英単語の語源をたどると、聞いたことのある国名や地名が由来となっているものが見つかります。なるほどね~と納得できるものもあれば、意外な歴史を背景に持つものもあります。
日本語にもカステラ、ウィンナーソーセージ、メリケン粉、種子島(火縄銃)など沢山の例があります。ジャガイモやサツマイモも地名由来です。また「唐」「漢」が頭に付く語はだいたい大陸由来だったりします。
語源を遡ると地名に行き着く英単語
磁石:magnet
magnet(マグネット)はラテン語、ギリシア語に由来する語です。
Merriam-Webster 英語辞典によれば、magnet は小アジア半島のマグネシア(Magnesia)で採れる石という程度の意味とか。
from Greek magnēs (lithos), literally, stone of Magnesia
ギリシア語の「マグネス(石)」、文字通りには「マグネシア石」
マヨネーズ:mayonnaise
mayonnaise(マヨネーズ)の直接の由来はフランス語。簡単にいえば外来語です。そのフランス語の由来は、地中海西部のメノルカ島の港・マオン(Mahon)とする考え方が定説です。Oxford英語辞典などがこの説を示しています。
18世紀にフランス人侯爵がマオンの料理屋でマヨネーズに出会い、これを気に入って母国フランスに紹介した 、そのときに「マオンの(ソース)」(Mahonnais)という呼び名で広がり、さらに転じて Mayonnaise となった、とされています。(※キューピー「マヨネーズの誕生物語」)
メノルカ島(Menorca)と同じ諸島群にある最大の島マリョルカ島(Mallorca)を語源とする説もあります。マリョルカは古くは Major (マヨール)と呼ばれていました。
マラソン:Marathon
古代ギリシアのアテネ北東に位置する村・マラトン(Marathon)から。
地名に由来するというよりは、故事、すなわち紀元前450年の合戦「マラトンの戦い」に由来とすると言った方が適切かもしれません。マラトンの戦いに勝利したアテナイ軍の伝令が自国までの40kmあまりの道のりを駆け抜けたという記録が、今日のマラソン競技のモデルとなっています。
奴隷:slave
slave はラテン語で「スラブ人」を指す語 Slav に由来します。スラブ人は中欧~東欧の人々。中世の戦乱期に多くのスラブ人が捕虜になるなどして奴隷として扱われた末、スラブが奴隷を指す語に転じてしまった、とされています。
ハンバーガー:hamburger
ドイツの都市ハンブルク(Hamburg)から。
「ハンブルク」というカナ表記は、ドイツ語の発音に忠実な表記です。
ちなみに、ウィンナーソーセージやウィンナーコーヒーは共にウィーン(Wien)から。
ジーンズ:jeans
根本はイタリアの港町ジェノバ(Genova)とされています。
Geneva はフランス語でジェーン(今は Gênes ですが古くは Janne と綴ったそうです)。
デニム:denim
フランス南部のニーム地方で生産された厚手の綾織物(サージ)を指すセルジュ・ドゥ・ニーム(Serge de Nimes)から。
カナリア:canary
スペイン領のカナリア諸島(the Canary Islands)から。
英語の発音は「カナリー」。カナリア(canaria)はスペイン語の発音。
漆器:japan
主要産地の日本(Japan)から。
陶器:china
主要産地の支那(China)から。
地名という説もあるが信憑性に乏しい例
ピストル:pistol
pistol(ピストル)には、イタリア北部の武器製造の町ピストイア(Pistoia)を由来とする、という説があります。比較的支持されている説のようではありますが、不確かな側面もあるようです。
Merriam Webster英語辞書およびOxford英語辞書は、いずれもチェコ語の普通名詞 píšt’ala が由来であるという説を支持しています。
風呂:bath
bath(風呂)はイングランドの地名 Bath に由来する、という説があります。これは俗説。他に確固とした説があります。
bath は古ゲルマン語の bad (お風呂)に由来します。ゲルマン語系言語であるドイツ語では現在でも風呂を Bad といいます。