英語・英会話の学習は物量も重要な要素です。なるべく多くの英語・英文に触れるという意味で有効な学習方法が「洋書の多読」。色々な英語文章をとにかく読む勉強法です。
洋書を使った学習法は独学の手段として取り入れやすく、始めやすい方法ですが、他方で挫折しやすいという側面もあります。うまくコツを踏まえた洋書の読み方・選び方を効果的な学習に役立てましょう。
通説をあえて無視してオススメしたい方法は、「多読よりもむしろていねいに読む」こと、そして「絵本や小説よりもむしろ学術書を選ぶ」ことです。
どんな読み方をするか考える
英文の読み方は、「知らない単語や言い回しを見かけても敢えて放置して読み進める」という方法と、「知らない単語は一応意味を調べて把握した上で読み進める」方法に大別できます。
「読み飛ばす」読み方は多読の呼び名にふさわしい方法ですが、効果を実感するまでかなり根性が必要で、挫折する危険も高まります。
私・筆者はむしろ、はじめのうちは「読み飛ばさない」方法、やや丁寧な読み方を心がけることをオススメしたいと思います。
そして英語の本(書籍)は、この「読み飛ばさない」方法に適した情報源でもあります。
読み飛ばさない学習法
「本(書籍)で英文を読む」学習方法は、ウェブサイトの英文や断片的な英語情報に比べて「知らない表現や単語をそのままにしづらい」という部分があります。
ネット上の英語ニュース記事や参考書の長文読解問題などで英文を読む場合、たいていは、文章をじっくり読むよりは目当ての情報を念頭に置きながら記事をスキャンするようにして読まれます。
文章をざっと斜め読みする読み方は、情報をすばやく集める上手なテクニックですが、分からない箇所を敢えて捨てる読み方である以上、英語学習で求められる学習とは隔たりがあります。
読書は常に内容を追って理解しながら読み進めていく必要があり、脈絡の理解が途切れるととたんに読み進めにくくなるものです。そこで新しい単語や表現方法に出くわしたときに意味を調べる必要が出てきます。
つまり、文章を読む必要上、単語や表現の意味を調べる、という基本プロセスが自然に行える学習方法と言えるのです。
どうやって読むか
ひとつひとつ知らない単語を調べていくと、同じ箇所でずっと停滞し、しばらく後に同じ単語が出てきて辞書を引いて、「さっき調べたやつじゃん…」と落胆するような場合もしょっちゅう生じます。学習の成果が実感できないとモチベーションも下がってしまいます。
英文読書も少し工夫すれば成果の実感が感じられるものです。そのためには、和書を読むような「ただの読書」から、「読書による英語学習」へと、意識の向きを変える必要があります。
書き込みとリストアップ
洋書を読む際にぜひオススメしたい方法が「書き込み」です。自分の知識にない情報に印をつけて後で見返すために役立ちます。
たとえば、知らない単語に出くわしたら、その単語を丸で囲むなどして印をつけておきましょう。印をつけた単語は一旦メモしておき、辞書で簡単に意味を確認します。このとき、意味はメモに書き足さずにおきます。
メモした語は読書の前後に見返して意味をふり返り、そこで記憶に定着させましょう。
読書を始める前に一手間かける
リストに貯めておいた単語や表現は、次に読書を再開する前に意味を思い出して書き加えてみましょう。そのあと辞書で正確な意味をもう一度確認し、答え合わせをします。
間違ったものはペンで正しい意味に修正し、その日の分のリストに再度書き込みます。このときも意味は書かずに、英語だけでの状態でOKです。
ここまで一通り行ってからその日の読書を始めます。
この一連の流れに慣れると、身につく単語が増え、また増えたことが実感できます。進歩・進展が感じられれば読み続ける意欲も増します。語彙力が上がれば辞書を参照する回数も減り、英文を長時間追うことにも慣れるため、読書量(時間当たりに読む進む度合い)は格段に向上します。
じゅうぶんに慣れたら「多読」に移る
何冊か読み進める頃には、辞書を開く機会もめっきり減ります。ほとんど日本語で読書をする時と同じ感覚になります。
ここまで来れたなら「多読式」洋書を使った学習がはじめて効果を発揮します。たいていの単語は前後の文脈から推測できるよういなり、文型など文法的に見慣れない表現が登場しても読みながら察しがつきます。
読書学習法に適した本のジャンル
入門には学術書がオススメ?
英語初級者が英語の本を読むなら、まずは子供向けの絵本や童話を読むとよい、というセオリーがあります。単語も文法も平易であり、挿絵が理解を手助けしてくれる、といった要素が主な理由です。
しかし、筆者はむしろ「学術系の洋書」に挑むことをオススメします。
児童向けの童話やおとぎ話は、表現は平易ではあるものの、独特の詩情あふれた描写や表現が多く含まれます。そのため、かえって理解に手間取ることがあります。小説などの創作も同じことがいえます。
学術書の場合、論述があくまで主眼となるため、文章構成は明確で文法に忠実なものが多く、長文でもむしろ読解は容易という場合が少なくありません。文章の構成にも一定の作法に基づいて書かれている点も理解しやすい要因です。
図書選びは自分が興味を持てる分野の書籍を選ぶよう意識しましょう。バックグラウンドとなる知識がある分野なら内容の理解も捗り、知識の吸収効率も違います。経済、歴 史、科学、芸術など、好きな分野を選びましょう。ただし、専門性の高すぎる本を選ばないように注意。