「お化粧」は英語で makeup といいます。「化粧品」は cosmetics 。厚化粧・薄化粧は heavy と light で形容する言い方が一般的です。
化粧品の日本語名には、英語をそのまま借用しているカタカナ語も多く見られます。しかし英語名っぽいのに実際の英語では他の言い方が主だったりする場合もあるので油断は禁物です。
英語で「お化粧」を表現する言い方
化粧を表現する語彙は基本的に make と up の2語が主役です。
日本語の「メイク」はもちろん日本語的な省略表現であり、英語 では make とだけ述べても「化粧」の意味では理解してもらえません。
「化粧」という概念を表現する言い方
名詞としての「化粧」は英語では makeup と表現します。make-up と表記する場合もあります。
makeup は動詞 make (+ up) が元になった名詞表現と解釈できますが、動詞で「化粧する」とか「化粧していない」などと表現する場合も名詞表現 makeup を使った言い方が広く使えます。
「化粧する」動作を表現する言い方
「化粧をする」動作は、make oneself up と表現できます。また、put on one’s makeup 、あるいは do one’s makeup のようも表現できます。
あくまでも「化粧する行為」「化粧する動作」を指す語であって「ばっちりメイクを決めた顔」を指すものではない点に注意しましょう。
私は彼女にメイクを施しはじめた、いつものように
―― PEOPLE.com「 All the Secrets Behind Lady Gaga’s Super Bowl Stage Makeup 」, February 7, 2017
彼女は実際、メイクの仕方というものを知っているのだ
―― WWD「Erin Parsons Is the Biggest Name In Makeup You Haven’t Heard Yet」February 8, 2017
「化粧した」状態を表現する言い方
化粧する過程を終えた状態、すでに化粧を施し済みの状態を指して「化粧した」「化粧している」「化粧した顔をしている」と述べる場合は、wear makeup と表現できます。
wear は「(靴を)履く」、「(帽子を)かぶる」、「(メガネを)掛ける」といった《身に着ける》動作を広く指す語です。化粧もまた着用するものであるというニュアンスで表現される点は興味深いところです。
毎日仕事場に化粧をしていかないといけないのか
ちなみに、「化粧を落とす」は take off one’s makeup や remove one’s makeup と表現されます。
ベッドに行く前に化粧を落としなさい
お化粧の度合いを表現する言い方
日本語では化粧の程度は一般的に「濃い」「薄い」と表現しますが、英語では普通は heavy(重い)と light(軽い)で表現します。
「化粧が薄い」と表現する場合
化粧が薄いさまは、light で形容できます。「薄化粧」なら light makeup 。
化粧っ気を感じさせない(素顔を思わせる)薄化粧は、英語でも natural と形容されます。
「化粧が濃い」と表現する場合
化粧が濃いさまは heavy と形容します。「厚化粧」は heavy makeup 。
やり過ぎちゃってる化粧という意味で too much makeup のように表現する言い方もあります。
thick (厚い)と形容する言い方は、全くないわけではなさそうですが、一般的とも言いにくそうです。その代わりに caked up(ケーキのように盛られた)と表現する言い方があります。厚く塗りたくったイメージでしょう。きっと。
「化粧していない」「すっぴん」を表現する場合
化粧を全く施していない素顔を日本語では「すっぴん」といいますが、英語では単に without makeup と表現します。
makeup-free とか free of makeup と表現する言い方もあります。化粧から解放されたニュアンスの感じられる表現です。
彼女はすっぴんでも可愛い
化粧品をそれぞれ英語で表現する呼び名
化粧品(cosmetics)の中には外来語が多く見られます。その大半は英語由来です。(かつてはフランス語由来の「ルージュ」rouge や「オーデコロン」 eau de Cologne のような語があったものの半ば廃れました)
英語っぽい化粧品名にも英語圏ではいまいち通じない和製英語が潜んでいることがあります。
「化粧水」は face lotion または toner
化粧水は日本語でも「ローション」と呼ばれることがあり、英語でも一応 lotion と表現できます。ただし、 lotion は薬用の液体全般を指す言い方です。洗眼液を eye lotion と言ったり、日焼けした肌の火照りを抑えるbody lotion や skin lotion と呼んだりします。
toner は、tone + er で「(肌の)調子を整えるもの」という意味から化粧水を指す言い方です。ちなみにレーザープリンター等で使用される「トナー」も同じく toner といいます。
「保湿クリーム」は moisturizer
肌の乾燥を防ぐための乳液は moisturizing cream 、または moisturizer (モイスチュアライザー)と呼ばれます。
「化粧下地」は makeup base
化粧下地は化粧(makeup)の下地(base)という事でそのまま makeup base と表現できます。
primer という言い方もできます。これ自体は prime + er =「最初の段階に位置づけられるもの」ということで、塗装における「下塗り」などを指す言い方ですが、化粧については下地を指します。
「ファンデーション」は foundation
いわゆるファンデは foundation といいます。
ファンデーションにも色々と種類があり、細分化して表現する言い方もあります。
