英会話は、実際のところ、中学高校で習った(英語の教科書に載っている程度の)基本的な単語や言い回しだけでも意思疎通できます。単語の発音や文法がカンペキからほど遠いものであってもネイティブスピーカーに通じます。ある種のコツさえつかめばコミュニケーションは成立するものです。
日本にいると、どうしても「知識を蓄えて、それから実践へ」という順序になりがちです。が、むしろ逆に「実践を通じて知識を蓄える」順序こそが言語学習のあり方としては本質的といえるでしょう。実践は、感覚的理解や記憶への定着において、これ以上ない学習手段です。
まずは、いま身につけている基本的知識を使って「伝わる英語」を話せるようになりましょう。難しいことではありません。ただ3つのポイントを心がけるだけで十分に「伝わる英語」を話すことができるはずです。
- とにかく言葉を発すること
- 声の調子やボディーランゲージに気を配ること
- 相手の英語が分からなくても気にしないこと
会話力や語彙力に不安があっても、いったん隅に置いておきましょう。経験を通じて少しずつ新しい知識や技術を身につけていけば、おのずと不安は解消されていきます。
とにかく言葉を発することが大事
話すことを恐れず、文法を気にせずに口を開いて言葉を発すること。これが何よりも大切です。
伝えたいことをうまく文章化できなくても、話している途中で言いよどんでしまっても構いません。単語の羅列だけでも意思疎通は可能です。
英語で話すことを常に意識することは重要です。ことさら「英語で話す」と意識せずに英語を使うようになれば理想的です。途切れ途切れでも構いません。何度も繰り返し話す経験を積めば英会話は上達していきます。
英語圏のネイティブスピーカーでさえ、幼少期にはカタコトの途切れ途切れの英語を話していたはずです。
適切な英単語を知らない場合でも、自分の言いたいことを説明する努力は必要です。一般的な言い方がわからない物でも自分の語彙力で指し示すことはできます。たとえば、「cooking machine」(炊飯器)という言葉は知らなくても、「the machine to cook rice」(ご飯を作るための機械)などと言えば、何を指しているかは十分に伝わります。
つたない表現は、相手が言い直して教えてくれます。間違いを恐れず、一言でも多く英語を発すれば、その分だけ新しい学びが得られます。
声の調子やボディーランゲージに気を配ることも重要
文章がつたない表現でも、声のトーンや身振り手振りを駆使して会話の雰囲気を補足することによって、伝えたい内容を伝わりやすくすることが可能です。「非言語コミュニケーション」というやつです。
コミュニケーションには言語以外の要素も深く関わっています。意思疎通における言語の役割は1割程度で、残り9割は言語外のコミュニケーションが占めていると提言した心理学者もいるほどです。
極端な話、日本語と英語で語り合っても共感は生まれます。言葉が全く通じなくても、感情は伝わります。カタコトの英語と流暢な英語が通じないわけがありません。
同じ英語表現でも、声の調子やボディーランゲージの調子次第で意味合いが違ってくる場合もあります。たとえば「I’m sorry.」(ごめんなさい)と述べる場合でも、「申し訳なく思います。お詫びします」という気持ちを込めて言う場合もあれば、「私は悪くないけど、同情はしますよ」という気持ちを込めて言う場合もあります。どちらの意味で伝えるか・伝わるかは、状況、文脈、そして言語外のコミュニケーション次第です。
相手の英語が分からなくても気にしないことも重要
「分からないことがあったら恥ずかしい」とか「理解してあげられないことは申し訳ないことだ」というような、後ろ向きな気持ちを敢えて無視することも重要です。
自分はつたない英語力でなんとか伝えようとする、相手はそれをどうにか受け取ってくれる。逆もまた然りで、相手の言葉が十分に理解できない状況もあえて受け入れ、開き直りましょう。
相手の英語を満足に聞き取ることができなければ、聞き返しましょう。聞き返すことはそれ自体が会話の実践の一部です。特に打ち解けた相手との気さくな会話なら、分からない言葉が出てきたらすかさず意味を訊ねてしまいましょう。
相手に英語を言い直してもらい、理解することができれば、「Oh, I see.」(おお、分かった。)のように返せば互いにハッピーです。もし理解できなくても「Sorry, I don’t understand.」(ごめんなさい、分からない。)と言って会話をさらに進めることが可能です。
相手の英語を理解できないから・・・といって黙ってしまうと、コミュニケーションはそこで途切れてしまいます。無理にでも会話を続けようという意志があれば、コミュニケーションが続く可能性は限りなく高くなります。ある種の図太さ・図々しさも必要なのです。
難しい英語は分からないけれど、とにかく話したいという姿勢を示すことで、相手の理解を得られるでしょう。相手の英語が分かるかどうかを気にせずに会話を続けることが、英語で意思疎通を行う際のポイントです。
よき相手を見つけることも重要
英会話を実践するには、相手となってくれる人が必要となります。通りすがりの人を捕まえて無理に付き合わせるのも無理がありますし、ビジネスや会議のような場で練習に臨むことも場に合いません。
極言すれば、英語で気さくにコミュニケーションを図れる機会を見つけ、互いに意思疎通したという意思が持てる、そんな場所と相手が見つかれば、半ば英語力の上達は約束されたようなものです。
英会話を目的としたカフェやサークルのような、無料で気軽に参加できる場もあります。オンラインで違いに言葉を教え合う言語交換(language exchange)サービスなどもあります。無理のない範囲で取り組める機会を見つけましょう。
基本単語の知識さえあれば、ネイティブスピーカーに伝わる英語を話すことができます。英会話を恐れず、何かを伝えようという姿勢を保つことで、「伝わる英語」は自然と身に付くでしょう。