友達から何かに誘われる、同僚から何かを頼まれる。気にかけてもらえることは嬉しいことでもありますが、他の都合で(または単に気が乗らなくて)断らなければならないときもあります。
I don’t like it.(好きじゃない)や I can’t .(できない) だと、相手側に少しそっけない印象を与えてしまいます。もう少し婉曲的に断る表現を覚えることで、人間関係も良好に保つことができるでしょう。
→英語でうまく伝える「お酒のお誘いの上手な断り方」
→誘う、応じる、断る。「誘い」に関する英語フレーズ【まとめ】
基本的な心構え
英語表現を覚える前に、まずは断るときに気をつけるべき心構えについて押さえておきましょう。この心構えは、英語・日本語に関わらずコミュニケーションの基礎といえる大切なポイントです。
相手の話を遮らずに最後まで聞く
第一に、話の途中で返答してしまわず、相手の話をしっかり最後まで聞いてから返答するという流れが重要です。
相手の話の途中で「これは無理」「断ろう」と判断できたからといって、相手の話を遮るような形でお断りを伝えてしまってはいけません。よほど気心の知れた仲ならともかく、大抵の場合は尊大な態度に映ってしまいます。
相手の心証の善し悪しは、実際のところ、誘いを受けるか断るかという結果よりも、その返答の返し方によって左右される部分の方が多いと言えます。相手に誠実に向き合う姿勢を示すことが大切。相手をあしらうような態度は禁物です。
断り文句には残念という意向を伝える
誘いにせよ依頼にせよ、相手は多かれ少なかれ好意をもって話を持ちかけてくれています。まずは、その好意をありがたいものと受け止めましょう。そして、その「ありがたいという気持ち」を明示しましょう。
表現の仕方としては、厚意に答えられず残念というお詫びの気持ちを伝える言い方が使えます。具体的には、I am sorry や I am afraid のようなフレーズが使いやすいでしょう。
残念な気持ち・申し訳ない気持ちを相手に伝えることで、相手も「まあ、しょうがないか」と不満を抑えてくれるでしょう。
好意への感謝は形式的マナーと心得て表明しましょう。いくら内心はありがた迷惑と思っていたとしても。
理由を伝える
断る場面では可能な限り断る理由を言い添えましょう。事情の説明があるかないかによって心証は大きく違ってきます。
理由はごく簡略でも、曖昧な言い方でもかまいません。I’ m really busy this week.(今週は忙しくて)とか、 I have another job.(他の用事があって)のような言い方でも十分です。
日本人の感覚では理由を述べることに言い訳がましさを覚えがちですが、理由の表明は決して見苦しいことではなく、むしろコミュニケーションにおいて必要な手続きです。
とはいえ、あまりに長々と延々と理由を説明しているとさすがに言い訳がましく聞こえるので、理由の表明はほどほどの簡素さにとどめておきましょう。
やんわりと断るときの決まり文句
「断るときの心構え」の中にもあったように、断るときには残念な気持ちを伝えることがポイントとなります。申し訳なさを出すことで、相手を思いやった、やんわりとした断り方ができます。
I’m sorry, but …
I’m sorry, but ~ は、まずお詫びの気持ちを表明し、さらに断る理由を述べる、という形で使える便利なフレーズです。
「申し訳ないのですが、~でして」「残念ですが、」といったニュアンスで幅広く使えて、but 以下の文章も文型をヒネる必要がない、シンプルで使い勝手の良い表現です。
残念ですが、今晩は暇がないので
申し訳ありませんが、私にできることはありません
I’m afraid …
I’m afraid ~で、相手にとって残念なことを知らせる場面で幅広く使える汎用的フレーズで、お誘いを断る場面にも使えます。
用法はおおむね I’m sorry but ~ と共通していますが、I’m sorry but とは異なり、I’m afraid は but を伴わないという点には注意しましょう。I’m afraid の直後からそのまま断る理由を述べます。
残念ですが今週残りの日は忙しいのです
残念ながらそれは私には無理です
I wish I could, but …
I wish I could, but ~ は、I’m sorry but や I’m afraid よりも丁寧で上品な表現です。日本語で言うところの「そうしたいのは山々ですが」に近いニュアンスが表現できます。
初対面の人や目上の人からのお誘い・お願いを断る場面にはぴったりでしょう。
やりたいのは山々ですが、本当に時間がないのです
I’d love to, but …
I’d love to, but ~ も、丁寧に断りたいときに好まれるフレーズです。I wish I could, but よりもいくぶんカジュアルな雰囲気の出る言い方です。訳語で表現するなら「ぜひそうしたいのだけれど」「喜んで引き受けたいのだけれど」といったところでしょう。
行きたいけれど、授業が終わったら用事があって
Unfortunately, …
unfortunately は、「不運にも」「運悪く」「どうしようもなく」という意味合いの副詞です。断るフレーズでも文全体を修飾する副詞表現として冒頭で使えます。
