英会話学習、猛烈に英語を勉強をしているはずなのに、全然上達できている実感がない。
どうも努力が空回りしている気がする。
そんな悩みを抱えている方は結構います。
奮闘が空回り気味になっている原因は、もしかすると学習法の偏りにあるかもしれません。
勉強の仕方を少し見直して、ちょっと要素を加えるだけで抜群に成果が出てくる可能性もあります。
改善のカギは「聞く・話す・読む・書く」を効果的に組み合わせて学習することです。
学習方法は偏りすぎていませんか
「初学者で勉強熱心で成果が実感できない人」の典型的な学習方法は
- とにかく英単語を暗記
- 洋書をひたすら読む
- 問題集を解きまくる
というような感じです。
コレと決めた方法は一途に取り組んでキッチリと進めるのですが、それだけではいけません。
バランスよく行うことが大切です。偏食はよくありません。これは言語学習においても同様です。
「話す」「読む」「書く」「聞く」をバランスよく学習に取り入れ、組み合わせて学ぶことで、効率や成果が最大化されます。
ひとつの技能要素だけ伸ばすとどこかで躓く
《語彙力だけでもだめ、文法だけでもだめ》
単語を覚えて語彙力を伸ばすことはもちろん大切です、が単語力だけではなかなか英語話せるようにはなりません。
英文を読む際には単語の意味は分かるものの文章の構成が分からない、断片的な訳語を並べる福笑いのような読み方になってしまいがちです。
文法的な知識はどうしても欠かせません。たとえそれが感覚的な把握であっても。
とはいえ文法知識を制覇しようとしても単語の意味が全然分からなければどうしようもありません。
《読み書きだけでもだめ、口頭だけでもだめ》
「英会話」に焦点を当てていると、とにかく「聞いて」そして「話す」練習が中心になり、
そして読み書きはおろそかになりがちです。
しかしながら、英会話スキルの向上にとっても読み書き能力は重要な要素です。
「読む」ことは、英文そのものの構成・構造や語彙力に直結します。
「書く」ことは、英作文能力に直結します。アウトプットすることで語彙力が綴りレベルで確かなものとなります。
「聞く」ことは「読む」力を口頭ベースに置き換えたもの。「話す」ことは書くことを口頭ベースに置き換え、発音やアクセントといった要素を上乗せしたものです。つまり読み書きの学習を通じて土台が補強されます。
読み書きできないけれど会話はできる状態もあり得ないわけではありませんが、どうしたって非効率です。
「勉強した充実感」に満たされてしまう危険もある
方法の偏った学習法は成果が実感しにくく、やった気になる状態に陥りやすい側面もあります。
「今日もたくさん取り組んだ」という充実感に満たされ、記憶には何も定着していない、なんて状況があり得ます。
リスニング教材を聞きまくる方法も、方法それ自体はよいのですが、聞き流すだけでは情報は頭から抜けていってしまいます。
英語文章を読みまくる。意味は理解できないけど読みまくる。これも同様の危険をはらんでいます。
4要素をバランスよく吸収する英会話の上達方法
読む・聞く・話す・書くの4技能を絡めて効率的に学習できる方法として、いわゆるマルチメディアコンテンツを活用する方法が挙げられます。
たとえば
- 映像+音声+字幕が併用された海外ドラマ
- 報道映像と書き起こされた記事文章が用意されているニュース記事
- スクリプトが作成されたプレゼンテーション映像
といったコンテンツは、文章を文字でも音声でも認識できる効率的な教材となります。
耳と目と両方を駆使して学ぶことで、ひとつの情報がより多くのチャネルを通じて得られます。これも学習の効率化にとって非常に有利です。
インプット面は「読む → 聞く」の連携で鍛える
《海外ドラマを活用》
読む力と聞く力を併用して理解度向上の成果を実感できるオススメ学習法は、海外ドラマ等の字幕機能オン・オフを利用した《2度見》です。
海外ドラマ視聴は定番の英語学習法のひとつではありますが、初学者が日本のドラマを見るようにただ視聴していては多くは得られません。(むしろ時間を費やした充実感はあるのに英語で何を言ってるかは分からずじまいというような空回りの危険があります)
《2度見》の手順はたったこれだけ。
