英語スピーチの上手なネタ披露は「WIIFY」がカギ

スピーチは、一人で壇上に立ち、大勢の聴衆へ向かって、一方向的に語りかけるという、かなり特殊な機会です。そんなスピーチの話術としてぜひ覚えて置きたい技術が「WIIFY」。伝えたい話題・ネタを効果的に伝達するテクニックとしてオススメです。

スピーチでは何よりも「分かりやすく話す」ことが求められます。聴衆に効果的に訴えかけるにも、強い印象を与えるにも、主張を理解してもらうにも、先だって「分かりやすく話す」技術が必要です。

スピーチの聴衆はどうしても部分的にしかスピーチ内容を把握・理解できていないものと言われています。聴衆の耳を捉えて離さないWIIFYなスピーチをぜひ身につけましょう。

WIIFY = 相手に何の得があるのか

スピーチにおけるWIIFY とは 「What’s In It For You?」を略した呼び名です。日本語に訳するなら「あなたにとっての利点は何?」といったところでしょう。

What’s in it for ~ のフレーズは、主に What’s in it for me ? の形でよく用いられる慣用的な言い回しです。「それ、私にとって何の得があるの?」、「どんな見返りがもらえるわけ?」とかといった意味合いです。

敢えておおざっぱに捉えてしまえば、「What’s In It For You?」 は、スピーチする当人が聴衆たち(you)にとって「このスピーチは聴衆にとって何の得があるのか」と自問するという意識の転換です。

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WIIFYを意識したスピーチの良いところ

WIIFY (何の得があるのか?)は、要所要所で用いるキーワードやキーフレーズを通じて明示されます。

たとえば、 2009年のアメリカ大統領選においてバラク・オバマ大統領(当時は候補)が行った演説では、「Change」(変革)というキーワードが注目されました。この change は同スピーチにおけるWIIFYと解釈できるでしょう。

聴衆である米国民は「変革」を求め、共感し、呼応し、そしてオバマ氏を第44代大統領へ導きました。オバマ氏が「Change」のキーワードを掲げると、オーディエンスが「Yes, we can.」と応じる様子は、「変革」というキーワードが話者と聴者の間で共有されていることを教えてくれます。

WIIFYを意識したスピーチは「内容に一貫性がある」「要点を伝達できて忘れられにくい」という2つの大きな利点を得やすくなります。自分のスピーチから、視聴するメリットをリスナーが見つけられるようになっているかを確認してみましょう。

WIIFYなスピーチは芯が一本通っている

WIIFYなスピーチには、オバマ大統領によるスピーチの「Change!」のように、内容全体のコアとなるフレーズやセンテンスが存在します。コアは一連のスピーチ内容の軸となるので、リスナーはそれを念頭に置くことで内容を一貫して追うことができます。

アップル社が初代 iPhone を発表したプレゼンテーションにおいて、スティーブ・ジョブズはiPhone を「revolutionary」(革命的)と何度も形容しました。同プレゼンは iPhone が皆に revolution をもたらすというメリットを明示したWIIFYなプレゼンテーションといえます。

WIIFYなスピーチはメッセージが届きやすい

ある程度の長さを持つスピーチでは、リスナーが内容の全てを消化し吸収するのは難しいことです。しかし、WIIFYなスピーチではコアとなるキーワードが全編で繰り返されます。キーワードは、それぞれのスピーチで最も伝えたいメッセージから生まれるので、リスナーは視聴後もそれらを頼りに、スピーチの要点を思い返すことが出来ます。


リスナーに視聴メリットを伝えるコツ

WIIFYなスピーチをする際、リスナーに視聴メリットを伝えるには「演じる」ことが求められます。次の三つのポイントを抑えて、スピーチを視聴するメリットをより分かりやすく伝えましょう。

原稿を作ったら、練習もしてみよう

自分のスピーチのどこにWIIFYなフレーズが配置されているのか、どこが最も重要なパートなのか、スピーチの全体像をスピーカーは把握しておく必要があります。そのために必要となるのは、もちろん練習です。

フレーズやキーワードを盛り込んだすばらしい原稿を作っても、それを読みこなす、もしくは演じこなすことが出来て初めてスピーチの準備が出来ている状態となります。

大事な点では「間」をしっかり取る

WIIFYなフレーズが隠れているパートの前や、スピーチの重要な箇所の前では「間」をしっかり取りましょう。鼓動三つ分の空白な時間が、この間に適した長さだと言われています。

オーディエンスがまだスピーチに入りきっていないときも、この手法は効果的です。静まったスピーカーにオーディエンスの注意が向きやすくなります。

ジェスチャーでスピーチの要所に、リスナーを誘導

「revolutionary」、「Change!」などのフレーズを名スピーカーが発するとき、彼らは時に人差し指を立て、腕を振り上げます。声色やタイミングに加え、これらの象徴的なジェスチャーは聴衆の注意を、スピーチのWIIFYなワードへと向けさせることができます。

独創的なジェスチャーは、その後同じキーワードを有するWIIFYなスピーチをする際目印となります。これによって「今、聞くメリットのあるスピーチをしているよ。大事だよ。」と、リスナーに視聴するメリットの存在を明示することができます。

WIIFYはスピーチを作りやすくする

キーワードを設定したWIIFYなスピーチでは、リスナーが視聴メリットを容易に見つけられるだけでなく、スピーカーも合理的な内容を作成できます。キーワードを核に強いメッセージ性をスピーチに持たせる中で、全体の内容を見失うことなく一貫した目線で原稿を書けるからです。優れたスピーカーとなり、限られた時間と情報量の中で、明確に Something good in it for you (聴くと良いコト)をリスナーに伝えましょう。

ちなみに WIIFY の読み方は?

WIIFYはいわゆる頭字語(アクロニム)で、ひとつの単語のように発音します。どうやら読み方は whiffy に近い、つまり / wɪfi /のように発音する模様。敢えてカタカナ書きすれば「ウィーフィー」でしょうか。

ちなみに無線データ通信規格の「Wi-Fi」はウィーフィーではなく「ワイファイ」と読みます。


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