unfortunately で表現すると、自分の意思とは関係なく、他の事情のため断らなければならないというニュアンスが醸されます。本当は断りたくなかったんだけど、という意味合いを込めやすい言い方です。
残念ですが、その日は他の用事があるのです
I don’t think …
I don’t think ~ は「~とは思いません」という意味合いで、自分の否定的意向(見解)を述べる場面で広く使える表現です。
I don’t think I like it.(あんまり好きじゃないんだよね)とか、I don’t think I can.(できないと思う)というような表現でよく使われます。
I don’t think I like it は、字面通りには「私は自分がそれを好むとは思っていない」というような言い方で、かなりの程度もって回った言い回しです。回りくどいだけに、婉曲的に断る意向を伝える場面ではかえって使いやすかったりします。
let me ~
let me ~は「私に~させてください」という意味合いの表現で、「ちょっと検討させてください」というように判断を保留する言い方ができます。今すぐ答えを出しにくい、今この場では断りにくい、といった場合に便利に使える表現です。判断を留保する(即座には断らない)ことで、対象の興味や意欲はあるという姿勢を示すこともできます。
その場では断らない以上、後で改めて断る旨を告げる必要がある点はお忘れなく。その点も含めてあらかじめ I’ll get back to you(後で連絡するから)と言い添えておくとより親切です。
let me think it over:じっくり考えさせてください
think something over で、「決定を下す前に慎重に考える」を意味します。
let me give it a thought:考えさせてください
give it a thought で、「それについて考える」「それについて検討する」と意味します。let me ではなく I will を使って、I will give it a thought(ちょっと考えてみます)もよく使われる表現です。
let me take that into account:考慮させてください
take something into account で、「決定する前に、その他の要因も合わせて考慮する」を意味します。同様の意味で、take something into consideration とも言います。
断わった後に続く理由
断る意向を伝える際には、断ることになった理由も伝えましょう。ごく簡単に言い添えるだけでも構いません。
本当の理由はちょっと言いはばかられる場合、「用事があって忙しい」というような理由にすげ替えて伝えてしまいしょう。
「明確な理由はないが何となく」とか、「なんだか気乗りしない」とか、「面倒くさそう」とか、「正直なところ君が好きではない」とか。その手の理由は隠しておきましょう。white lie (罪のない嘘)というやつです。
be busy doing:~で忙しい
「忙しいから」という理由は、誘いを断る理由としても多く使われます。方便として用いられる理由の常套手段でもあります。
英語では be busy doing のように表現できます。
申し訳ないのだけれど、今月は勉強で忙しいんだ
忙殺される期間を具体的に伝えておくと、相手も次に誘うタイミングを計らいやすくなります。本当は誘いに乗りたいのにマジで予定が入っていて泣く泣く断るけどまた誘って欲しい気持ちがある場合、忙しくしている期間も明示しましょう。逆に誘って欲しい気持ちが希薄な場合は、期間は曖昧にごまかしてしまいましょう。
have too much work:仕事が沢山ある(忙しい)
忙しさの要因にも色々ありますが、ビジネスマンなら「仕事が多い」と表現して忙しさを表現する言い方もできます。
そうしたいのは山々だけれど、すでに予定が一杯なんだ
don’t have time:時間がない
「最近」を意味する these days、recently、lately や「ちょうど今」を意味する right now などの時間を表す単語と一緒によく使われています。
残念ながら、今ちょうど時間がないんだ
have something else:他の用事がある
断る理由をはっきりと言いたくないときには、something else(他のこと)とぼかした言い方をします。
また、「他に予定がある」と言いたい時には、already have plans もよく使われます。この場合、plan は常に複数形で使います。
できないと思うな。その日は他の用事があるから
申し訳ないけれど、今晩はもう予定が入っていて
in the middle of something:取り込み中
in the middle of something で、「取り込み中」「何かをしている最中」を意味します。ちょうどタイミング悪く手が空いていないときに使います。
また、not a good time(良い時間ではない)も、「取り込み中」であることを暗に示すことができます。
運悪く、今ちょうど手が離せないんだ
今はちょっとタイミングが悪いな。他の時間じゃダメかな?
