気にくわないけど、それ以外は本当にすてきな部屋だな
He is slow of foot, but otherwise he is a good player.
彼は足が遅いが、その他の点では良い選手だ
She has sharp toungue, but otherwise perfect.
彼女は口の悪さだけが玉に瑕だ
「それとは違った風に」という意味
話題の内容が方法や作法に関することで、言及対象を他に転じる場合、otherwise は「それとはまた違う方法で」というような意味を持ちます。他の語で言い換えるなら differently などが当てはまります。
この意味合いでも視点・焦点を「他の方向」に向けるニュアンスです。
彼女なら違ったふうに言っただろう
There is no reason to think otherwise.
そう考えるより他にない
No, I didn’t say like that. I said otherwise.
いや、僕はそんな言い方はしていない。別の言い方だったよ
otherwise を上手く使えると英語表現がいっそうナチュラルな、こなれた感じになります。まずは3つの意味の違いを意識して理解すべきでしょうが、最終的には意味の違いを意識しない(1つの語の違ったニュアンスとしての)把握を目指しましょう。そこに至れば、もうネイティブスピーカーの感性に到達したといっても過言ではありません。