年の暮れは1年間を振り返る催しが目白押しです。中でも英語辞書メディアが発表する「今年の言葉」(Word Of The Year)は、時事的な重要英単語の知識が身につく絶好の機会です。
「Word Of The Year」は英語圏で実際に使用された英語に関する話題なので、英語圏のメディアが本職ということになりますが、日本版「今年の英単語」も意外と見物ですよ。
- 2017年のウェブスター英語辞書「今年の英単語」は「Feminism」
- 2017年のオックスフォード英語辞書「今年の英単語」は「youthquake」
- 2017年のコリンズ英語辞書「今年の英単語」は「Fake News」
- 2017年のケンブリッジ英語辞書「今年の英単語」は「populism」
weblio今年の英単語2017は「fact」
「weblio今年の英単語」は、オンライン英語辞書「weblio英和・和英辞典」の年間の検索結果データに基づき、その年を代表する(象徴といえる)単語を選出する企画です。
検索数が例年より大幅に増えている、特定のタイミングで検索数の急上昇(スパイク)が見られる、そのスパイクが世間のニュース等と呼応している、といった要素を総合して選定されています。
そして、2017年の「今年の英単語」に選ばれた単語は「fact」でした。
「fake news」の反動なのかも
fact の語はもともと多く検索される基礎単語なのですが、今年は特に「alternative fact」(オルタナティブファクト)および「fact check」(ファクトチェック)という語に含まれる形で多く検索されました。
alternative fact と fact check と fact はそれぞれ別の語彙として扱うべきでは?という見解もあるでしょう。とはいえ、これらの語はいずれも「fake news」(フェイクニュース)が問題視される世の流れに対する反動という観点から、ひとつのキーワードとして扱うことも可能でしょう。
フェイクニュースといえば、海外の3大「Word Of The Year」イベントのひとつといえる「Collins Word Of The Year 2017」に選出されたキーワードが「fake news」でした。
2017年のコリンズ英語辞書「今年の英単語」は「Fake News」
正直なところ、weblio版「今年の英単語」の集計を始める前は、やっぱり「fake news」が一番検索されたんじゃないかな・・・・・・と、うっすら予想していました。でも実際の所 fake news は「weblio 英和・和英辞典」ではあんまり検索されていませんでした。
fake news (虚偽報道)の言葉の意味そのものは、特に深く考えなくても分かります。他方、fact(事実)というのは、あらためて「どういう意味か」と問われると、なかなかうまく説明できないものです。そんな部分が fake と fact の検索数の明暗を分けたのかも知れません。
fake news はウェブ上では早々に日本語化して「フェイクニュース」として扱われていた、という事情もあるでしょう。国語辞書「weblio辞書」上では「フェイクニュース」はそこそこ奮闘していました。
最終候補に残ったキーワードにも要注目
fabulous
fabulous は「伝説的な」「(伝説になるくらい)すごい」といった意味の形容詞です。そこそこいかめしいニュアンスがあり、英語圏でもあまり日常的と使うとはいいにくい単語です。
日本国内では叶姉妹が用いる表現として認知されており、weblio英和・和英辞典でも叶姉妹の動向と連動して(妹さんが「ファビュラスな姉」と発言した次の日くらいに)検索数が急増していました。
英語圏でも fabulous は「超セレブ」を形容する表現として用いられる傾向が見られます。意味ニュアンスと共にまっとうな使い方といえそうです。
2017年最強セレブ達のクリスマスカード集
―― Brides, December 24, 2017
precious
precious は「大切な」「貴重な」という意味の語です。
precious の主な品詞は形容詞ですが、副詞や名詞の用法もあります。名詞の用法はもっぱら my precious(私の愛する人よ)という呼びかけ表現として用いられます。
precious が候補キーワードに選出された直接的な要因は、5月にHey!Say!JUMP がシングル曲「Precious Girl」をリリースした直後のタイミングでの検索数の急上昇です。
precious は日本語の「尊い」「貴い」の英訳語にもなり得ます。その意味では、いわゆる《腐》向けのキーワードという側面もありました。おそらく多分あったはずです。
「今年の英単語」が和→英の検索結果も含めていたら、結果がどうなっていたか分かりません。