- まずは英語字幕モードをオンにして見る。
- 今度は同じ内容を字幕なしモードにして見る。
これだけで、字幕なしの状態で英文が聞き取れる度合いは飛躍的に高まります。
英語字幕で見た段階でストーリーの脈絡がまったく把握できなかったら、「日本語字幕を付けて見る」ところから始めてみましょう。
2度見の視聴法は、いっぺん見た内容を繰り返し見ることになるわけですが、2度目の視聴がつまらなくなるということはありません。
むしろ、何度か見るうちに新しい発見が得られて楽しくなっていくはずです。
字幕を外して英文が聞き取れる……という実感は、2度目の視聴を冗漫と感じさせるよりも、むしろ新鮮な感動をもたらします。
映像中に登場する事象、背景・小物・動作などに海外文化を垣間見るようになったら、聞き取りに余裕が出てきたら証でしょう。
海外ドラマの2度見作戦は、リスニングの向上にもなり、同時にリーディングの向上にもなります。
そして、海外ドラマは、海外の日常生活を舞台としている性質上、舞台となる場面の随所に、あるいは登場人物の何気ない動作に、異文化理解の手がかりが見つけられます。
《TEDを活用》
海外ドラマと同様に「読む→聞く」型の学習教材として活用できるオススメ教材に「TED」が挙げられます。
TEDは海外の著名実業家の講演・プレゼンテーションを YouTube あるいは モバイルアプリ等で配信しています。
YouTube では 字幕あり・なし を設定できる場合があり、TEDもバッチリ字幕表示が設定できます。
TEDのステキなところは、
- スラングがあまり使われない
- 内容に一貫性がある
- 実際的・現実的な話題
といった点でしょう。
ある意味ドラマよりも理解しやすい場合も少なくありません。特にビジネス英会話を志向しているならTEDがオススメできます。
《VOAを活用》
字幕付き動画を使った勉強方法にハードルの高さを感じる場合、字幕(というかスクリプト)のあるニュース記事が取り組みやすいかもしれません。
英語学習者向けに平易なニュース記事を音声と文字で提供しているサービスは多々ありますが、定番としては「VOA」(Voice of America) が挙げられます。
ニュースサイトは文字で書かれた文章が主体となっているので、より読解に比重を置いた学習が期待できます。
アウトプット面は「書く→話す」の連携で鍛える
英文のアウトプットは「文章作成能力」がカギであり、そして単語の綴り・発音・アクセントといった要素が付加的ながら重要な要素として絡んできます。
《日記のススメ》
アウトプット面でオススメできる方法は、英語で日記を付けることでしょう。しかも自分の日記を声に出して読むところまで含めます。
日記は着手しやすい手頃な習慣であり、自身の自分の日常に根ざした表現が身につく学習法です。
「日常に根ざした表現」は意外と重要です。掃除に洗濯といった日常生活の行動は教科書ではなかなか学べず、書店に並ぶ「使えるフレーズ集」はどうしても最大公約数的なものに落ち着いてしまいます。
自分の生活に密着した英語表現を身につけていくと、英語はより生活に密着したものになります。
これは「日常を英語で思考する」という、ネイティブ並スキルを身につける重要な要素にもなります。
で、実際に英語日記をつけ始めてみると、たいてい
- 昨日もまったく同じことを書いたな
- 昨日もまったく同じ表現でつまずいたな
という感想が渦巻くことになります。
それじゃダメじゃんと思うかもしれませんが、むしろそれがいいんです。
何回も登場するフレーズは「個人的に重要性の高いフレーズ」です。教科書はこんなこと教えてくれません。
繰り返し用いれば用いるほど、定着度合いも高まり、実際の英会話でもすんなり出てくるようになります。
(もちろん正しい表現を確認して是正しておく必要があります)
《同じ事ばっか→表現の幅の模索へ》
「昨日もまったく同じことを書いたな」という印象は、表現の幅を持たせたいという欲求につながります。
あるいは、より実情にピッタリくる表現、具体的に丁寧に記述できる表現はないものかという不満を抱くようになります。
それまで使っていた定型的な単語なりフレーズなりが完全に自分のものとなった果てには、代替表現を使いこなす方向へ自ずと食指が伸びます。
