「知っていますか?」「ご存知ですか?」といった問いかけ表現は、会話の取っかかりに使える何かと便利なフレーズです。英会話でも重宝するでしょう。英語では Do you know ~? のような表現が対応します。
ただし文脈によっては「知っていますか」が必ずしも do you know の表現で適切に表現できない場合があります。質問のニュアンスに応じて、英語表現を使い分けられるようになりましょう。
目次
基本フレーズは Do you know ~?
Do you know ~ は日本語の「知っていますか」「ご存知ですか」のニュアンスに近い、基本フレーズです。
使用場面を選ばず、くだけた会話にもフォーマルな会話にも使えます。
彼をご存知ですか
do you know は、実際は Do you know who he is ? のような間接疑問文の形を取る場合がままあります。しかしこの「間接疑問文」は別項に譲りましょう。ここで問題にしたい部分は know が含むニュアンスの範囲です。
know はそれなりによく把握している状況
know は、「目にしたことがある」「耳にしたことがある」という程度の知見で用いられることもありますが、基本的にはもっと詳しい知見があるさまを表現する語です。
たとえば人物について I know him. と言う場合、know は「知り合いである」「つきあいがある」というニュアンスを伴います。
「名前を聞いたことはある」と表現するなら I know him by name. と表現する必要があります。
何らかの物事について I know it. のように言う場合、know は「状況を把握している」「心得ている」「精通している」といった意味合いを醸します。
言語について know で表現すると、その言語に通じている = その言語で話せる、という意味が生じます。
ジュンなら知ってるよ、彼とは同じクラスだったんだ
私は英語が話せます
know は「知っている」という状態動詞
know はそれ自体「知っている」という状態を表現する語(状態動詞)である点にも留意しておきましょう。know 自体が(一過性の動作ではなく)特定の状況の持続・存続を表現しています。
「知る」「理解する」という動作(状況の推移)を表現する動詞としては、understand などの語が挙げられます。動作を表現する動詞は動作動詞と呼ばれます。
understand を使って do you understand ? と表現すると、「未知の状態から既知の状態へ」の移行に焦点が当たります。訳するなら「分かりますか」あるいは「分かりましたか」といったところ。
英会話の場面を念頭において違いを述べるなら、 know は説明する前に「知ってる?」と前提知識の有無を訪ねる言い方、understand は一通り説明した上で「わかった?」と確認する場面、と切り分けられるでしょう。
→ 「I don’t know」と「I don’t understand」
聞き知る程度の知識は hear で表現する
日本語の場合「~って知ってる?」という質問は「名前を聞いたことがある」程度の知識を問うている場合もままあります。
この日本語のニュアンスにつられて、「聞いたことある?」程度の意味合いで do you know ~ ?と質問してしまうと、相手は「コレに詳しい?」という趣旨と受け止めてしまいかねません。
「~って聞いたことある?」くらいの意味合いで訊ねる場面では、Have you heard of ~? というフレーズが使えます。特に著名人や歴史上の人物などについて知見を問う場合には、この have heard を使った表現がしっくりきます
織田信長って知ってる?(聞いたことはある?)
この場面で know を使って「Do you know Oda Nobunaga?」と表現すると、「ノブナガと知り合い?」と訊ねているような意味合いが出てしまいます。
ノブナガ・オダ ではない
ちなみに、日本語名は英語では基本的に《名→姓》の順で表記しますが、織田信長や伊藤博文や藤原定家のような歴史上の人物の名前は、あえて語順を前後させずに元来の《姓→名》の順で表記されます。
織田信長は大抵 Oda Nobunaga、織田信成は大抵 Nobunari Oda です。
「あらご存知ありませんか」と言う場合
相手が知っていて当然と思っていたことを知らなかったとき、「知らないの?」と聞くことで(知ってて当然なのに!)という驚きのニュアンスを含ませることもあります。こうした意味での「知らないの?」は否定疑問文の Don’t you know ~ ? で表現できます。
how come という表現を使って How come you don’t know ~ ? のように表現すると、「一体全体どうして知らないのさ」というニュアンスが出ます。How come ~ の表現は、後に続く語が平叙文と同じ語順になる点に留意しましょう。
だいたい使用場面に注意
Don’t you know ~ ? もHow come you don’t know ~ ? も、多分に相手をナメている印象をもたらしやすい表現です。これは日本語の「知らないの?」という言い方と同様です。
特に他意はなく「ご存知ですか」と聞きたい場合には、避けたほうが無難です。
ブラッドピットが誰だか知らないのかい
どうして自分の家に帰る道も知らないのさ
探し物を「知りませんか」と訊ねる場合
物を探しているけど見つからない、という時に「~を知らない?」と人に聞く場面では、Do you know where ~ is? (~がどこにあるか知らない?)という表現が使えます。
あるいは、Have you seen ~ ?(~を見なかった?)という言い方をしても良いでしょう。
鍵がどこにあるか知らない?お父さんが引き出しの中に入れたといったんだけど、見つからないの
私の眼鏡を見なかった?最近忘れっぽいのよね
状況の変化などについて「お気づきですか」のように訊ねる場合
新しい問題が持ち上がったときや、何か変化が見つかったときに「~についてお気づきですか?」「~はご存知ですか?」と尋ねる場面では、「気づく」「認識する」などの意味をもつawareも使えます。knowが「知識として知っているか」どうかを問うのに対して、awareを使うと「認識の範疇に入っているか」というニュアンスになります。
aware は形容詞です。動詞としては使わないことに気をつけましょう。
彼女のドレスのしみに気づいてた?
この件についてはご存知ですか?