日本語の「おかげさまで」(御蔭様で)という表現は、英語に訳しにくい種類の微妙な表現です。英語で伝える場合には、感謝の表現であることを意識し、感謝の対象や内容を明確にするように意識すると、そこそこうまい言い方が見つかります。
具体的な、相手の手助けに感謝を示す言い方
手助けや施しを受けており、明らかに「相手の世話になった」と表現しうる場合は、相手に感謝する言い方で「おかげさまで」の気持ちが十分に表現できます。
相手または相手の支援を対象に定めて「ありがとう」という感謝の気持ちを表明するとよいでしょう。
英語で伝える「ありがとう」の言葉、場面別に使えるお礼と感謝の表現集
定番フレーズとしては Thanks to ~ 、Thank you for ~ のような言い方が挙げられます。
おかげさまで、上手くいきました
助言をありがとうございました、ばっちりでした
特に「恩義の借りがある」という意味を込めたい場合には、owe to(~に借りがある)のような表現もよいでしょう。
ひとえに、あなたのおかげです
助けが成果に直結したことを強く表現する言い方
「あなたのおかげで成功できた」「助力があったからこそ上手くいった」というように、支援が結果に直結しているニュアンスを込めて感謝の意を示したい場合は、因果関係が明示できる表現を選びましょう。
- due to(~のため)
- enable、made(~を可能にする)
- but for、without(~がなかったら)
- It was ~ that…(…したのは~だった)
私が成功できたのはあなたの支援あってこそです
そのお金のおかげで家に帰れた
あなたのおかげで有意義に過ごせました
あなたがいなかったら失敗していました
私が回復したのは友人の励ましがあったおかげです
抽象的な、漠然とした感謝の気持ちを表現する言い方
特にお世話になったというわけでもない、「あなたのおかげです」と伝える意味合いではないようなニュアンスで用いられる「おかげさまで」は、言葉の含意をかみ砕いて翻意する必要があるでしょう。
漠然と用いられる「おかげさまで」の表現は、《幸運に恵まれた》という意味合いが中心かもしれません。独力では無理だったと表明する、一種の謙虚さの表現とも捉えられます。
あるいは、《常日頃の皆の支援の賜物》という意味合いかもしれません。単に喜ばしい気持ちの表れかもしれませんし、相手が気に掛けて訊ねてくれたことへの感謝を込めた言い方かも知れません。
幸運に恵まれたというニュアンスで表現する
誰に何を感謝するというわけでもなく用いられる「おかげさまで」は、「幸運にも」というニュアンスで述べると、意外としっくり来る場合が結構あります。
fortunately (運良く)、 luckily(幸運にも)のような表現が使えます。
おかげさまで、女の子が生まれました
おかげさまで試合に勝つことができました
素直に喜ばしい気持ちを表現する
I’m very happy(とても嬉しいです)というような表現で置き換えるとしっくり来る場合もよくあります。会話の間を埋める意味で「おかげさまで」と述べるような場面では重宝します。
留学の奨学金をもらえたそうですね
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? Yes, I’m very happy about it.
はい、何よりです
単に(あえて言えば相手の問いかけに)感謝する
言葉の最後に thank you と言い添えるだけでも、「おかげさまで」に通じるニュアンスが表現できます。
文末に単に追加された thank you の一言は、おおむね相手の問いかけ(心遣い)に対する感謝の表明として受け止められます。丁寧な受け答えの印象がある点も、漠然とした「おかげさまで」に対応します。
お仕事はどうですか?
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? It’s getting well. Thank you.
ええ順調です、ありがとうございます
感謝は積極的に表明しよう
ことさらに「おかげさまで」を英語で言おうと意識しなくても、相手に感謝すべき場面や感謝を寄せることのできる場面では、積極的に感謝の意を表明するに越したことはありません。
嬉しい場面では嬉しいと率直に表明してしまいましょう。
感謝はコミュニケーションの重要な要素です。特に英語は「すみません」ではなく「ありがとう」を使ってリアクションする言語です。周囲に感謝する気持ちと謙虚さの精神は、「おかげさまで」の言い換えにこだわらなくても、きっと伝わります。