そして似たような意味の単語やフレーズを探して使って、表現がより豊かになっていく好循環が出来てきます。
例えば、「~する必要がある」「~しなくてはいけない」と表現したい場合、学校英語を引きずった状態だとだいたい should が使われます。もしくは have to とか。
これが慣れてくると他の表現を探して適用できるようになります。たとえば
- ought to
- have got to
など。
特に誰に見せるわけでもない日記は、臆せずに言いたいことを言える独擅場です。
英語は使ってナンボ。たとえ日記で綴った文法に誤りがあったとしても、英語に慣れる、英作文に馴染むという意味においては十分過ぎるほどの成果を発揮してくれるでしょう。
《日記を朗読する》
アウトプット学習法としてせっかく日記を付けているなら、その書いた内容を口に出して読んでみましょう。
これは発音の練習であり、また自分が作った文章を音声で発する練習です。
文章は、読めはするが喋ってみたら噛み噛みになってしまうことがよくあるものです。
また、言葉は音感・リズムが基底にあるものです。声に出すことで英語の特有のリズムというか語感に近づくことができます。
そして日記に綴る内容を声に発することは、そのまま英会話において自分が述べる内容にほど近い事柄となるはずです。
日記の朗読は、何となく恥ずかしいものですが、そこは割り切ってしまいましょう。
誰かを想像して「語って聞かせる」風に読んでみる試みは意外と有効です。
繰り返すうちに、日記で繰り返してきたフレーズが口を突いて出てくるようになりますよ。
《まずは書く。正確さは重要でも二の次》
日記のように何の制約もなく自由に記述する英作文では、
- 文法的に正しい表現なのか
- こういう表現が英語にあるか
というような疑問に常に駆られます。
確認は大事です。大事ではありますが、後回しにしましょう。
多少不正確でも、正しい表現が見つけられずじまいでも、気にせずいったん放置してしまいましょう。
まずは英語に親しむことが何より重要。正確な表現は後からでも正せます。
文法や定型句を気にして書けなくなっては本末転倒です。
《そう、間違いを恥じてはいけない》
英語のアウトプットは、どちらかといえば、ライティングよりもスピーキングの方が敷居の高さを感じさせます。
英語の発音が複雑で難しいという部分もありますが、日本人としては「間違えたら恥ずかしい」という思いにとらわれやすい傾向があり、それが思い切りの悪さに繋がっているようです。
この《間違えたら恥ずかしい》感覚は、英語学習にとっては序盤から終盤までずっと付きまとう難敵です。
日本国内では英語話者と話す機会はほとんどありません。機会があってもシドロモドロになっているうちに逃してしまいます。もったいない。
英語は言語であり、言語はコミュニケーションの手段。コミュニケーションのカギは言葉の正確さではなく、表現の美しさでもなく、カタコトでもいいからとにかく伝えること、伝わること、です。
発音や綴りや文法の誤りは、慣れてから微調整すればよいのです。それが言語の習得というものです。
「話す→聞く」そして総合力を鍛える
4要素は、あえて順序づけるなら「読む→聞く→書く→話す」あるいは「聞く→読む→書く→話す」の流れで取り組めると理想的です。
もちろん、それぞれ切り離して学習に取り組むのではなく、ひとつの内容を複合的な視点で扱うことで効果が倍増します。
「読む→聞く→書く→話す」の次は、一段上って「話す→聞く」につなげたいところ。これには発言と応答という会話のプロセスが必要になってきます。
自分の学習レベルに応じた会話相手がいると、4要素をうまく回していける好循環がモノにできます。
《オンライン英会話は恰好のサービス》
会話には相手が必要です。自分の学習補助を引き受けてくれる「英語のデキる人」を街中で見つけることは容易ではありません。
そんな場合に格安のオンライン英会話サービスが重宝します。
英会話レッスンなら、こちらがいくら初心者でも先生は懇切に手ほどきしてくれます。恥じる必要などありません。
