英語能力のテストには、TOEIC、TOEFL、IELTS、英検、その他たくさんの種類があります。中でもTOEIC(トイック)とTOEFL(トフル)は広く知られた名前といえるでしょう。
就職活動への活用を念頭においた場合、国内ではTOEIC(C)テストが最もメジャーな試験であるといえます。では海外企業への就職を目指す場合にもTOEICを受けるべきか?というと、一概にそうとはいえません。
【理由】海外での知名度はTOEFLの方が高い
「TOEICテストは日本で企画立案された試験である」ということは知っていましたか? 人材や企業のグローバル化を促進する、という理念のもと、日本で立ち上げられ、アメリカで製作され、そして第1回テスト(TOEIC公開テスト)は日本国内5都市で実施されています。現在では世界各都市で試験が行われていますが、それでも日本国内ほどの知名度があるというわけではなく、英語試験としての位置づけも国内のそれとはギャップがあります。
ただ、TOEICはビジネスの現場でコミュニケーションに用いる英語が強く意識されており、試験にも日常会話やビジネスシーンを題材とする問題が多く出題されます。企業が人材に求める英語能力の判断指標としては利用しやすく、国内企業がTOEICテストのスコアを標準的に導入しているのもうなずけます。
TOEFL(R)テストはアカデミック用途
TOEFLテストは、英語圏の教育機関や研究機関が、英語を母語としない留学生の英語能力を測定するために主に採用しているテストです。つまり留学生に必要最低限の英語能力が備わっているかどうかを判断するツールです。その目的上、試験内容もアカデミックな分野を中心とする英語が主に扱われます。
TOEFLは、英語能力を測る指標として十分な認知度があります。ビジネスで通用する英語を話せるかどうかを直接に測るものではありませんが、よく知られているTOEFLの方がどうしてもウケがよいということになります。
ちなみに、TOEIC(TOEIC(C)テスト)とTOEFL(TOEIC(R)テスト)は、実はどちらもアメリカのETSという機関により試験問題が作成されている、母語が英語でない人の英語コミュニケーション能力を測定するテストです。
さらに、IELTSも、留学生の英語能力を判定するためのテストという意味ではTOEFLと同じです。TOEFLがもっぱらアメリカ英語を念頭においているのに対 し、IELTSはイギリス英語やオーストラリア英語といった各地域の英語事情を顧慮した内容となっている点に大きな違いがあります。
まとめ
海外留学を念頭においた英語試験としては、TOEFL(またはIELTS)の受験が求められます。ここではTOEICは特に必要とされません。
国内企業への就職を意識して試験を受けるなら、国内企業で標準的に採用されている評価指標としてのTOEICがやはり有利といえます。とはいえ、TOEFLの試験結果が無価値になるというわけではありません。
欧米などで現地企業への就職を目指すなら、コミュニケーション能力を養うという意味でTOEICは役立ちますが、英語の実力を証明するツールとしてはあまり期待をかけないほうが良いでしょう。より知名度の高いTOEFLの試験結果を示した方が先方に伝わります。