電子メールの件名=タイトルは、最初に目にする要素でもあり、メールの内容や重要度を判断する手がかりとなる、とても重要な部分です。特にビジネスメールでは、タイトルの書き方の定番パターンを踏まえたメールを作成することが大切です。
件名を読んで重要度が高いと思われれば、メールは《すぐに読む》べきと判断されます。趣旨の不明瞭な件名だと《あとで読む》程度の優先度で捉えられてしまいます。さらに要領を得ない件名の場合、迷惑メールの類と判断され《読まない》対象と判断されかねません。
英文ビジネスメールの件名は、そのメールの命運を左右するといっても過言ではないのです。
ビジネスメールの書き方のコツを把握して、作法に則した、「読まれるメール」作りをマスターしましょう。
【原則】簡潔・明瞭であることが何よりも大切
英語のメールに限りませんが、メールの件名は内容を手短にハッキリと(briefly and clearly)伝えることが大原則です。一目でメールの趣旨・内容が判明するように意識しましょう。
メールの件名は、単語数にして6~8語程度で表現できると理想的とされています。
件名を空欄にして送るのは無論、もってのほかです。
長すぎないように
長すぎてもダメです。これ以上に語数を費やしてしまうと、冗長で要領を得ない件名になりがちです。
また、件名が長いとメールのタイトル一覧を表示させた画面で全文が表示できない(端が切れてしまう)可能性が高まります。最大でも字数にして60字を超えないようにまとめましょう。
特に受信者がメールをモバイル端末から確認する可能性がある場合、重要なキーワードをできるだけ先頭に配置しておくと、用件を把握してもらいやすくなります。
できれば短すぎないように
短すぎてもよくありません。多少の情報は盛り込むつもりで、最小限の語数を費やしましょう。
3~4語あるいはそれ未満の語数で件名を表現しようとすると、メールの趣旨・内容が十分に伝達できない、何の用事で連絡してきたのか満足に伝わらない件名になってしまいます。
あまりに抽象的な件名は「スパムメールっぽい雰囲気」を漂わせてしまいます。
スパムメールも相手に読ませるための文章を考えています。重要な内容と思わせたい、でも送る相手の具体的な情報は分からない。結果、スパムメールは「payment confirmation」とか「your purchase orders」のような漠然とした件名で溢れかえります。
メールの件名を具体的にすることは、怪しい雰囲気を払拭するという意義もあるわけです。
差出人名を添えて具体的にする手もある
メールの趣旨によっては、件名・タイトルが漠然としてしまい、どうしてもスパムメールっぽい件名になってしまう場合もあります。そんな場合は、差出人情報として自分の名前や企業名をタイトルに記載するという方法があります。
件名を具体的にする、ということは、つまり自分(差出人)が誰なのかハッキリさせるということです。件名で送り主が分かるようにしておけば、ひとまず警戒は解かれますし、メールの要件もあらかた察してもらえます。似たようなメールのタイトル一覧からも見つけてもらいやすくなるでしょう。
Confirmation on Order – Eri Tanaka Sales Manager Position.
