前から読んでも後ろから読んでも同じになる、「竹藪焼けた」(たけやぶやけた)のような文章を、日本語では「回文」といいますが、英語では palindrome (パリンドローム)といいます。
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英語の回文=Palindrome は、日本語の回文とは微妙に勝手が違うかもしれません。でも慣れてくればきっと楽しめます。Palindrome の作り方のコツを覚えると、自然と綴りに注意が向くようになり、英単語の眺め方が変わります。単語を楽しく学ぶ方法の一環としていかがでしょうか。
英語の回文の特徴
英語は、文章を単語ごとに分かち書きする言語です。そのため、日本語の回文の組み立て方とは要領がちょっと違います。
英語の回文を考える際に留意しておくべき主な点は、おおむね3点挙げられます。
- 母音と子音の結びつきは解体される
- 単語の境目は無視して組み直される
- カンマやセミコロンは無視して組み直される(文章では使用される)
英語は日本語ほど回文を作りやすい文字体系とはいえないので(というより日本語が非常に回文向きなのですが)、回文の作成は中々ハードルが高めです。
英語の文法体系にきっちり則った、文章として完成された回文は、なかなか作れません。どちらかといえば「意味が推察できるギリギリの範囲」の文が多く見られます。省略形やカンマやコロンは多用されます。
英語の回文の典型例
人、計画、運河、―― パナマ。
(人がいる、計画がある、運河がある。これがパナマだ。)
一見すると単語の羅列ですが、カンマやコロンを駆使することによって、文章としての意味も持つ一文です。
まずはカンマ、コロン、および単語間のスペースを全て取り払い、「amanaplanacanalpanama」 という文字列に直します。そして前後をひっくり返し(けっきょく同じ文字列になりますが)、単語間のスペースやカンマやコロンを挿入し直します。回文作りはおおむねこういう過程を経ています。
日本人も納得の英語の回文5選
英語の回文もかなり膨大な種類が考案されています。長さ(単語数)もさまざま、回文の完成度もピンキリというべきでしょう。
英語の回文の中にも、文章の体を成しており、意味も何らかの含蓄を感じさせるような、洗練された回文があります。日本人の目にも美しく感じるものがあるでしょう。
独断と偏見で5点だけ選ぶなら、次の5つの回文をベスト5に挙げます。
ゆけ、犬よ
レモンもメロンもねぇ
サンタがNASAにて
ネズミは邪悪ではない星に住む
いいえ、もしも私がギャップか予防を仕掛ければ、それは決して広がりません
Palindromeで検索
英語の回文はそうそう自作はできません。しかし英語圏のウェブサイトには英語の回文を収集して列挙したページが多数あります。《palindromes》や《palindromes list》のようなキーワードでウェブ検索すれば、英語の回文を列挙したページは簡単に見つかります。
回文ではない「ひっくり返し」鏡文字と逆さ文字
回文とは似て非なる言葉遊びに鏡文字(mirror word)があります。
回文は前後順を逆にしても同じ文になる単語や文章を指しますが、鏡文字は文意を度外視して単純に左右をひっくり返した文字列です。文字の表記も鏡映しのようにキッチリ左右反転させた文字ならぬ文字列を指す場合もありますが、!oohaY や elgooG のように配置の前後順のみ入れ替えた文字列を指す場合もあります。
左右反転の鏡文字に対して、上下反転した文字は逆さ文字(turned letter)と呼ばれます。
英語は横書きする文字体系であり、p/d や b/q のように上下反転すると相互に代替できる(ようにみえる)文字や、上下入れ替えても形が変わらない文字が複数あります。そのため、逆さ文字にしても英語として読めてしまう場合が意外とあります。
Apple のタブレット型端末「iPad」は、発表当初はエクスクラメーションマークが付いた「iPad!」というマークだったらしいという噂があります。真偽のほどは定かではないのですが、たしかに《iPad!》は上下ひっくり返してもほぼそのまま《iPad!》と読めてしまいます。