can not make it:実現できない
make it は「実現させる」を意味します。その否定文なので、「実現させることができない」つまり「都合をつけられない」となります。
できたらよかったんだけれど
not available:忙しくて空いてない
available は、「暇なので~ができる」を意味します。その否定文なので、「忙しくて空けられない」となります。
残念だけれど、明日は空いてないんだ
not really my thing:好きなものではない
not really my thing で、「好きじゃない」「得意じゃない」を意味します。同じ意味の表現に、not my favorite があります。こちらも、「大好きってわけじゃない」と曖昧に避ける表現をするときに使われます。
申し訳ないがカラオケは好きじゃないんだ
セロリが嫌いってわけじゃないけど、大好物でもないかな
take a rain check on:次は行きます
take a rain check on は、丁寧に断りたいときに好んで使われるフレーズです。日本語の、「また次の機会に」「また今度誘ってください」と同じ意味です。
申し訳ないけれど行けません。また次の機会によろしくお願いします
敢えてキッパリはっきり拒否を告げる
ついでに頑なに拒む・つっぱねる言い方も知っておきましょう。使いどころは限られますが、使用機会がないとも限りません。
その気はないと何度も断っているのにしつこく勧誘してくる業者なんかには、むしろハッキリとNOを言い渡してあげた方が、お互いに幸せになれるでしょう。
I hate it:大嫌い
hate は、dislike よりもさらに強い拒否感を表します。誰かや何かが「大嫌い」「強烈に嫌い」なときに使いましょう。
パーティーっていっつもうるさくてカオスだよね。大嫌い
certainly not:もちろんダメです
certainly は、「疑いようがなく」「確かに」を表す副詞です。また、前後の単語を強調する役目もあります。certainly not の場合は、not を強調していると言えます。「もちろんダメです」「ありえません」と訳せます。
また、同じような表現に absolutely not もあります。こちらも、no を強調した表現です。
宿題手伝ってくれない?―また?ありえない
No, I won’t:できません
I will not ~で「~をしない」「~をしたくない」という否定の意思表示ができます。通常、will not の短縮形 won’t を使います。
ちなみに、I won’t say no になると「no なんて言うわけがないだろう」=「大賛成だよ」となります。I won’t は肯定・否定どちらの文でも使うことができるのです。
お化け屋敷を観に行ってみたくない?―行きません
no way:不可能です
no way は、「不可能だ」「無理だ」を意味します。また、no をかなり強く言いたいときにも使われます。そんな時には「ありえない」「絶対に嫌」とも訳せます。
ねえ、君の車貸してくれよ―ありえない!
I absolutely refuse:絶対にお断りです
refuse は「断る」、absolutely は、「絶対に」「無条件に」を意味します。両者をつなげて、「絶対にお断りです」「何があっても断ります」を訳せます。少々硬い表現なので、断るこちら側の真剣な姿勢が伝わるでしょう。
この美容機器を買ってみない?―絶対にお断りです
NO means NO:ダメなものはダメ
NO means NO を直訳すると、「NOはNOを意味する」です。つまり、日本語で言う「ダメなものはダメ!」に当たります。どんなに断りの理由を言っても納得してくれないときには、人間関係が・・・などとは言っていられません。はっきりと断りましょう。
でも来週とかはどうなのさ?―ダメといったらダメなの!