英誌「TIME」で英文の読み方を鍛える

英語の新聞・雑誌の購読は、欧米で今まさに使われている英語表現や知識を、コツコツと継続的に学んでいける、よい教材です。

多読のコツは文章を語順通りに読むことです。頭の中で日本語文章に訳してしまうと、文章が前後逆転してしまい、いろいろと浪費してしまいます。

英語圏の代表的な紙誌といえば「TIME」を思い浮かべる人も多いはず。TIMEの文章は実は「英文を前から読む」練習に適した語法が多く、多読の練習(を兼ねた多読の実践)にはうってつけの教材です。

世界200か国に2000万人以上の読者を持つNo.1国際英文ニュース誌、TIMEを通じて英語に親しんでみてはいかがでしょうか。

TIMEはどんな雑誌?

伝統と権威と実力あるメディアです

「TIME」はアメリカ発のニュース週刊誌です。世界初のニュース週刊誌とも言われており、創刊は1923年、すでに90年以上の歴史があります。

TIMEの特徴は信頼性の高い情報、時事的な話題を迅速に報じる速報性、印象的な写真や明快なイラストを多数盛り込んだ視覚的なわかりやすさ、政治・経済だけでなく科学・文化や娯楽まで幅広いジャンルを扱う守備範囲の広さなどが挙げられます。

その年に最も注目を集めた人物をピックアップして世相を振り返る「Person of the Year」や、世界への影響力を持つ人物100名をランキングで発表する「Time 100」は、TIMEの恒例となっており、発表されると日本国内でも大きく報じられます。

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難解でもなく決して易しくもなく

TIMEの英語の文章レベルは、「英語初学者向け」とはいえません。かといって、高度な知識や英語感覚を必要とする難解な文章というわけでもありません。

記事に取り上げられる内容も、高尚すぎず、低俗でもなく、大人の教養として丁度よい加減。まさに中庸の雑誌です。この中庸という位置づけが、TIMEの大きな強みであるとも言えるでしょう。

TIMEの英文は一文一文にそれなりの長さがありますが、カンマの扱い方や副詞節の読み方といった要素をうまく扱えるようになれば、意外となめらかに読めます。


読み方1. カンマとカンマで挟まれた部分はカッコ補足と考える

たとえば、中東イラクにおけるIS紛争についての記事から。こんな一文があります。

Mosul, in northern Iraq, is the largest city still under ISIS control and remains the most important strategic prize in the overall war against the group.
How a Victory Over ISIS in Fallujah Could Actually Hurt Iraq (May 31, 2016)

訳:北イラクに位置するモースルはISの統制下にあるなかで最も大きな町であり、(政府側の)グループとの戦いで最も重要な戦略の貴重な場であり続けている。

出だし部分の Mosul, in northern Iraq, is ~ の部分は、日本語に訳出すると「北イラクのモースルは~」のように(語順を前後順にして)記述する形が自然ですが、これを英語の語順の通りに「モースルは、~」と読めるようになると、読解が捗ります。

ここで役立つテクニックが前後をカンマで挿まれた記述は日本語の(カッコ)と解釈する読み方です。

数語程度の短い文を、前後をカンマで挿んで記述する書き方は、TIME誌上ではけっこうな頻度で目にします。この部分は除いてしまっても前後の文章だけで文意が通ります。つまり非本質的な補足情報です。

まずは、カンマの中の記述をいったん度外視して、前後の文章をひとつの文として捉えましょう。日本語として訳文を完成させることを意識しなければ、カッコ(カンマ)内の記述を情報として留めておくことは難しくありません。そして、英文の理解は逐一日本語訳を必要としません。

慣れてくると、「Mosul, […], is ~」という文章構造がパッと見で把握できるようになります。


読み方2. 節を含む記事はまず前半だけ読む

イギリスのEU離脱の経済への影響に関する記事では、こんな一文があります。

I’ll focus here on what the longer term future of Europe might be beyond the Brexit vote, regardless of which way it goes, and why that matters.  ―― Why the Brexit Vote Matters for the Global Economy(June 22, 2016)

:ここでは、イギリス欧州連合離脱選挙を経たヨーロッパの長期的な将来がどうなるか、それがなぜ重要なのかについて、どちらの方向へ進むかは考慮せずに焦点を当てる。

※ ちなみにBrexit とは Britain(英国)と exit(脱出)を組み合わせた語で、イギリスのEU離脱にまつわる一連の騒動を指す語として報道メディアが多く用いる流行語です。

文章中には、what~、why~という二つの節が、focus on の指す対象として含まれています。このような場合、日本語に落とし込んで理解するにはまず節以下を先に訳してしまうやり方が学校的なスタンダードな理解の仕方です。

whyから始まる節の中のthat mattersは、「それが重要である」という意味を表す決まり文句であることも押さえておきたいポイントです。

「主語」を「主題」に置き換えて前半を訳しきる

関係詞の扱いは、英語を英語の記述順序の通りに理解していけるようになるには無視できない部分です。関係詞を含む文章を語順通りに読むには、関係詞で文章を分断する、または、主語を主語ではなく話題の提示として読むといった考え方が必要です。

文章を分断する読み方は、「《昨日買ったばかりの椅子》を壊してしまった」と読まれる文章を「椅子を壊してしまった、その椅子は昨日買ったばかりだったのに」と読む読み方です。

主語を話題に提示として読む読み方は、日本語の格助詞を「が」ではなく「は」に置き換える読み方と考えてよいでしょう。例文の I’ll focus here ~ の部分は、日本語訳すると「(ここでは)~焦点を当てる。」のように文末に配置されがちですが、「ここで焦点を当てる事柄、~」と訳し直せば、まず最初の部分だけ理解できます。こう読むことで文章を遡る必要がなくなります。

多読は習うより慣れろ

TIMEの英文は基本的に一文一文が長文です。初めはスラスラとは読み解けずに難儀するでしょう。慣れてくると早く楽に読めるようになり、爽快感を覚えるはずです。

ボキャブラリーが追いつかない部分が出てくるのは仕方ありません。辞書で補うか、あえて分からないままにして読み進めてもよいでしょう。これは多読が板に付けば克服できる部分です。悲観せずに進めましょう。

実際に海外で発信されるニュースを読むことは、日本の報道よりも格段に多くの情報を手に入れ、世界で何が起こっているのかを知る絶好の機会です。

そして英語の練習は継続が命。定期購読できる新聞雑誌は英語力を高めて維持するには格好の素材です。

試読+購読検討のススメ(Fujisan.co.jp)

「TIME」の購読する経路は複数あります。リアル書店や生協、ネット書店、電子書籍ストア、もちろん公式サイトからも購読申し込みが可能です。

その中でもオンライン書店Fujisan.co.jpは「購読プランの柔軟さ」と「サンプルの充実度」の両側面でかなりおすすめできるサービスです。

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