最近ではかなり気軽な価格で各レッスンを受講できるオンライン英会話がたくさん登場しています。価格面の敷居の低さは大きな魅力です。
英語の質? 大丈夫
いわゆる格安オンライン英会話の多くはフィリピンの拠点と連携しており、英語講師はフィリピン人の英語ネイティブスピーカーという場合が大半です。(多国籍の講師を揃えているサービスもあります)
フィリピン人講師と聞くとだいたい疑問視する声も出てきます。
- 講師は本物のネイティブとはいえない
- フィリピン人の発音は本場とは遠い
こうした見解は、完全に否定することもできませんが、躍起になって否定する必要もありません。言わせておきなさいな。
ひとまず「話す練習」のフェーズにおいては、このような指摘は的外れではあります。
4技能の向上に複合的に取り組んで、総合的な英語スキルの向上を目指す。この段階で求められることは、英語のエレガントさではありません。
英語をこちらからどんどん話して、自分の口に、英語を話す際はどうやって動くものなのかを覚えさせることです。
英語を話せるようになるには、やはり、話して話して話しまくることが大切です。
そこで会話を受け取って次の話へ進める手助けをしてくれる相手が居てくれるという環境が、いまここでオンライン英会話に期待している役割です。
《その気になればタダで代替手法を実現できる》
オンライン英会話は手軽で始めやすい恰好のサービスではありますが、格安とはいえいくらかの出費を伴います。
極力安く済ませたい!という場合、多少の積極性を発揮すれば、代替案を見つけることもできます。
たとえば、モバイルアプリ「 Meetup 」で近所の仲間を見つけるという手。Meetup は近隣在住で趣味が同じ仲間を結びつけてくれるサービスで、欧米ではかなり広く知られています。
英語・英会話に関連するコミュニティや、海外出身者の多い趣味サークルが見つかれば、英語で会話できて気の合う仲間にも出会える絶好の巡り会わせだって期待できます。
英語は語学。総合的な学習が成果のカギ
学習方法のススメなんてものは、それこそ「言うはやすし」というもので、実践にはそれなりの苦労が伴います。面倒です。
でも、苦労するだけの甲斐はきっとあります。
ちょっとデキると加速度的にデキるようになる
英語を学びはじめてからしばらくの間は、どうしても成果は実感しにくく、じれったい日々を送ることになりがちです。
しかしあるポイントを超えると、理解できる部分が増え始め、学習成果が実感できる、そして学んだ成果が次の学習に活かせるという、よい循環に到達できます。
英語が話せるようになると積極的にもなりますし、積極性は新たな知識や学習機会をもたらしてくれます。まさに好循環。
よく英会話の関連の書籍で「3ヶ月で英語が話せるようになる!」的なタイトルの本が売られていますが、あれは本当は「3ヶ月で英語を話せるようになるためのスタートラインに立てる」というべきなのではと、個人的には思います。
英語を流暢・闊達・如意・自在・随意・思い通りに操るとなると、それは途方もない知見の蓄積が必要です。
「話せるようになる」というのは、むしろ会話による自己成長のプロセスが確立されるということだろうと理解すべきでしょう。
英語は話せるようになってからが楽しいものです。
言葉は手段。その先にあるものを見据える
英語学習のための個々の勉強法は、それ自体、「英語の上達」という目的を達する一手段に過ぎません。
英語の勉強は「手段の目的化」が進みやすい分野です。洋画を字幕で視聴した!という事実に満足して、学習そのものがおそろかになってしまわないよう、常に留意しておく必要があります。
英会話そのものも、最終的には手段に過ぎません。
大事なのは英語コミュニケーションスキルを駆使して何を達成するか、どういう世界を舞台にどのように活躍していくかという点であるということを忘れないようにしましょう。
まだ目指すところが見えていなくても構いません。後に見つけた時に語学の面で不自由しないよう準備するという位置づけも十分な学習動機です。
英語を駆使・活用して実現したい夢が見つかった暁には、学習の指向性や濃密さ、効率は、それまでとは段違いに進むはずです。
でも、まあ、そのお話は他の機会に譲りましょう。今回はひとまずこの辺で。ではまた。