英語と日本語では、単語の意味や用法は必ずしも一対一に対応しません。「ぎりぎり」という日本語表現などもそんな単語のひとつです。英語で表現するなら場面やニュアンスに応じた表現の使い分けが必要です。
日本語では「きわどい」というような意味で、ほぼ感覚的に「ギリギリ」という表現が疲れますが、場面や状況によって「ギリギリ」の指す意味合いは違ってきます。英語の表現と使い方を把握して使いこなしましょう。
目次
「時間がギリギリ!」を表す英語フレーズ
the last moment =「直前に」「期限ギリギリ」
at the last moment(minute) は、「直前に」を意味します。at the last possible second と言ったりもします。
あなたはいっつもギリギリになるまで宿題をやらないよね
ちなみに、航空券の予約をするときに見かける the last minute flight とは、「直前割」のことです。
at the last moment を使った、頻繁に使われる英語表現を二つ紹介します。
- leave ~ until the last moment :ギリギリまで何もしない
- cancel at the last moment:ドタキャンする
just in time =「何とか間に合う」「ギリギリ間に合う」
just in time は、「時間内になんとか間に合う」という意味です。ほっと胸をなで下ろすニュアンスがあります。barely in time とも言います。
会場入りにはギリギリ間に合った
ギリギリで終電に間に合った
just on time との使い分けにも注意
just in time とよく似た表現に just on time があります。
just on time は「時間ピッタリに」という意味で用いられる表現で、こちらは焦るようなニュアンスを特に含みません。
「状況がギリギリ!」を表す英語フレーズ
that was close =「間一髪」「ギリギリで回避した」
that was close は、特定の状況にかなり近づいた、「あと少しでそうなっていた」という意味合いで用いられる表現です。
状況がヤバかったという意味でも、時間的にギリギリで間に合ったという意味でも使えます。
もう少しでトラックに突っ込むところだった。夜に運転するときは、本当に気をつけなきゃいけないね
私達は、昨日はギリギリで仕事に間に合ったよ
あるいは、ゲームで惜敗したチームに「惜しかったね」(もう少しだったのにね)と声を掛けるようなポジティブな意味でも使えます。
almost =「すんでの所で」「ギリギリ回避した」
almost は基本的には「ほとんど」(あともうちょっとで全部)という意味で用いられる副詞です。動詞(の過去形)を修飾する場合、「あと少しで~するところだった」「今にも~になりそうだった」という状況を叙述する表現になります。
もう少しでレストランにカメラを忘れてくるところだったよ
もう少しで先公に捕まるところだった。災難だったよ
be on the edge of ~ =「がけっぷち」のギリギリ
edge of ~は「縁」という意味で用いられる表現ですが、「あと一歩で好ましくない状態に陥ってしまう」「危機に瀕している」「瀬戸際」という意味合いでよく使われます。
そのバスケットボールチームは崖っぷちに立たされている
いくつかの国は経済危機に瀕している
edge を「危機に瀕する」という意味で用いる場合は定冠詞付きで the edge of ~と表現されます。ただし普通に「縁」の意味で使われる edge も定冠詞がつく場合は多々あります。
「価格の値引きのギリギリ」を表す英語表現
ギリギリまで値切る、値引きする、といった意味合いで使われる「ギリギリ」は、また違った英語表現が用いられます。
基本的には「最低限度」「下限値」のような表現に置き換えて考えると適切な表現が見つかります。
the lowest price は、「最も低い値」を意味します。「可能な限り最も低い値」という意味で the possible price と表現することもあります。
また、「最低の」「どん底の」を意味する rock bottom を使って、the rock bottom price と表現することもあります。
不景気のせいで、商品の値段はギリギリの最低値にまで落ちてしまった
ヒネリの利いたかっこいい英語表現
「小さな切り傷にはまるほど」
just in the nick of time は、「間一髪で」「ギリギリ間に合って」を意味します。
nick とは「小さな切り傷、くぼみ」を意味します。in the nick で、「小さな切り傷に当てはまるほどぴったり」という意味になります。
彼女はギリギリで会議に間に合ったよ。本当に良かった
「髪の毛や頬ひげの差で」
hair は「髪の毛」、whisker は「頬ひげ」です。by a hair/by a whisker で「髪の毛/頬ひげ一本の差で」つまり「ギリギリで」という意味になります。
ほんの少しずれていたら鳩のフンに当たってたよ!
「歯の皮の差で」
by the skin of my teeth は、直訳すると「歯の皮の差で」くらいに訳される表現。古い言い回しです。
なかなかに異様な表現ですが、成立由来や出典は定かでないようです。
火山の噴火から命からがら逃げ出してきた
日本語の「首の皮一枚」のようなニュアンスでしょうか。
「11時間目に」
at the eleventh hour は、直訳すると「11時間目に」となります。
「何かをすることのできる最後の瞬間」を意味します。日本語では「土壇場で」と訳すこともできます。
このイディオムは、聖書の中で使われた話が由来となっています。聖書が書かれた時代では、朝6時から夕方6時までの12時間が労働時間でした。聖書の話の中では、朝6時から働かなければいけないところ、夕方5時(つまり11時間目)にやってきた人でも12時間労働した分の報酬をもらっていたことから、このイディオムが生まれました。
11時間目は、「直前に入り込む最後のチャンス」という意味で使われるようになったのです。
聞いたところによると、合意は最後の瞬間にようやく決まったらしい
実を言うと、最後の瞬間にレポートを出したんだ