英語で「魅力的な異性」を表現するスラングは国によっても違いがある

女性の魅力を形容する英語表現はたくさんあります。フォーマルな言い方もスラングも多種多様です。そして、特にスラングは、同じ英語圏でも国によって好まれる表現が違ってきたりします。

国・地域別の英語表現を俯瞰してみると、国によって美的魅力を見出す要素(グッとくるポイント)の微妙な差なんかも見えてくるかもしれません。

まずは基礎的・汎用的な表現をおさらい

「魅力的な人」と形容する英語表現としては、beautifulattractive などの語をまず把握しておきましょう。国柄・土地柄を問わず英語圏なら共通して使えるを表す英単語です。

最も無難に広範に使える表現は「beautiful」

「きれい」「美しい」といった意味でいちばん幅広く使える表現は beautiful でしょう。人も、物も、景色も、概念も、見た目の美しさも内面的な素晴らしさも、美に関する評価なら何にでも使える汎用的な語です。

beautiful voice
美声
beautiful words
美しい言葉
beautiful performance
美しい技

人物の容貌について述べる場合、beautiful は基本的に女性について用いられる向きが強く、男性を「ビューティフルな男」のように形容することはまれです。

顔立ちの良さは男女問わず「good‐looking」

外見に特に焦点を当てて「見た目がよい」「格好いい」と表現する場合、 good‐looking と表現できます。これは性別を問わず(男性・女性・中性にも)ナイスな容貌だねと言う場合に使えます。

特に女性を褒めるなら beautiful でもよいでしょう。男性の顔立ちの良さを褒めるなら handsome もいい褒め言葉です。中性の方の場合は当人の指向にもよるので good looking が無難でしょう。

You were very good-looking when you were dancing on the stage.
舞台の上で踊っているとき、あなたとってもかっこよかったよ
He wanted to meet that good-looking girl.
彼はあのきれいな女の子に会いたがっていました
Look at that handsome guy.
あのかっこいい男の人を見て

雰囲気が魅力的な場合は「attractive」

attractive は「人を引きつける」「魅力的な」という意味の語で、顔かたちの美醜にかかわらず魅力的な雰囲気をまとっている人を評する場面で使える表現です。

とりたてて顔が整っているわけでもなく、美人・イケメンとは言いがたいけど、正確や振舞いが何とも人好きのする人物。あるいは、美人だが顔だけでなく内面性が素晴らしい人。そんな方にぴったりの表現といえます。

I believe that he is one of the most sexy and attractive men on the planet.
彼はこの地球上で最もセクシーで魅力的な男性だって信じているわ
She was naturally attractive with her cute face and smile.
彼女はその可愛らしい顔と笑顔で、もとから魅力的な人だった

国別「魅力的な人」を表すスラング

Oxford Dictionaries で beautiful や attractive の同意語を探すと、国によって異なる単語が出てきます。国によってどのような単語を使っているのか見てみましょう。

イギリスでは「fit」

fit は、人に対しては「運動などによって健康的だ」という意味で使われています。

イギリスでは、スラングとして「性的に魅力のある」「見た目が好みの」という意味でも使われます。どちらかと言うと、女性よりも男性に対して使われることが多いようです。健康的で強い男性に対して使いましょう。

A fit guy wearing a gorgeous fur coat came wandering down the stairs.
ゴージャスな毛皮のコートを着たかっこいい人が何かを探して階段を下りてきた
When and where did you meet this really fit bloke?
いったいいつどこで、こんなイケてる男の子に出逢ったの?

スコットランドでは「bonny」

bonny には「魅力的で美しい」「健康的な」という意味があります。
男性や女性に対してだけでなく、赤ちゃんに対して使われることもあります。

赤ちゃんに対して使われるときには、「丸々している」「健康そうな」という意味になります。

His assistant was bonny and bright.
彼のアシスタントは、魅力的で賢い
That lass is bonny, isn’t she?
あの女の子、可愛いと思わない?
※lass は、スコットランドの方言で若い女性を指します。

北米では「cute」や「foxy」

cute には、「感じが良い」「魅力的な」という意味があります。特に、小さい若しくは若い人に対して使われる単語です。

北アメリカでは、「性的に魅力的だ」という意味でも使われます。でも、やはり小さい若しくは若目の人に対して使われることが多いようです。

He is cute but he is kinda young.
彼は魅力的だけれど、ちょっと若すぎるわ

foxy は、名詞「fox」を形容詞化した単語であり、主な意味としては「キツネのような」つまり「ずるそうな」「狡猾そうな」という意味があります。これに加えてアメリカでは「性的に魅力的な」という意味になります。女性限定で使われる表現です。

The photographer seeks mature foxy lady.
その写真家は、成熟した魅力的な女性を探していた

オーストラリア・ニュージーランドでは「beaut」「spunky」

beaut は、「素敵なもの」全てに対して使われている単語です。
人に対して使うときには「美しい人」「魅力的な人」という意味になります。

You know, you’re real beaut when you dress up.
言わなくても分かっているだろうけれど、あなたが正装すると、本当に素敵だよ

spunky は、もともとは、「元気な」「勇気のある」という意味の単語です。スラングとして、「性的に魅力的な」という意味で使われます。男性限定で使われる表現です。

The spunky blokes were always in that bar at the corner.
魅力的な男の子たちは、あの角にあるバーによくいたのよ
※bloke:(英語スラング)奴、男

それはもう古い!日常ではまず使わない単語

「美しい」を示す表現はスラングも含めて沢山ある、という事実は、流行り廃りが激しいとことを示唆します。今日の日常会話ではまず使われない言い方もあります。

形式的・文語的な「beauteous」

beauteous は「美しい」を意味する単語です。詩や物語の中で使用例を見かけることのある文語表現で、口語ではまず使いません。日本語の「麗しい」に近い雰囲気と言えそうです。

sat the beauteous Pu, of the little roguish eyes, of the full lips, and of the tiny feet.
そしていたずらな目をして、ふっくらとした唇で、小さな足の美しいプーが座っていました。 アンデルセン「絵のない絵本」

古めかしい「comely」「fair」

comely は、女性が「外見的に美しい」「魅力的な」という意味があります。発音は /kˈʌmli/ 。かなり古風な、日本語なら「見目麗しい」「見目良い」くらいの響きのある言い方です。

fair も「(女性が)美しい」という意味で使われていた古い表現です。映画化もされたミュージカル作品「My Fair Lady」でピンとくる方は多いかもしれません。今日では fair は今では「良くも悪くもない」という意味で使われています。「美しい」と表現しようとして fair と言うと誤解される可能性が濃厚です。




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