other と anotherは、日本語ではどちらも「他の」や「別の」と訳される、違いを理解しにくい単語です。
たとえば買い物中、服を試着して、店員さんに「違う色も試したい」と伝えるとき。この「違う色」は other と another のどちらで伝えればよいでしょうか。あるいはどちらでもよい?
使い分けのコツはただひとつ、想定している対象の「数」にかかっています。
つまり、other は複数を、another は単数をそれぞれ想定した「他のもの」を指しているのです。
(練習問題 英語「other」と「another」の使い分け【3問】も併せてどうぞ。)
an + other = another
字面から察せられるように、another には other が含まれます。other と anothe では other の方がより根本的な語彙といえます。つまり、another は「不定冠詞 an が付いた other」なのです。
other は「他の」といって指し示す対象を具体的に想定していない単語です。数も想定していません。そのため基本的に複数形を取って「 other colors 」のように示します。
対して another は、「 another color 」のように、単数の名詞が続きます。
other は複数の「他の何か」
たとえば「色」について、other colors と言った場合も、具体的に色の種類や色数がどのくらいあるのかは念頭にありません。ただ「他の色(どんな色があるかは知らないが)」というニュアンスです。
I’ll try other colors.
別の色も試します
Do you have any other questions?
他にご質問はございますか
I have no other choice.
他に選択肢はない
否定後(no や any)を伴う場合には続く名詞は単数形を取る場合もありますが、意味的にはやはり複数(の末にひとつもない)が想定されています。
another は「他をもうひとつ」
「色」について another color と言った場合、「他をもう1色」というニュアンスです。ただし、その他の1色が具体的にどんな色かは不明のままです。
I’ll try another color.
別の色も試します
Another teacher is coming this week.
今週はもう一人先生が来る。
We should get another opinion.
これとはまた異なる意見も必要だ
another には「今あるものではない何か他のものを」という意味に加えて、「今るものに加えて何か新しいもの1つ」という意味もあります。
the other
不定冠詞 an +other = another という構図と同様、other に定冠詞 the を伴う言い方もあります。(綴りは一体化はしませんが)
the other は「残りの1つ」または「残りの全て」という意味を取ります。たとえば色について the other colors と言った場合は、他の色の種類や色数について具体的にイメージがついている状態です。つまり、「赤と青と黄色があって、赤以外の色」といった具合に、全体像が把握できているわけです。
定冠詞がつく the other は、続く名詞を複数形・単数形どちらも取ることができます。「残りの全て」を意味するので、選択肢が2つしか選択肢がない場合には「他」は必然的に1つになる、選択肢が3つ以上の場合は「他」は複数になるからです。
What are the other people saying about this movie?
他の人はこの映画について何て言ってるの?
I prefer the other color better.
もう片方の色の方が好みだな
He has two phones; one is for business, and the other one is for his mistress .
彼は携帯を2つ持っている。ひとつは仕事用、もうひとつは愛人用だ
おおよその感覚が理解できたら、練習問題 英語「other」と「another」の使い分け【3問】で身についたかどうか確認してみてください!