- 粉状のものは powder foundation
- 液状のものは liquid foundation
- 塗る前は液状 → 塗った後に粉状になるファンデーションは cream-to-powder foundation
水気や湿気に強く化粧崩れしないファンデーションは waterproof foundation と呼ばれます。
なお英語ではファンデーションをファンデと言うような省略はしません。
「コンシーラー」は concealer
コンシーラーはシミやソバカスといったお肌の難を覆い隠すアイテムです。英語では concealer といいます。conceal(隠す)+ er という構成の語。
コンシーラーが隠すシミやソバカスは、どちらも freckle といいます。隠したい難点という意味で blemish と呼ぶ場合もあります。
ちなみに、目の下に生じる「クマ」は under-eye circles や black circles と呼ばれます。両目にできるものなので複数形で circles と表現されます。
「口紅」は lipstick
口紅は英語では lipstick と表現します。
日本語では薬用のリップケア用品を「リップスティック」と表現する場合も多々ありますが、英語では lipstickといえば基本的にはお化粧の道具を指します。(「medicated lip stick」と銘打たれる例もありますが)
「リップクリーム」は lip balm
唇の保湿などのために用いるケア用品は、日本語では、「リップスティック」や「リップクリーム」のように呼ばれますが、英語では lipstick とも lip cream とも呼ばず lip balm と呼びます。
balm はおおむね「軟膏」に対応する語です。スティック状で塗りやすい形状のものが主流ではありますが。
「リップクリーム」は和製英語です。英語圏で lip cream と言っても、まあ「唇に塗るクリーム状の何かであろう」とは察してもらえるでしょうけれど、リップケア用品の意味合いが伝わるとは期待できません。
スティック型リップバームの代表的ブランドに ChapStick という商品があり、これが代名詞的な呼び名として通じる場合もあります。
「唇の保湿」に焦点を当てるなら lip moisturizer と表現しても十分に通じるでしょう。
「チーク」は blush
チーク(cheek)は英語では単に「頬」を意味する単語です。化粧品の「チーク」は英語では主に blush といいます。
あるいは「頬」の語を明示して cheek power や cheek color と表現する言い方があります。これは日本語で「頬紅」と言う勘どころに通じるものがあります。
「アイライナー」は eyeliner
アイライナーは英語でも eyeliner と呼ばれます。つまり英語名がそのまま日本語で転用されている事例です。
アイライナーは液状・ジェル状・ペン型の3タイプがあります。液状アイライナーは liquid eyeliner、ジェル状アイライナーは gel eyeliner、ペン型アイライナーは pencil eyelinerと表現されます。
「眉書き」は eyebrow pencil
眉毛を書く際に用いるペン型のコスメは英語では eyebrow pencil といいます。日本語でも化粧道具として明示する場合には「アイブロウペンシル」と呼ばることが多々あります。
日本語では「アイブロウ」とだけ言う場合もありますが、英語で eyebrow といえば眉毛そのものを指してしまいます。
「マスカラ」は mascara
マツゲを濃く長く印象的に見せるための化粧品である「マスカラ」は、英語でも mascara と呼ばれます。
mascara の語源はイタリア語の maschera と推定されています。つまり英語にとっても外来語です。
「アイシャドー」は eye shadow
アイシャドー(アイシャドウ)は英語でも eye shadow といいます。
一般的には、眉毛の下の骨(brow bone)、二重まぶたの皺の寄る部分(crease)、まぶた(lid)には濃いめの色を乗せ、さらに、上まぶたの際や睫毛の際(upper lash line)にひときわ濃い色を乗せます。下まぶたの際(lower lash line)は明るい色に留めます。
「ビューラー」は eyelash curler
上向きにくるんと反ったマツ毛を実現する器具を日本語では「ビューラー」といいますが、英語では eyelash curler といいます。eyelash(まつげ)+ curler(カールさせるやつ)という安直な語です。
ビューラーという呼称は和製英語であり、もともとは商品名です。同種の製品の代名詞として浸透していますが、商標は維持されています。
「つけまつげ」は fake eyelashes
いわゆる「つけま」は英語では false eyelashes もしくは fake eyelashes と表現します。false も fake も「偽造の」「本物でない」という意味の語です。
ちなみに、つけまつ毛を装着する際に用いる接着剤は eyelash adhesive と呼ばれます。
「あぶらとり紙」は blotting paper
あぶらとり紙は、blotting paper と表現できます。blot は「拭き取る」「水気を取る」という意味の語。oil blotting paper や oil-control blotting paper のように表現してもよいでしょう。
paper の代わりに sheets や films、linens などの語が用いられることもあります。
blotting paper は必ずしもあぶらとり紙を指すとは限らず、文脈次第では図画工作で余分なインクを除去する際に用いる道具などを指す場合もあります。
「化粧落とし」は makeup remover
化粧落としは makeup remover と呼ばれます。remove(除去する)+er 。