注文の確認 営業担当 タナカエリ
重要な情報ほど先に配置する
単語の重要度に応じた語順も大切な要素です。重要な情報を真っ先に確認できるように、できるだけ先頭に近い部分に配置するようにできると、さらに理想的な英文メールの件名に近づきます。
語数に加えて語順にまで気を配るとなるとかなり高度な技術のようにも聞こえますが、英語はもともと重要な語ほど先頭に配置しやすい構造の言語です。慣れれば意外と要領はつかめます。
【作成のコツ】お決まりの型、を活用する
ビジネス上のやり取りには、ほぼ必ずといってよいほど、定型パターンやテンプレートのようなものがすでに確立されています。メールの件名にも(メール本文にも)お決まりの構成や表現があります。
奇抜にする必要はない
この定型パターンは、より適切で効率的な段取りが追求された結果として定式化された、ある種の記号です。お決まりの形式に則って伝えることで、受け取った側もすんなり了解してくれます。
いわゆる「奇をてらった表現」は求められません。ビジネスメールは業務連絡ですから、心理的引っかかりは不要、効率姓が第一です。
営業目的のダイレクトメールなら、まず相手の目を引いてナンボという観点から、奇抜な文面を採用することもあるかもしれません。これを業務連絡で実施したなら、きっと、スパムメールと間違われるか、送り主は非常識なヤツか変なヤツと思われます。
表記は正しく丁寧に
英文ビジネスメールでは基本的にフォーマルな英語表現を用います。メールの件名でも、カジュアルな印象の表現はできるだけ避けて、正式な英語表現を正しく使うようにしましょう。
たとえば、字数を節約したいからといって because を coz のように略した場合、日本語の「だってさぁー」くらいのニュアンスが出てしまいます。
顔文字もビジネスメールにはふさわしくありません。
文法的に誤っている件名もいけません。係り方など正しい英語表現を心がけましょう。
あいさつ文句は好まれない
Hello や How are you? というようなあいさつ表現も、ビジネスメールの件名としては好ましくない表現と見なされます。
メールの件名がただのあいさつ表現だと、メールの趣旨そのものが単なるあいさつ(特に確認しなくてもよい連絡)と思われてしまします。
あいさつ・呼びかけ表現はスパムメールでよく見る件名、という実情もあります。件名が Hello! だけだと、ほとんどの人がスパムと思ってしまうでしょう。
大文字・小文字の扱いは決まっていない?
英文の綴り方の決まり事としてキャピタライゼーションルール(capitalization rules)と呼ばれる原則があります。主に書籍や論文のタイトルを表記する際に適用される大文字表記の扱い方です。
メールのタイトルには、キャピタライゼーションルールは適用されるのかどうか。これは一概にはどちらとも断定しかねる状況のようです。キャピタライゼーションルールに則って表記される場合もあれば、通常の英文のように表記されている場合もあります。
より臨機応変に、読み手に注視してほしい重要キーワードを先頭大文字にして際立たせる、という考え方もあるようです。
ただし、どのような見解においても、「一般的文章と同様に先頭の語の1文字目は必ず大文字」、ならびに「すべて大文字(ALL CAPS)の表記は厳禁」という点は一貫しています。
英語の根本的なルールに反する書き方はもちろんNGです。冒頭第一語の語頭が小文字だったり、(キャピタライゼーションルールでも小文字で扱われる)前置詞を大文字にしたり、といった表記はあり得ません。
定番キーワードを正しく選ぶ
ビジネス上のやり取りでは、特定の状況や行動を指し示す際に決まって用いるキーワードがあります。下手に表現を変えるとメールの趣旨がうまく伝わらなかったり混乱や誤解を招いてしまうことがあります。
日本語のビジネス文書でも「見積もり」「打ち合わせ」といったお決まりの表現があり、下手に「値踏み」や「会合」のように言い換えたりはしません。それと同じことです。
英語ビジネスメール定番キーワード:
- Quotation 見積もり
- Inquiry 問い合わせ(about~)
- Order 注文
- Request 依頼(for~)
- Question 質問
- Confirmation 確認
- Change 変更
- Notice お知らせ
- Meeting 打ち合わせ
相手の仕事効率化に寄与する心が大切
ビジネス上の連絡は、メールに限らず、「どのような形にすれば相手が素早く効率的に処理できるか」という視点から工夫することが究極的なコツといえるでしょう。
受信メールの件名一覧から、各メールの内容を判断し、確認優先度を決める。件名の内容を踏まえてメール本文を確認する。そうした一連の動作に最も適した方法が、今あるメールの書き方のセオリーに他なりません。件名に限らず、メール本文の書き方も、あるいは電話や口頭での連絡・報告も、理念は同じです。
【テンプレート】英文ビジネスメールのタイトル事例中
【OK】理想的なメール件名の例
修理の見積もり(注文番号001650)
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RE:契約書案
貴社サービス・カタログ送付のお願い
5月28日の会議への質問
[念のため再送] 同意の確認
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【NG】避けたいメール件名の典型例
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